はい <名>[意]蝿。[例]はいとりがみ(蝿取り紙)。はい打ち(蝿叩き)。
【天草本平家物語】「読誦の人に対して書す」の中に「蝿(はひ)驥に附くに異ならず」との表現がある。
はいいし <名>灰石[意]軽石。
※緒方・みっこさ
はいとぐ <名>[意]火山灰土壌。[例]こかぁ、はいとぐじゃあき、水がたまらん(ここは火山灰土壌だから水が溜まらない)。
※緒方・入道さん
ばいら <名>[意]薪や炭材にならない小枝のこと。風呂などの炊き付けのために使用される。
※緒方・入道さん
ばいらてがり <名>[意]炊き付け用の小枝を束ねること。
※緒方・入道さん
はう <動・五>[意]這う。標準語とは活用が一部異なる。
〔未〕はわん [意]這わない。
〔用〕ほうた [意]這った。ウ音便の形となる。
〔仮〕はわ、はや [意]這えば。
はええ <形>[意]早い。
〔用〕はよなる、はようなる [意]早くなる。
〔仮〕はやから [意]早ければ
ばか <名>[意]草の実で、人の衣服や動物の毛などにくっつきやすいものの総称。盗人萩など。
はかわら <名>[意]墓。墓地。
※緒方・入道さん
<参>松尾芭蕉の「おくの細道」には「末の松山は寺を造りて末松山(まっしょうざん)といふ。松のあひあひ皆墓はら(原)にて(略)」とある。
【邦訳日葡辞書】「ハカワラ」墓原、墓所に同じ、墓地、または、墓のたくさんある野原。
はぐる <動・五>[意]めくる。[例]ひょうしゅう、はぐる(表紙をめくる)。
〔未〕はぐらん [意]めくらない。
〔仮〕はぐら [意]めくれば。
はぐる <動・中三>[意]禿る、剥げる。命令形が「はぎい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕はげん [意]はげない。
〔未〕はぎゅう [意]はげよう。
〔仮〕はぐら [意]はげれば。[例]
はぐるる <動・中三>[意]連れ立った者と離れ離れになる。はぐれる。命令形は「はぐりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕はぐれん [意]はぐれない。
〔未〕はぐりゅう [意]はぐれよう。
〔仮〕はぐるら [意]はぐれたら。
※緒方出身・やすみさん
ばけする <句>[意]馬鹿にする。[例]おまえどぉ、わしんこつぅ、ばけしちょろうが(お前たち、私のことを馬鹿にしているんだろう)。
ばこいう(ばくぅいう) <句>[意]馬鹿なことを言う。[例]ばこいうなや(馬鹿なことを言うなよ)。
はさむし <名>[意]くわがたむし。
※緒方・入道さん
ばされえ <副>[古]婆娑羅(ばさら=ぜいたくの限りを尽くしてこの世を謳歌すること)からか[意]非常に。たいそう。大変な。[例]あんしん、はなしゃあ、ばされえ、おもしりい(あの人の話は、大変に面白い)。
はさんじょくれ <句>[意]お客を迎えてお茶を出す主婦が、漬物などを勧める際に言う言葉。つまり「箸で漬物を取ってください」という意味である。
【解説】勧めてもお客が遠慮していると、主婦自ら箸で漬物などを取って、お客さんの手の平に乗せてくれる。不思議なことに、袋に小分けされた煎餅なども箸で挟んで差出してくれる。
はじかいい <形>[意]むずがゆい。[例]わらとびんなけぇ、もぐったりこすら、かだらぃ、はじかいなんに(わらとびの中に潜り込んだりすると、体がむず痒くなるのに)。
〔未〕はじかいかろう [意]むずがゆかろう。
〔用〕はじかゆう [意]むずがゆく。[例]わらじ、あそびよったら、はじかゆうなった(藁で遊んでいたら、むずがゆくなった)。
〔仮〕はじかゆから [意]むずがゆければ。
はじかいなる <句>[意]むずがゆくなる。「はじかゆうなる」に同じ。
はじくる <動・中三>[意]弾ける。命令形は「はじきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕はじけん [意]弾けない。
〔未〕はじきゅう [意]弾けよう。
〔仮〕はじくら [意]弾ければ。
はじし <名>[古]歯肉(はじし)[意]歯茎。[例]あら、はじしがはれちょん(あれ、歯茎が腫れている)。
はじむる <動・中三>[意]始める。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「はじみい」となることから正確には中三段活用である。
〔未〕はじめん [意]始めない。
〔未〕はじみゅう [意]始めよう。[例]ぼつぼつ、はじみゅうえ(ぼちぼち始めようよ)。
〔仮〕はじむら [意]始めれば。[例]いま、はじむら、あかりいうちい、すもうで(今始めれば、明るいうちに終わるだろうよ)。
【邦訳日葡辞書】「ハジムル」始める。
はしらまつ <名>柱松[意]お盆の行事の一つ。麦藁で作った鉢を先端に付けた長さ10bほどの竹竿を立て、下から松明を投げ上げて鉢に入れることを競う。戦前は主に子供が行った。松明は、指ほどの太さで長さ約20aの赤松の根5、6本を梶の皮で編むように束ねる。それに火を点け、紐をもって振り回しながら柱に背を向けて放り上げた。うまく鉢の中に松明を入れれば賞品がもらえた。投げる際に「はしらまたぁぼんくよう(柱松ぁ盆供養)」と掛け声をかける。
※清川・康晴さん
はずるる <動・中三>[意]外れる。命令形は「はずりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕はずれん [意]外れない。
〔未〕はずりゅう [意]外れよう。
〔仮〕はずるら [意]外れれば。
はぜまけ <名>[意]櫨の木の樹液で、肌がかぶれること。「まくる」は「かぶれる」。
はたかる(はだかる) <動・五>[古]開(はだ)かる[意]両足を開いて立つ。古語の「開かる」は両手両足を広げて立つこと。[例]あ〜あ、わけえおなごぃ、あしゅうはたかっち、みちゃおれんのぉ(あ〜あ、若い女性が足を開いて、見てはいられないねえ)。
〔未〕はたからん [意]両足を開いて立たない。
〔仮〕はたから [意]両足を開いて立てば。
〔命〕はたかれ [意]両足を開いた立て。
<参>「立ちはだかる」は、手足を広げて人の進路を遮るように立つこと。
【邦訳日葡辞書】「ハタカル」両脚を開き、踏み広げて立つ。
はたくる <動、中三>[意]着物の衿や裾などを広げる。または、両脚をだらしなく開いて座る。命令形は「はたきい」となるので、大分独特の下二段活用の変形である中三段活用である。
〔未〕はたけん [意]広げない。
〔未〕はたきゅう [意]広げよう。
〔仮〕はたくら [意]広げれば。
【邦訳日葡辞書】「ハタクル」両手を伸ばし広げ、両脚を踏み広げる。。
はたけ <名>[意]顔の皮膚が部分的にカサカサとして白くなった様。
【邦訳日葡辞書】「ハタケ」疥。あまり日に焼けて顔の皮がむけること。
ばち <名>罰[意]ひどい目。[例]ひじいばちぃおうた(ひどい目にあった)。
ばちあぐる <動・中三>[意]激しく罵倒する。口を極めてののしる。[例]なにかちゅうと、すぐ、ばちあぐるんじゃ(何かというとすぐに激しく罵倒するんだ)。
〔未〕ばちあげん [意]罵倒しない。[例]あんまれ、ばちあげんごとな(あまり罵倒しないようにね)。
〔未〕ばちあぎゅう [意]罵倒しよう。[例]ちょっといっち、ばちあぎゅう(ちょっと行って罵倒しよう)。
〔仮〕ばちあぐら [意]罵倒すれば。[例]あげえ、ばちあぐら、ちったぁ、きこうで(あんなに罵倒すれば、少しは効くだろうよ)。
〔命〕ばちあぎい [意]罵倒しろ。[例]ほんこし、ばちあぎい(本気になって罵倒しろ)。
ばちいあわする <句>[意]ひどい目に遭わせる。「ばちくらわする」に同じ。[例]あんまれ、いうこつぅきかんと、ばちいあわするど(あんまり言うことを聞かないと、ひどい目に遭わせるぞ)。
ばちかぶる <句>罰被る[意]ひどい目に遭う。罰が当たる。[例]そげんこつう、しよると、ばちかぶるど(そんなことをしていると罰が当たるぞ)。
ばちくらわする <句>罰喰らわする[意]ひどい目に遭わせること。[例]こげんこつぅしたやたぁ、ぜったい、ばちくらわする(こんなことをした奴は、絶対にひどい目に遭わせる)。
はちけんばっくん <名>八間ばっくん[意]トノサマガエル。両生綱・カエル目・アカガエル科のカエルの一種。「八間」もの跳躍をするとは思えないが、カエルの中では抜群の跳躍力を持つことから、この名があるものだろう。
※清川・康晴さん
はちわるる <動・中三>[意]容器などが、物を入れ過ぎたために割れてしまうこと。
〔未〕はちわれん [意]割れない。[例]つめすげち、はちわれんごつしよ(詰めすぎて割れないによにしてね)。
〔未〕はちわりゅう [意]割れよう。[例]そげえ、おしこみゃ、はちわりゅうで(そんなに押し込めば、割れるだろうよ)。
〔仮〕はちわるら [意]割れれば。[例]はちわるら、しよいねえわ(割れれば仕方ないよ)。
ばっかれ <副>[意]〜ばかり。「じょう」に同じ。[例]おなじもんばっかれ着ちょる(同じ物ばかり着ている)。
ばっくん <名>[意]蛙。
はったい <名>[意]焦がした麦の粉「麦焦がし」を器に入れてお湯で練ったたもの。
【邦訳日葡辞書】「ハッタイ」炒った米や大麦の粉(麦焦がし)。
はったいこ <名>[意]焦がした麦の粉。「麦焦がし」。
ぱっちん <名>[意]めんこ。「べた」「べった」ともいう。
はっとうき <名>発動機[意]発動機のことを、こう発音した。稲収納のころ、脱穀機を回すための発動機のタッタッという力強い音がそこかしこの刈田で聞こえたものだった。ちなみに脱穀機も「だっこっき」と発音される。
※緒方出身・Hiroさん
はつより <名>初寄り[意]正月に地区の人々が年始の挨拶をかねて公民館などに集まり酒を飲むこと。また、正月に親族が本家に集まって新年を祝いながら宴会をすること。
※緒方・みっこさ、緒方出身・Hiroさん
はつる <動・五>[意]顔や頭を張る、たたく。
〔未〕はつらん [意]たたかない。
〔仮〕はつら [意]たたけば。
ばつる <動・中三>[意]ばてる。疲弊する。大分独特の中三段活用である。[例]そげえとばしよら、ばつるど(そんなに急いでいたら、ばてるぞ)。
〔未〕ばてん [意]ばてない。[例]なかなか、ばてんのお(なかなか、ばてないねえ)。
〔未〕ばちゅう [意]ばてよう。[例]じき、ばちゅうで(すぐに、ばてるだろうよ)。
〔仮〕ばつら [意]ばてたら。[例]そげえ、きやすう、ばつら、こまるじゃねえか(そんなに簡単にばてたら困るじゃないか)。
はながら <名>[意]ツユクサ科の一年草、露草。
※『緒方町誌』
はなくえ <名>鼻崩え?[意]極端に鼻の低いこと。
※清川・郷思さん
はなくえんなみだじひとまくり <句>鼻崩えん涙じひとまくり[意]「鼻が低いと涙が抵抗もなく流れ落ちる」ということから、ものごとを極く簡単に済ませることを言う。
※清川・郷思さん
はなぐり <名>[意]牛を縄でつなぐために、牛の鼻に通した輪。
【邦訳日葡辞書】「ハナグリ」鼻刳。木か木蔦か、あるいは、柳の枝かで作った一種の輪であって、日本で、牛の鼻孔に穴をあけてそこにさし通すもの。
はなしちかする <句>[意]話しをする。言って聞かせる。「話してきかせる」が短くなった形。
※緒方・入道さん
はなち <副>[意]突然に。いきなり。[例]あん先生に、はなち小突かれた(あの先生に、突然殴られた)。
はなちばしら <名>[意]「こんや」の「肥やし」が当たる石柱。 <参>こんや
はなっと <名>端っと[意]先っぽ。
※緒方・入道さん
はなるる <動・中三>[意]離れる。命令形は「はなりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
【邦訳日葡辞書】「ハナルル」一緒のものが別れ離れる、または、くっついているものが分れ離れる。
〔未〕はなれん [意]離れない。
〔未〕はなりゅう [意]離れよう。
〔仮〕はなるら [意]離れれば。
〔命〕はなりい、はなれよ [意]離れろ。
はばしい <形>[意]激しい様。気性が荒い人を形容することもある。
〔用〕はばしゅう [意]激しく。
〔仮〕はばしから [意]激しければ。
※緒方・みっこさ
ばば <名>[意]カブトムシやクワガタムシの雌の総称。
※緒方・入道さん
はぶつる <動・中三>[意]腹を立てる。命令形は「はぶちい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。「はぶてる」とも。
〔未〕はぶてん [意]腹を立てない。
〔未〕はぶちゅう [意]腹を立てよう。
〔仮〕はぶつら [意]腹を立てれば。
【邦訳日葡辞書】「ハブツル」怒った様子を見せる、または、不機嫌な顔つきをする。
はぶとかやす <動・五>[意]腹立ちまぎれに乱暴をはたらく。[例]あいたぁ、きにくわんことぃあると、すぐ、はぶとかやすきい、こまんのじゃ(あいつは、気に入らないことがあると、すぐに腹を立てて暴れるから困るんだ)。
〔未〕はぶとかやさん [意]乱暴しない。
〔用〕はぶとかええた [意]乱暴した。[例]ガラスい、われちょるなあ、あんやつが、はぶとかええたんじゃ(ガラスが割れているのは、あいつが腹を立ててやったんだ)。
〔仮〕はぶとかやさ [意]乱暴すれば。
ははじょう <名>母上[意]母親。
はまりこむ <動・五>[意]はまり込む。標準語とは活用が一部異なる。
〔未〕はまりこまん [意]はまり込まない。
〔用〕はまりくうだ [意]はまり込んだ。[例]田にはまりくうだ(田んぼにはまり込んだ)
〔仮〕はまりこま [意]はまり込めば。
※緒方出身・悦っちゃん
はみ <名>[意]牛にやる草の餌。
※緒方・奥嶽入道さん
はみきり <名>[意]牛にやる草を適当な長さに切る道具。「押切」のこと。
※緒方・入道さん
はむる <動・中三>[意]はめる。命令形は「はみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕はめん [意]はめない。
〔未〕はみゅう [意]はめよう。
〔仮〕はむら [意]はめれば。
〔命〕はみい、はめよ [意]はめろ。[例]はずれたんなり、もとどおりぃ、はみい(外れたのなら、元通りにはめろ)。
【邦訳日葡辞書】「ハムル」井戸の中などへ落とす、落ち込ませる。
はや <名>[意]コイ科の川魚。「はえ」ともいう。焼いたものを、砂糖と醤油で煮しめると、骨ごと食べられて美味。汁ごとご飯にかけて食べても美味しい。
はやす <動・五>[意]生やす。標準語とは活用が一部異なる。
〔未〕はやさん [意]生やさない。
〔用〕はええた [意]生やした。
〔仮〕はやさ [意]生やせば。
はやむる <動・中三>[意]早める。命令形は「はやみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕はやめん [意]早めない。
〔未〕はやみゅう [意]早めよう。[例]おくるら、わりいき、でるのを、はやみゅうか(遅れるといけないから、出かけるのを早めようか)。
〔仮〕はやむら [意]早めれば。
はゆる <動・中三>[意]生える。映える。栄える。いずれも標準語では下一段活用だが、大分では命令形が「はいい」となるので下二段活用の変形である中三段活用である。
〔未〕はえん [意]はえない。
〔未〕はゆう [意]はえよう。
〔仮〕はゆら [意]生えれば。
はゆる <動・中三>[意]余ったお茶や水などを捨てて容器を空にする。命令形は「はいい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。[例]ゆのみん、ひえたちゃをはゆるわ(湯呑の冷えたお茶を捨てるよ)。
〔未〕はえん [意]捨てない。
〔未〕はゆう [意]捨てよう。
〔仮〕はゆら [意]捨てれば。
※『緒方町誌』
はゆる <動・中三>[意]長く延ばす。命令形は「はいい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。[例]ホースぅ、あらうときゃあ、はゆるんど(ホースを洗うときは、長く伸ばすんだぞ)。
〔未〕はえん [意]伸ばさない。
〔未〕はゆう [意]伸ばそう。
〔仮〕はゆら [意]伸ばせば。
※緒方・入道さん
【解説】漁業の一手法に「延縄漁(はえなわりょう)」がある。針のついた糸を一定間隔でつないだ縄を海に延ばす方法で、見出し語の「はゆる」に通じる。『源平盛衰記』巻三十三に「誠に賤が苧玉環百尋千尋に引きはへて」(まことに賤しい苧環を百尋にも千尋にも引き延ばして)との表現がある。
【邦訳日葡辞書】「ハユル」敷き広げる、または、張り伸ばす。
ばら <名>[意]竹で編んだ円形の平たい容器。農家が椎茸などを干すのに使用するほか、養蚕でも使われた。
はらいせく <句>[意]腹が痛くて早く便所に行かないと粗相をしてしまいかねない切羽詰った状況をいう。「せく」は「急ぐ」の意。
※緒方・入道さん
はらう <動・五>[意]払う。標準語とは活用が一部異なる。
〔未〕はらわん [意]払わない。
〔用〕はろうた [意]払った。大分ではウ音便の形になる。
〔仮〕はらわ、はらや [意]払えば。
はらら <感>[意]あらら。子供が誰かの失敗などを囃す際に使った。[例]はらら、しぇんしぇいに言うちゃろ(あ〜あ、先生に言ってやろう)。
はらら、こらら <感>[意]「はらら」と同じく、子供が遊び仲間の失敗、やってはいけない行いや振る舞いをしたことを、はやすこと。
ばり <名>[意]尿。<参>蚤虱 馬の尿(ばり)する 枕元(芭蕉。教科書には「尿」を「しと」と読ませている)。
【邦訳日葡辞書】「バリ」馬の小便、下賤の者についても用いられる。「ヨバリ」は「夜ばり」で、夜ひとりでに小便をもらすこと。
はりこむ <動・五>[意]精を出す。[例]おそぅまじ、はりこみよんなあ(遅くまで、精を出していますねえ)。
〔未〕はりこまん [意]精を出さない。
〔用〕はりくうじ [意]精を出して。
〔仮〕はりこま [意]精を出せば。
はる <名>原[意]主に地名に付く「原」を「はる」と読む。「ばる」と濁る場合も多い。大分に限らず、九州一帯で使う。地名にちなむのだろうが、「東国原(ひがしこくばる)」「合原(ごうばる)」のように人名で使用される例もある。[例]石原(いしばる)、小原(おはる)、新田原(にうたばる)、前原(まえばる)、田原坂(たばるざか)。
はるる <動・中三>[意]晴れる。アクセントは中の「る」。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「はりい」となることから正確には中三段活用と呼ぶべきである。
〔未〕はれん [意]はれない。
〔未〕はりゅう [意]はれよう。
〔仮〕はるら [意]晴れれば。
【邦訳日葡辞書】「ハルル」晴、腫。
はるる <動・中三>[意]腫れる。平板に発音して「晴るる」と区別する。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「はりい」となることから正確には中三段活用と呼ぶべきである。
〔未〕はれん [意]腫れない。
〔未〕はりゅう [意]腫れよう。
〔仮〕はるら [意]腫れれば。
【邦訳日葡辞書】「ハルル」晴、腫。
はろぉかく <句>[意]腹を立てる。[例]さきゃねえちゅうたら、あいたぁ、はろぉかいち、いんだが(酒はないと言ったら、あいつは腹を立てて帰ったよ)。
※緒方・みっこさ
はわく <動・五>[古]掃(はわ)く[意]掃く。
<参>古語の「帚、箒(ははき)」からか。
〔未〕はわかん [意]はわかない。
〔仮〕はわか [意]はわけば。。
【邦訳日葡辞書】「ハワク」箒で掃く。
ばん <名>[意]見張り。監視。[例]ふろん、たっくちん、ばんぬう、しちょいてな(風呂の焚口を見ていてね)。
はんぎり <名>[意]飯櫃のこと。
※緒方・入道さん
ばんだい <名>[意]万歳。大分ではザ行がダ行になってしまうため「ばんだい」となる。大分では結婚式の披露宴の締めとして万歳三唱が広く行われている。他県ではほとんど例を見ないとか。
はんてがな <名>[意]半人前。おそらく「半手がな」で、「がな」は「分」だろう。
※清川・康晴さん
はんど <名>[意]井戸から汲んだ水を貯めておく水槽や瓶(かめ)。
【邦訳日葡辞書】「ハンドゥ」飯銅、茶の湯その他に使うため、水を入れておく金属製の容器、時には粘土製のものでも飯銅といわれる。
はんもげ <名>[意]メンバーが全員揃わない状態。[例]はんもげじゃあけんど、はじむるな(全員揃っていないけれど、始めますか)。
※清川・宮成さん