まいげ <名>[意]眉毛。
 ※竹田出身、水瀬さん


まう 
<動・五>回う[意]回転する。回る。「舞う」も同じ活用をする。[例]誰もおらんに、扇風機がまいよる(誰もいないのに扇風機が回っている)。しょわしゅうじ、目がまうごたる(忙しくて目が回るようだ)
 〔未〕まわん [意]回らない。
 〔用〕もうた [意]回った。
 〔仮〕まわ、まや [意]回れば。

まう 
<動・五>[意]舞う。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕まわん [意]舞わない。
 〔用〕もうた [意]舞った。
 〔仮〕まわ、まや [意]舞えば。


まかする 
<動・中三>任する[意]任せる。命令形は「まかしい」となるので中三段活用である。
 〔未〕まかせん [意]任せない。
 〔未〕まかしゅう [意]任せよう。
 〔仮〕まかすら [意]任せれば。


まかりつく 
<動・五>[意]巻きつく。
 〔未〕まかりつかん [意]巻きつかない。
 〔仮〕まかりつか [意]巻きつけば。


まかる 
<動・五>[意]値引きできる。買い物で値引きしてもらえるかを店員に尋ねる際に使う。[例]なんぼか、まかるじゃろうか(いくらか値引きしてもらえるだろうか)。
 〔未〕まからん [意]値引きできない。[例]もちっとぉ、まからんなえ(もう少し値引きできないかねえ)。
 〔仮〕まから [意]値引きできれば。


まがる 
<動・五>[意]曲がる。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕まがらん [意]曲がらない。
 〔仮〕まがら [意]曲がれば。

まきつくる 
<動・中三>巻き付くる[意]巻き付ける。命令形は「まきつきい」となるので中三段活用である。
 〔未〕まきつけん [意]巻き付けない。
 〔未〕まきつきゅう [意]巻き付けよう。
 〔仮〕まきつくら [意]巻き付ければ。

まくらがみ 
<名>枕上[意]夢枕。
 ※緒方・奥嶽入道さん


まくる
 
<動・中三>[意]かぶれる。「漆まけ」「櫨まけ」「草まけ」などがある。「肥(こえ)まけ」は下肥が皮膚についてかぶれること。[例]はぜん木にゃあたんなや、まくるんど(櫨の木に触るなよ。かぶれるんだぞ)
 〔未〕まけん [意]かぶれない。
 〔未〕まきゅう [意]かぶれよう。
 〔仮〕まくら [意]かぶれれば


まくる <動・中三>[意]勝負に負ける。奥豊後独特の文語的活用である下二段活用の変形「中三段活用」。命令形が「まけろ」ではなく「まきい」となる。[例]いまんままなり、また、まくるんぞ(今のままなら、また負けるんだよ)。
 〔未〕まけん [意]負けない。
 〔未〕まきゅう [意]負けよう。
 〔仮〕まくら [意]負ければ。


まくる 
<動・中三>[意]値引きする。標準語は「まける」だが、大分では命令形が「まきい」となるので中三段活用となる。[例]これ以上、まくるこたぁでけん(これ以上、値引きしてはならない)。
 〔未〕まけん [意]値引きしない。
 〔未〕まきゅう [意]値引きしよう。
 〔仮〕まくら [意]値引きすれば。


まぐる 
<動・中三>[意]曲げる。命令形は「まぎい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕まげん [意]曲げない。
 〔未〕まぎゅう [意]曲げよう。
 〔仮〕まぐら [意]曲げれば。


まくるる 
<動・中三>[意]まくれる。命令形は「まくりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕まくれん [意]まくれない。
 〔未〕まくりゅう [意]まくれよう。
 〔仮〕まくるら [意]まくれれば。


まじ
 
<副助>[意]まで。[例]あんしゃ、なかなかもどらんが、どこまじ、いったんじゃろうかな(あの人は、なかなか戻って来ないけれど、どこまで行ったんだろうかね)。

まじゃ <連語>[意]までは。[例]かわい増水したちゅうてん、みざぁここまじゃくらせん(川が増水したとっても、水はここまでは来はしない)。

まずる <動・中三>[意]混ぜる。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「まじい」となることから正確には中三段活用と呼ぶべきかも知れない。
 〔未〕まぜん [意]混ぜない。
 〔未〕まじゅう [意]まぜよう。
 〔仮〕まずら [意]混ぜれば。

まぜくる <動・五>[意]@混ぜる。「まずる」に同じ。A混ぜっ返す。[例]ひとい、はなしよるに、まぜくるもんじゃねえ(人が話しているのに、混ぜっ返すものじゃない)。
 〔未〕まぜくらん [意]@混ぜない。A混ぜっ返さない。
 〔仮〕まぜくら [意]@混ぜれば。A混ぜっ返せば。
 ※清川・久洋さん


まち 
<名>[意]田や畑の形や大きさ。[例]あんたがたん、たは、まちがいいきなあ(あなたの所の田は、形がいいからねえ)。
 ※清川・邦友さん


まちがう 
<動・五>[意]間違う。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕まちがわん [意]間違わない。
 〔用〕まちごうた [意]間違った。
 〔仮〕まちがわ、まちがや [意]間違えば。


まちっとお
 
<句>[意]もう少し。「もちっとお」に同じ。[例]まちっとお、のみてえのお(もう少し飲みたいなあ)。

まちなげえ <形>待ち長え[意]待つ時間を長く感じる、待ち遠しい。[例]遠足ん日が、まちなげえなあ(遠足の日が待ち遠しいなあ)。
 〔未〕まちながかろう [意]待ち遠しかろう。
 〔用〕まちなごうなる [意]待ち遠しくなる。
 〔仮〕まちながから [意]待ち遠しければ。
【邦訳日葡辞書】「マチナガイ」待ち遠しいに同じ


まちぼり <名>[意]へそくり。

まっきねえ
 <形>真っ黄ねえ[意]鮮やかな黄色。
 〔未〕まっきなかろう [意]鮮やかな黄色だろう。
 〔用〕まっきのなる、まっきのうなる [意]鮮やかな黄色になる。
 〔仮〕まっきなから、まっきのから [意]鮮やかな黄色であれば。


まっくりい
 <形>真っ黒い[意]真っ黒い。
 〔未〕まっくろかろう [意]真っ黒だろう。
 〔用〕まっくろなる。まっくろうなる [意]真っ黒くなる。
 〔仮〕まっくろから [意]真っ黒ければ。


まっけえ
 <形>真っ赤え[意]真っ赤だ。標準語では形容動詞の活用をする。
 〔未〕まっかかろう [意]真っ赤だろう。
 〔用〕まっこなる、まっこうなる [意]真っ赤になる。
 〔仮〕まっかから、まっこから [意]真っ赤なら。


まっさいい
 <>真っ青い[意]真っ青だ。標準語では形容動詞の活用をする。
 〔未〕まっさおかろう、まっさいかろう [意]真っ青だろう。
 〔用〕まっさおなる、まっさいなる [意]真っ青になる。
 〔仮〕まっさおから、まっさいから [意]真っ青なら。


まっしりい
 
<>真っ白い[意]真っ白い。
 〔未〕まっしろかろう、まっしるかろう [意]真っ白かろう。
 〔用〕まっしるなる、まっしるうなる [意]真っ白くなる。
 〔仮〕まっしろから、まっしるから [意]真っ白ければ。


まっすぎい 
<形>[意]まっすぐだ。標準語では形容動詞の活用をする。

まったく 
<副>[意]絶対に。否定的な意味で使用されることが多い。[例]もう、あげなこたぁ、まったくせんで。ふんとのぉ、まったくしちゃならんのお(もう、あんなことは絶対にしないよ。本当にねえ、絶対にするもんじゃないなあ)。

まっと
 
<副>[意]もっと[例]まっと、あそぼうえ(もっと、遊ぼうよ)。

まっぴぃ
 <>[意]鮮やかな緑色。語源不詳。[例]うちん柿ゃ、まだまっぴいで(うちの柿は、まだ青いよ)。
 〔未〕まっぴかろう [意]青かろう。
 〔用〕まっぴゅうなる [意]青くなる。
 〔仮〕まっぴから [意]青ければ。
【解説】緒方・みっこさが「まっぴい」の「ひ」は、「翡翠」(ひすい)の「翡」(ひ)ではないかと指摘してくれた。「翡翠」は「カワセミ」の読みもあり、雄が「翡」で雌が「翠」だ。ともに綺麗な羽を持つが、とりわけ雄は光の加減で真っ青に見えたり玉虫色に見えたりする。そんな光沢のある青あるいは緑を「翡翠」の「翡」にちなんで「まっぴい」というようになったのかも知れない。


まっぺん(まいっぺん) <句>[意]もう一度。[例]まっぺん、言うちみよ(もう一度、言ってみろ)。

まっぽし(まっぽうし) <名>[意]遮るものがなく一望できる状態。丸見えの状態。[例]そっかりなり、あんいやぁ、まっぽしで(そこからだったら、あの家は丸見えだよ)。

まてえ <形>[意]とろい、人懐こい、おとなしい。[例]おまや、まてえにもほどいある(お前は、とろいにも程がある)。一応は形容詞の活用が成立するが、終止形及び連体形の「まてえ」以外に使われることは滅多にない。
 〔未〕またかろう [意]とろかろう。
 〔用〕まとうなる [意]とろくなる。
 〔仮〕またから [意]とろければ


まどう <動・五>[古]償う[意]弁償する。償う。埋め合わせをする。『東海道中膝栗毛』に、石地蔵の鼻を欠いた北八に「田舎者」が「もとのとをりまどわっせへ」と弁償を迫る場面がある。
 〔意〕まどわん [意]弁償しない。
 〔用〕まどうた [意]弁償した。
 〔仮〕まどわ、まどや [意]弁償すれば。
 ※緒方・奥嶽入道さん 

まとむる 
<動・中三>[意]まとめる。命令形は「まとみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕まとめん [意]まとめない。
 〔未〕まとみゅう [意]まとめよう。
 〔仮〕まとむら [意]まとめれば。


まどろしい
 
<形>[意]とろい。
 〔未〕まどろしかろう [意]どろかろう。
 〔用〕まどろしゅなる、まどろしゅうなる [意]とろくなる。
 〔仮〕まどろしから [意]とろければ。
 ※『岡藩のひらくち』


まぬる <動・中三>[意]人や動物の仕種の真似をする。
 〔未〕まねん [意]真似ない。
 〔未〕まにゅう [意]真似よう。
 〔仮〕まぬら [意]真似れば。
【邦訳日葡辞書】「マヌル」物まねをする、あるいは、模倣する。


まへび
 <名>真蛇[意]有鱗目クサリヘビ科の毒蛇、蝮。

まま <名>[意]幼児語。ご飯。
 ※緒方・入道さん


まめす
 
<動・五>[意]まぶす。
 〔未〕まめさん [意]まぶさない。
 〔仮〕まめさ [意]まぶせば。
 ※『岡藩のひらくち』
【邦訳日葡辞書】「マメス」栗の粉や豆の粉などに餅を入れてするように粉をつける、また、泥だらけにする。


まめする <句>[意]そのままにする。「そんまめぇする」から「その」に当たる「そん」が省かれた形。[例]まめしちょけ(そのままにしておけ)。
 ※緒方・みっこさ


まめる 
<動・五>[意]手に馴染む。人に馴染む。肯定的な意味で用いられることは少なく、未然形「まめらん」が多く使われる。
 〔未〕まめらん [意]馴染まない。[例]手にまめらん(思うように手で扱えない)。A社交的でない[例]あんしゃ、人にまめらん(あの人は人の輪に入っていけない)。
 〔未〕まめろう [意]馴染もう。
 〔仮〕まめら [意]馴染めば。
 ※緒方・入道さん


まめろしい
 
<形>[意]かいがいしい。
 〔未〕まめろしかろう [意]かいがいしかろう。
 〔仮〕まめろしから [意]かいがいしければ。
 ※『岡藩のひらくち』


まりい <形>[意]丸い。強調は「まありい」、さらに強調すると「まんまりい」。
 〔用〕まるなる、まるうなる [意]丸くなる。
 〔仮〕まるから [意]丸ければ。


まりかぶる
 <動・五>[意]主に大便をし損なう、もらす。似た言葉である「しかぶる」は主に「小便をし損なう」<参>かぶる。
 〔未〕まりかぶらん [意]大便をし損なわない。
 〔仮〕まりかぶら [意]大便をし損なえば。


まる <動・五>[古]()る[意]大辞林は「大小便をする」と説明するが、大分では主に「大便をする」。「屎(くそ)まり散らしき」(古事記)。「ひる」と似るが、「ひる」が放屁にも使うのに対して「まる」は放屁には使用しない。また、「まる」の方が上品な表現で、女性が使うことはほとんどない。標準語の「お虎子(まる)」は持ち運びできる便器のこと。
 〔未〕まらん [意]大便をしない。
 〔仮〕まら [意]大便をすれば。
 〔命〕まれ [意]大便をしろ。
<参>からたちの 茨刈り除け 倉建てむ 屎遠くまれ 櫛造る刀自(からたちの、いばらを刈り除いて、倉を建てるのだ、くそは遠くに行ってせい、櫛つくりのおばちゃんよ=萬葉集3832)。この訳だと少々状況がわかりにくい。つまり、普段はからたちのイバラの陰で大便をしていた櫛作りのおばちゃんたちに、「そこのイバラを取り除いて倉を建てるのだから、これからはもっと遠くに行って(ウンチを)してくれ」と呼びかけている。おおらかな時代の素朴な労働歌だ。
【邦訳日葡辞書】「マル」虎子。小便、あるいは、大便をするのに使う容器。この辞書が編まれた17世紀初めには既に動詞としての「まる」は廃れて、名詞形としてのみ残ったものだろうか。


まるっと <副>[意]まるごと、全部。[例]そきあるがな、まるっとくれなあ(そこにあるだけ、全部ください)。

まるむる <動・中三>[意]丸める。命令形は「まるみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕まるめん [意]丸めない。
 〔未〕まるみゅう [意]丸めよう。
 〔仮〕まるむら [意]丸めれば。

まんがわりい <句>[意]間が悪い。ばつが悪い。
 ※清川・邦友さん


まんまんちゃん
 <名>[意]幼児語。語源不詳だが、大人が幼児と一緒に仏壇や墓の先祖にお参りする際、こう言って子供に手を合わせさせた。筆者は昔、大人から「まんまんちゃん、あん」と言われて拝んだ記憶がある。最後の「あん」で頭を下げた。
 ※竹田出身、水瀬さん

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