もうがら <副>[意]こんなに早くから。[例]あんしゃ、もうがら、しごつぅしよるが(あの人は、こんなに早くから仕事をしているよ)。
※緒方・みっこさ
もうくる <動・中三>[意]儲ける。命令形は「もうきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕もうけん [意]もうけない。
〔未〕もうきゅう [意]もうけよう。[例]
〔仮〕もうくら [意]もうければ。[例]なばじ、もうくら、どっかいくか(椎茸で儲けたら、どこかに行こうか)。
もうしあげ <名>[意]告げ口。
もうしあげする <句>申し上げする[意]言いつける。告げ口をする。[例]あんやたぁ、なにかっちゅうと、すぐ、先生に申し上げするんじゃ(あいつは、なにかというとすぐに先生に言いつけるんだ)。
※緒方・入道さん
もうしもうしこめんだんご <句>[意]昔話のおしまいにつける慣用句、「もし、もし、米の団子」。語義不詳。
<参>『吉四六ばなし』の最後には「もうすこうす、米ん団子、あした食べたらひえん団子……」と記されている。
もえひどる <動・五>燃えひどる[意]竈や風呂の焚き口に入れた薪が燃えるにつれて、火が徐々に焚き口の外に出ること。焚火の火が中心部から遠ざかること。「ひどる」は後退すること。
〔未〕もえひどらん [意]火が後退しない。[例]もえひどらんごと、みちょれや(火が後退しないよう監視していろよ)。
〔仮〕もえひどら [意]火が後退すれば。[例]もえひどら、あぶねえきの(火が後退したら危ないからな)。
もおん <名>[意]四つんばい。大便を終えた幼児の尻を拭くために四つんばいになるよう幼児に呼びかける言葉。牛の鳴き声「もお」から来ているのではないだろうか。[例]すんだな、なり、もおんしよ(終ったかな、では、四つんばいになって)。
※緒方・入道さん
もがう <動・五>[意]逆らう。[例]おまや、親にもがうんか(お前は親に逆らうのか)。<参>口もがい
〔未〕もがわん [意]逆らわない。
〔未〕もがおう [意]逆らおう。
〔用〕もごうた [意]逆らった。
〔仮〕もがわ [意]逆らえば
もぐらもち <名>[意]食虫目モグラ科の哺乳類の総称。大辞林にも「もぐら」の別称として記載されている。
※緒方・入道さん
もぐる <動・中三>[意]もげる。命令形は「もぎい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕もげん [意]もげない。
〔未〕もぎゅう [意]もげよう。
〔仮〕もぐら [意]もげれば。
もち <句>[意]元に。[例]つこうたら、もち、もどしちょけや(使ったら、元に戻しておけよ)。
もちっとお <副>[意]もう少し。「まちっとお」に同じ。
※緒方・入道さん
もっちかん <句>[意]持って行かない。「持っち行かん」が縮まった形。[例]なし、もっちかんのな(なぜ、持って行かないの)。
もっちきよ <句>[意]持ってきなさい。[例]こき、もっちきよ(ここに、持ってきなさい)。
もっちく <句>[意]持っていく。「持っち行く」が縮まった形。[例]土産にゃ、なにゅう、もっちくかのお(土産には何を持っていくかなあ)。
もっちけ <句>[意]持っていけ。「持っち行け」が縮まった形。[例]これも、もっちけ(これも、持っていけ)。
もつる <動・中三>[意]異性に好かれる。もてる。命令形は「もちい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕もてん [意]もてない。
〔未〕もちゅう [意]もてよう。
〔仮〕もつら [意]もてれば。
もてん(もちぇん) <形>[意]たまらない、やりきれない。[例]あつぅじ、もてんがのお(暑くてたまらないよねえ)。
もどがる <動・五>[意]可愛がる。「むどがる」とも。[例]あん、ばあさんな、よめじょぅ、とてんもどがる(あのおばあさんは、嫁を大変可愛がる)。
〔未〕もどがらん [意]可愛がらない。
〔仮〕もどがら [意]可愛がれば。
もどぎい <形>[意]可哀そう。「むぞぎい」に同じ。
〔未〕もどぎかろう [意]可哀そう。
〔用〕もどぎゅうなる [意]可哀そうになる。
〔仮〕もどぎから [意]可哀そうであれば。
もどす <動・五>[意]返す。標準語とは活用が一部異なる。[例]かったかにゃあ、すぐもどさなど(借りたお金は、すぐに返せよ)
〔未〕もどさん [意]返さない。
〔仮〕もどさ [意]返せば。
もどる <動・五>[意]@帰る。[例]いまかりもどる(今から帰る)。A還る。[例]おとしたてちょうい、もどっちきた(落とした手帳が還ってきた)。
〔未〕もどらん [意]かえらない。
〔仮〕もどら [意]かえれば。
もま <名>[意]リス科の哺乳類、むささび。
<参>「むささび・もま事件」=大正時代に、高知県でむささびを捕ったとして狩猟法違反の罪に問われた男が「私はもまは捕ったが、むささびは捕っていない」と無罪を主張し、法律論争が起こった。当時の大審院は「法律を知らなかっただけ」として男の主張を退け、有罪を言い渡した。
もみどうら <名>[意]籾俵。
※緒方・入道さん
もむる <動・中三>[意]もめる。言い合いや揉み合いといった紛争状態になる。命令形は「もみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕もめん [意]もめない。
〔未〕もみゅう [意]もめよう。
〔仮〕もむら [意]もめれば。
ももたぶ <名>[意]太もも。
ももたん <名>[意]太もも。「ももたぶ」に同じ。
もゆる <動・中三>[意]燃える。命令形は「もいい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕もえん [意]燃えない。
〔未〕もゆう [意]燃えよう。
〔仮〕もゆら [意]燃えれば。
もらう <動・五>[意]貰う。標準語とは活用が一部異なる。
〔未〕もらわん [意]貰わない。
〔用〕もろうた [意]貰った。ウ音便の形となる。
〔仮〕もらわ、もらや [意]貰えば。
もるる <動・中三>[意]漏れる。命令形は「もりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕もれん [意]漏れない。
〔未〕もりゅう [意]漏れよう。
〔仮〕もるら [意]漏れれば。