ああん <感>[意]あのう、ええっと。すぐには固有名詞などが出てこない場合などに使われる。[例]ああん、あんしゃ、あんたん同級生じ、たけてぇ行きよった、なんちゅうたかな(あのう、あの人は、あなたの同級生で、竹田に通っていた、何といったかな)。
あいい <形>[意]青い。強調する場合は「ああいい」。更に強調する場合は「まっさいい」。
〔用〕あおうなる [意]青くなる。「あおなる」とも。
〔仮〕あおから [意]青ければ。
あいくちゃあうてん <句>[意]大言壮語に対して「相槌は打てない」、「同意できない」の意。
※『岡藩のひらくち』
あいた <感>[意]しまった。「あいたのお」「あいたよお」に同じ。
あいたのお <感>[意]しまった、やられた。「あいたよお」に同じ。[例]あいたのお、さいふぅ、おてぃた(しまった、財布を落とした)。
あいたよお <感>[意]「あいたのお」に同じ。
あいどし <名>相年[意]同い年。標準語として辞書に載るが、実際に標準語で聞くことはまれ。[例]あんしゃ、おれとあいどしで(あの人は、俺と同い年だよ)。
あう <動・五>[意]合う、会う、遭う、逢う、遇う。標準語とは活用が一部異なる。
〔未〕あわん [意]あわない。
〔用〕おうた [意]あった。
〔仮〕あわ、あや [意]あえば。
あおひき <名>青蟇[意]アマガエル。
※清川・康晴さん
あおのき <形>[意]仰向け。「おおのき」に同じ。[例]鼻血が出たんなり、あおのきぃなっちみよ(鼻血が出たのなら、仰向けになってみなさい)
【邦訳日葡辞書】「アヲノキ」顔を天に向ける、仰向けになる、上を見上げる。
あか <名>[意]幼児語で「酒」のこと。仏教用語の供え物「閼伽(あか)」からの転。
※緒方の方言
あかばち <名>[意]スズメバチ。「だんごばち(オオスズメバチ)」より小型。
※緒方・入道さん
あかぶと <名>[意]コイ科の川魚。身は美味いが、骨が多く食べにくい。焼いたものを煮て、そうめんの出汁にするのが好まれる。
あかりい <形>[意]明るい。
〔用〕あかるうなる [意]明るくなる。「あかるなる」とも。
〔仮〕あかるから [意]明るければ。
あがりくうじ <句>[意]家の中などに上がりこんで。
あかる <動・五>開かる[意]開く。単に「開く」だけではなく「開けられる」という意味でも使う。[例]戸があかっちょるで(戸があいているよ)。どげえすら、あかるんじゃろうか(どうすれば、あけられるのだろうか)。
〔未〕あからん 開からん[意]開かない。単に「開かない」の意味だけでなく「開けられない」の意味でも使う。[例]戸があからんな(戸が開けられませんか)。戸があからんごとなった(戸が開けられなくなった)。
〔未〕あかろう [意]開くだろう。[例]なんべんか、おしゃ、あかろうで(何回が押せば、開けられるだろうよ)。
〔仮〕あから [意]開けば。
※竹田出身・水瀬さん
あきおて <名>秋落て[意]順調に生育していた稲が収穫直前の悪天候や病害虫のために見込んでいた収量が得られなくなること。「うちん子は、あきおてがした」と、人に対しても使うことがある。その場合は「うちの子は、子供のころは勉強がよく出来て将来を期待したのに、大人になったらがっかりした」という意味になる。
あく <動・五>[意]飽きる。標準語では上一段活用だが大分弁では五段活用となる。
〔未〕あかん 飽かん。[例]おんなじことばっかれしよっち、ようあかんなあ(同じことばかりしていて、よく飽きないねえ)。
〔未〕あこう [意]飽きるだろう。
〔用〕あいた [意]飽きた。
〔仮〕あか、あきゃ [意]飽きれば。
あく <動・五>[意]開く。[例]どうさねえ、あくはずじゃがなあ(簡単に開くはずだがねえ)。
〔未〕あかん [意]開かない。
〔未〕あこう [意]開くだろう。
〔仮〕あか、あきゃ [意]開けば。
あくる <動・中三>[意]開ける。明ける。空ける。
いずれも命令形は「あきい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔未〕あけん [意]開けない。明けない。空けない。
〔未〕あきゅう [意]開けよう。明けよう。空けよう。
〔仮〕あくら、あくりゃ [意]開ければ。明ければ。空ければ。
〔命〕あきい [意]開けろ。明けろ。空けろ。
あぐる <動・中三>[意]@物を上に上げる。A人にものをあげる。B(国旗を)揚げる。C(フライや天ぷらを)揚げる。D胃の内容物を戻す、吐く。
いずれも命令形は「あぎい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔未〕あげん [意]上げん。挙げん。揚げん。[例]なし、あんこに、もちゅうあげんのな(どうして、あの子に餅を上げないの)。
〔未〕あぎゅう [意]上げよう、挙げよう、揚げよう。[例]あんてぇ、あぎゅう(あなたにあげよう)。
〔仮〕あぐら、あぐりゃ [意]上げれば。挙げれば。揚げれば。
〔命〕あぎい [意]上げろ、挙げろ、揚げろ。[例]もちっと、あぎい(もう少し上げろ)。
あけえ <形>[意]赤い。強調する場合は「ああけえ」、さらに強調する場合は「まっけえ」。
〔用〕あこうなる、あこなる [意]赤くなる。[例]なん、あこうなっちょんの(どうして赤くなっているの)。
〔仮〕あかから [意]赤ければ。
あげえ <形>[意]あんなに。[例]あげえまじ、いわんでんよかろうになあ(あんなにまで、言わなくても良いだろうにねえ)。
あげえあっち <句>[意]あんな風に見えて。[例]あいたぁ、あげえあっち、あんがいきがちいせえんで(あいつは、あんな風に見えて案外気が小さいんだよ)。
あげえある <句>[意]あんな風だ。[例]あんしゃ、あげえあるき、こまんのじゃ(あの人は、あんな風だから困るんだ)。
あげくんさんぱち <連語>[意]挙句の果てに。[例]よいたくろうち、道端じねち、あげくんさんぱちぃ、かにゅうとられたんと(泥酔して道端で寝て、挙句の果てにお金を盗られたんだって)。
あげな <形動>[意]あんな。あのような。「あげな」に同じ。
あげなん <連語>[意]@あんなもの。[例]あげなん、いらん(あんなもの、いらない)。Aあんな人たち。[例]また、あげなんがすもつくれんこつぅ、いいよる(また、あんな人たちがつまらないことを言っている)。
あげん <形動>[意]あのような、あんな。「あげな」に同じ。[例]あげんやつん言うこたぁ聞くなや(あんなヤツの言うことは聞いてはいけない)。
あごかいい <形>顎痒い[意]仲の良い男女を周囲が冷やかす際に使う。
※緒方出身・hataさん
あごたん <名>[意]あご。「たん」は接尾語。
あごたんがさかしい <句>[意]口数が多いこと。[例]あんこは、こんめえころかり、あごたんがさかしいこじゃった(あの子は小さなころから口が達者な子だった)。
※『岡藩のひらくち』
あさっぱち <名>[意]朝っぱら、早朝。
あさま <名>[意]朝方。[例]あさましごと(朝食前にする仕事)。
※
緒方・みっこさ
あさはあさぼし、よはよぼし <句>朝は朝星、夜は夜星[意]朝はまだ暗いうちから、夕方は星が出るまで仕事をすること。昔の農家の勤勉な仕事ぶりを言い慣わした言葉。
※清川・康晴さん
あさましごと <名>[意]朝食前の一仕事。
あさめしわき <名>[意]朝食後。
あしかた <名>[意]足跡。考えてみれば、手の跡は「手形」というのだから、足の跡を「足形」と呼んで何の差し支えもない。
あしがたつ <句>[意]水中で足が水底に届く。[例]ここなり、あしがたつき、おずねえど、きちみよ(ここなら足が届くから怖くないよ、来てごらん)。
あしつぎ <名>足継ぎ[意]踏み台。[例]あしつぎがなからな、とわん(踏み台がないと届かない)
【邦訳日葡辞書】「アシツギ」仕事をする際に高い所に届くために用いる踏み台で、四つ足のついた高いもの。
あしなか <名>[古]足半、足中。[意]草履(わらじ)と同じく藁で作った履物。足裏の半分ほどの長さしかないが、泥はねがなく踏ん張りが効くため、農作業で使われた。釣りで川の中に立ちこむ際も、これだと滑りにくかった。
<参>古語辞典には「走りやすくするために、足の裏の半分しかない短い草履。室町時代に、武士や僧侶が用いた」とある。
あしなさ <連語>[意]明日の朝。[例]あしなさにしちくりい、ねむとうじしとめん(明日の朝にしてくれ、眠たくてたまらない)。
あじもしゃしゃりもねえ <句>[意]全く味がない、味も素っ気もない。『緒方の方言』は「あじもしゃしゃらもねえ」としている。
※『岡藩のひらくち』
あしゅうかく <句>[意]足を掻く。「しゅ」にアクセントがある。 [例]さっきかり、あしゅうけえちんじょうおるが、どしたんな(さっきから、足を掻いてばかりいるが、どうしたの)。
あしゅうかく <句>[意]汗をかく。「あ」にアクセントがある。[例]いそいじきたら、あしゅうけえた(急いで来たら、汗をかいた)。
あしんばん <連語>[意]明日の夜。
あする <動・中三>[意]色が褪せる。褪色する。命令形が「あしい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔未〕あしゅう [意]褪せよう。
〔仮〕あすら [意]褪せれば。[例]いろぃ、あすら、どげえするな(色が褪せればどうするの)。
〔命〕あしい [意]褪せろ。
あぜきり <名>[意]畔塗りをする前に去年の畔を斜めにそぎ落とすこと。「まえあぜを切る」とも言う。
※緒方・入道さん
あせぐる <動・五>[意]まさぐる。[例]カバンのなこぉ、ようあせぐっちみなあ(カバンの中を、よく掻き回してみなさい)。
〔未〕あせぐらん [意]かきまわさない。
〔仮〕あせぐら [意]かきまわせば。
あぜほぐり <名>[意]直翅目ケラ科の昆虫。通称オケラ。田植えを控えた時期、塗り直したばかりの畔のうねうねとオケラのくぐった跡がついた。
※緒方出身・Hiroさん
あせりかえし <名>[意]もみ干しの際、ねこぶくに広げた籾を、摺足でかき混ぜる事。
あせりかやす <動・五>[意]ねこぶくに広げた籾を、乾燥させるために足でかき混ぜること。「あせりかえし」の動詞形。
〔未〕あせりかやさん [意]かき混ぜない。
〔用〕あせりかええた [意]かき混ぜた。
〔仮〕あせりかやさ [意]かき混ぜれば。
あただ <副>[意]急に。辞書にも「にわかに」「不意に」の意で載るが、耳にするのは稀。
※『緒方の方言』
【邦訳日葡辞書】「アタダ」、にわかに。不意に。
あたもぉくびっちょる <句>[意]頭を悩ませている。考え込んでいる。直訳すると「頭を(ひもで)縛っている」という意味になる。[例]さっきかり、あげえしち、あたもぉくびっちょるんで(さっきから、ああして考え込んでいるんだよ)。
あたる <動・五>[意]触る。[例]どこんそこん、当たっち、あるくもんじゃねえ(そこらじゅうを触って回るものじゃない)。
〔未〕あたらん [意]触らない。[例]なんでんかんでん、あたらんので(なにもかも触るものじゃないよ)。
〔仮〕あたら [意]触れば。
あちい <形>[意]暑い。熱い。厚い。「あてぃ」に同じ。
〔用〕あつうなる [意]暑くなる。熱くなる。厚くなる。「あつなる」とも。
〔仮〕あつから [意]暑ければ。熱ければ。厚ければ。
あっきぃ <句>あっこ・に[意]あそこに。[例]あっきぃ、あるじゃねえか(あそこにあるじゃないか)。
あっこ <名>[意]あそこ。[例]あっこん、きんねきぃある、きねえもなぁ、なんな(あそこの木の根元にある黄色いものは何ですか)。
あっこんこ <連語>[意]あそこの家の子。[例]あっこんこじゃがえ(あそこの家の子なんだよ)。
あっこんし <連語>[意]あそこの人、あそこの家の人。[例]あっこんしゃ、もうかいったろうか(あそこの家の人は、もう帰っただろうか)。
あっちゃあられん <句>[意]絶対にあってはならない。しては、いけない。[例]そげんこたぁ、あっちゃあられんこっちゃ(そんなことは、ぜったいにあってはならないことだ)。
あつむる <動・中三>[意]集める。命令形が「あつみい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔未〕あつみゅう [意]集めよう。[例]かにゅう、あつみゅうか(金を集めようか)。
〔仮〕あつむら [意]集めれば。[例]どんぐれ、あつむらよかろうか(どれぐらい集めればいいだろうか)。
〔命〕あつみい、あつめよ [意]集めれば。[例]あつまりしこ、あつみい(集まるだけ集めろ)。
あつる <動・中三>[意]当てる。充てる。宛てる。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「あちい」となることから、正確には中三段活用である
【邦訳日葡辞書】「アツル」当、充、充。
〔未〕あてん [意]当てん。充てん。宛てん。
〔未〕あちゅう [意]当てよう。充てよう。宛てよう
〔仮〕あつら [意]当てれば。充てれば。宛てれば。
〔命〕あてぃ、あてよ [意]当てろ。充てろ。宛てろ。
あてぃ <形>[意]@暑いA熱いB厚い。「あちい」に同じ。「あちい」との区別はないが、あえて言えば「あてぃ」は主に男性が使うようだ。終止形「あてぃ」以外は「あちい」と同じ。
※清川出身・千寿さん
あてっぽし <名>[意]当てもなく、当てずっぽう。
あど <名>[意]かかと。人によっては「あぞ」とも。
あとかんまん <句>[意]後のことは考えない無責任な姿勢。
あとぞい <名>[意]後添い、後妻。
※『岡藩のひらくち』
あとがえる <動・五>[意]後戻りする。来た道を戻る。「あとどる」「あともどる」「へもどる」に同じ。
〔未〕あとがえらん [意]後戻りしない。
〔仮〕あとがえら [意]後戻りすれば。
※緒方・みっこさ
あとどる <動・五>[意]来た道を戻る。「あとがえる」「あともどる」「へもどる」に同じ。
〔未〕あとどらん [意]後戻りしない。
〔仮〕あとどら [意]後戻りすれば。
※緒方・みっこさ
あとばね <名>[意]草履を履いてぬかるんだ道を歩いて脚や背中に跳ね上げてしまう泥や泥水のこと。
※『緒方の方言』
あとびく <動・五>[意]急須からお茶を注ぐ時、あるいは、?油差しから醤油を食べ物にかける際、注ぎ口から容器にお茶や醤油が垂れること。
〔未〕あとびかん [意](容器の注ぎ口などから)液体が垂れない。
〔未〕あとびか [意](容器の注ぎ口などから)液体が垂れれば。
※緒方出身・やすみさん
あともどる <動・五>[意]来た道を戻る。標準語では「後戻り」と名詞形が一般的で「後戻りする」と使われるが、大分では動詞形で使われる。
<同>「あとがえる」「あとどる」「へもどる」。
〔仮〕あともどら [意]後戻りすれば。
あのよに <句>[意]あんなに、あんな風に。[例]あのよにのま、わるならんほうがおかしいわ(あんなに飲めば、具合が悪くならない方がおかしいよ)。
あねじょう <名>姉上[意]姉。
あばかん <連語>[意]仕事が手に余る。容器に入りきれないこと。
※『緒方町誌』
あばくる <動・中三>[意]炎症がひどくなる。化膿する。命令形が「あばきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
【邦訳日葡辞書】「アバクル」腫れものがひとりでに破れたり、口が開いたりする。
〔未〕あばけん [意]化膿しない。[例]ようあろうち、あばけんごとしよ(よく洗って化膿しないようにしなさい)。
〔未〕あばきゅう [意]化膿しよう。[例]包帯やらすら、あばきゅうで(包帯なんかすれば化膿するだろうね)。
〔仮〕あばくら [意]化膿すれば。[例]あばくら、せちいなあ(化膿すれば嫌だなあ)。)
〔命〕あばきい [意]化膿しろ。
あばるる <動・中三>[意]暴れる。命令形は「あばりい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔未〕あばれん [意]暴れない。
〔未〕あばりゅう [意]暴れよう。
〔仮〕あばるら [意]暴れれば。
〔命〕あばりい [意]暴れろ。
あびする <動・中三>[意]浴びせる。命令形は「あびしい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔未〕あびせん [意]浴びせる。
〔未〕あびしゅう [意]浴びせよう。
〔仮〕あびすら [意]浴びせれば。
〔命〕あびしい [意]浴びせろ。
あぶらじゅうじょる <句>[意]食品に油が浸み込んでいることをいう。「じゅうじょる」は「しゅんでいる」で「浸み込んでいる」の意。
清川・千枝さん
あぶらむし <名>[意]ごきぶり。
あぶらめ <名>[意]コイ科の川魚。アブラハヤ。不味い。
あぶる <動・中三>[意]浴びる。標準語では上一段活用だが、大分では下二段活用の変形「中三段活用」である。命令形は「あびい」となる。
〔未〕あべん [意]浴びない。
〔未〕あびゅう [意]浴びよう。
〔仮〕あぶら [意]浴びれば
〔命〕あびい [意]浴びろ。
あほうづり <名>阿呆釣り[意]浮きも目印をつけずに、向こう合わせでする釣り。
あまちぎい <形>[意]味が、度が過ぎて甘いこと。
※緒方町誌
あまね <名>[意]茅の根。マカヤの根。
『緒方の方言』
あみるる <動・中三>[意]布が擦り切れてしまうこと。
※『緒方町誌』
あめえ <形>[意]甘い。
〔用〕あもうなる <句>[意]甘くなる。[例]さん、よっかもすら、あもうなるんじゃ(三、四日もすれば甘くなるんだ)。
〔仮〕あまから [意]甘ければ。[例]あまから、ゆをたしなあ(甘ければお湯を入れなさい)。
あやす <動・五>[古]零(あや)す[意]木の実などを落とす。
<参>辞書では@こぼすA果実などを落とす――とある。
〔仮〕あやさ [意]落とせば。
※『緒方町誌』
あゆる <動・中三>[意]木の実などが落ちる。命令形は「あいい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔仮〕あゆら [意]落ちれば。
※『緒方町誌』
あゆる <動・中三>[意]和える。命令形は「あいい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
〔未〕あえん [意]和えない。
〔未〕あゆう [意]和えよう。
〔命〕あいい [意]和えろ。
あらう <動・五>[意]洗う。標準語とは活用形が一部異なる。
〔未〕あらわん [意]洗わない。
〔用〕あろうた [意]洗った。
〔仮〕あらわ [意]洗えば。
あらけねえ <形>[意]乱暴な、粗雑な。[例]おいたべんな、あらけねえ(大分弁は、乱暴だ)。
〔用〕あらけのうする [意]荒っぽくする。乱暴にする。[例]そげえ、あらけのうすると、こわるるが(そんなに乱暴にすると壊れるよ)。
〔仮〕あらけなから [意]乱暴であれば。[例]そげえ、あらけなから、こんめえこい、おずがるで(そんなに乱暴にすれば小さい子が怖がるよ)。
あらせ <名>[意]荒れた土地。
※『緒方町誌』
あらるるか <句>[意](そんなことは)あって良いはずがない。あるわけがない。あってたまるか。[例]そげなことい、あらるるか(そんなことがあってたまるか)。<類>あっちゃあられん
ありげん <名>[意]蟻。「ありまん」とも。
ありしこ <句>[意]あるだけ。[意]なんでんいいき、ありしこくわせちゃれ(何でも良いから、あるだけ食べさせてやれ)。
ありつく <動・五>[古]有り付く、在り付く。[意]@人がよその土地からやってきて住み着くA植物が根付く。<参>辞書は、住み着く、安住する、長くそこに住む―とし、出典に今昔物語を挙げている。
〔仮〕ありつか [意]住みつけば。
【邦訳日葡辞書】「アリツク」ある場所に座を占める、または、ある地位につく。
ありまん <名>[意]蟻。「ありげん」「いあり」ともいう。
ありめえ <句>[意]あるまい。「あるめえ」に同じ。[例]そげんこたぁ、ありめえじゃねえな(そんなことはあるまいよ)。
ありもせんこつぅ <句>[意]ありもしないことを。[例]ありもせんこつぅ いうもんじゃねえ(ありもしないことを言うものじゃない)。
あるぅ <句>あれ・を[意]あれを。[例]あるぅ、とっちきちくりい(あれを、取って来てくれ)。
あるぅみよ <句>[意]あれを見ろ。驚きや意外な、時として見下した思いを込めて使う。[例]あるぅみよ、年もかんがゆらしぇじぇ、まっけえ服やらきたりこしち(あれを見ろ、年も考えないで真っ赤な服を着たりなどして)。
あるかする <動・中三>[意]歩かせる。[例]どこまじ、あるかするんな(どこまで、歩かせるの)。
〔未〕あるかせん [意]歩かせない。
〔未〕あるかしゅう [意]歩かせよう。
〔仮〕あるかすら [意]歩かせれば。
〔命〕あるかしい [意]歩かせろ。
あるかせた <句>[意]動詞「あるかする」の連用形だが、「愛娘を嫁がせた」との意を持つ。
※『岡藩のひらくち』
あるく <動、五>[意]歩く。標準語とは活用形が一部異なる。
〔未〕あるかん [意]歩かない
〔用〕ありいた [意]ありいた。[例]きょうは、そうとう、ありいたのお(今日はずいぶん歩いたねえ)
〔仮〕あるか、あるきゃ [意]歩けば。
あるめえ <句>[意]あるまい。「ありめえ」に同じ。[例]まさか、そげなこたぁ、あるめえ(まさか、そんなことはあるまい)
あれ <名>[意]小麦粉、不稔粒。
あれえじや <句>[意]ありますよ、あらいでか、あるに決まっている。
あれぶる <動・五>[意]怒って当り散らす。<類>はぶとかやす
※清川・康晴さん
あわする <動・中三>[意]会わせる、併せる、合わせる。命令形は「あわしい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である
【邦訳日葡辞書】「アワスル」で記載あり。
〔未〕あわせん [意]会わせない。併せない。合わせない。
〔未〕あわしゅう [未]会わせよう。併せよう。合せよう。
〔仮〕あわすら [意]会わせれば。併せれば。合わせれば。
〔命〕あわしい [意]会わせろ。併せろ。合わせろ。
あわてぼう <名>[意]慌てん坊。
あん <連体詞>[意]あの。[例]あんこは、どこんこな(あの子は、どこの子ですか)。
あんか <名>[意]兄さん。[例]たかあんか、またふつかよいな(たか兄さん、また二日酔いですか)。
あんげこんげ <連語>[意]@あちらこちら。[例]あんげこんげ、いかされち、だっちしもうた(あっちこっちに行かされて、疲れてしまった)。A物事がうまくいかず、あれこれとやり方を変えて試す様。[例]あんげこんげ、しちみたけんど、つまらんじゃった(あれこれ試してみたけど、駄目だった)。
あんこ <連語>[意]あの子。[例]いちばんになったなぁ、あんこで(一番になったのは、あの子だよ)。
あんし <連語>[意]あの人。[例]あんしゃ、どこいきよんのじゃろうか(あの人は、どこに行っているのだろうか)。
あんなあ <感>[意]あのね。[例]あんなぁ、実はなあ(あのね、実はね)。
あんじょう <副>[意]よろしく。按配良く。[例]あんじょう、しちょくれ(塩梅よくしてください)。
※『緒方の方言』
あんのじゃ <句>[意]あるんだ。[例]こげな時間なり、あいちょる店ぁなかろう。それい、あんのじゃ(こんな時間なら開いている店はないだろうなあ。それが、あるんだ)。
あんまれ <副>[意]あんまり。「えれ」に同じ。
あんまれじゃ <句>[意]あんまりだ。[例]なんぼなんでん、そら、あんまれじゃ(いくらなんでも、それはあんまりだ)。