〜に <接助>[意]〜のに。「〜にから」に同じ。[例]俺い我慢しちょる、なし、わがい我慢しきらんのか(私が我慢しているのに、どうしてお前が我慢できないのか)。

におう <動・五>[意]においを嗅ぐ。標準語では「ある匂い、香りがあたりにただよう」「花などの物がある匂いを発散する」ことを指す自動詞だが、大分では「漂うにおいや香りを嗅ぐ」ことを指す他動詞として使われる。ただし、変な匂いがする際に「なんか匂う」のように標準語と同じく自動詞としても使う。[例]ちょっと、におうちみな(ちょっと、においを嗅いでみてよ)。
 〔未〕におわん [意]嗅がない。[例]
 〔未〕におおう [意]嗅ごう。
 〔用〕におうた [意]嗅いだ。
 〔仮〕におわ、におや [意]嗅げば。
 ※竹田出身、水瀬さん


にかい 
<名>[意]母屋のそばの離れ。それが平屋でもこう呼んだ。
 ※緒方・みっこさ


〜にから 
<接助>[意]〜のに。「〜に」に同じ。[例]だまっちょいてちいうたにから、なしいうんな(黙っていてと言ったのに、どうして言うの)。
 
※竹田出身・水瀬さん


にきい
 
<形>[意]憎い、にくたらしい。[例]にきい、やっちゃ(憎たらしいやつだ)。
 〔用〕にくうなる [意]憎くなる。
 〔仮〕にくから [意]憎ければ。

〜にきい <接尾>[意]〜にくい、〜するのが困難だ。[例]道がじりいきい、歩きにきい(道がぬかるんでいるものだから、歩きにくい)。

にぎやけえ <形>[意]にぎやかだ。標準語では形容動詞だが、大分では形容詞の活用をする。
 〔用〕にぎやこう [意]にぎやかに。[例]にぎやこうなったのお(にぎやかになったねえ)。
 〔仮〕にぎやかから [意]にぎやかなら。[例]そげえ、にぎやかから、くじゅういわるるで(そんなににぎやかなら、文句を言われるよ)。


にくじゅう
 <名>[意]憎まれ口、意地悪。[例]そげんにくじゅう言うもんじゃねえ(そんな憎まれ口をきくもんじゃない)。

にくどん <名>[意]子供の遊び。地面に陣地を描き、互いに攻めあう。
 ※緒方・入道さん


にぐる 
<動・中三>[意]逃げる。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「にぎい」となることから正確には中三段活用である。
 〔未〕にげん [意]逃げない。[例]なし、にげんのな(どうして逃げないの)。
 〔未〕にぎゅう [意]逃げよう。[例]はよ、にぎゅうえ(早く逃げようよ)。
 〔仮〕にぐら [意]逃げれば。[例]にぐら、いつまじでん、おいかけらるる(逃げれば、いつまででも追いかけられる)。
 〔命〕にぎい、にげよ [意]逃げろ。[例]はよ、にぎい(早く逃げろ)。


にごじゅう
 <句>[意]×5=10で、誰でも知っている当然のこと。[例]そげんこた、にごじゅうじゃ(そんなことは、当たり前のことだ)。

にしゃんにしゃん 
<副>[意]意味もなくへらへらとする様子。薄ら笑いをする様。[例]あんしゃあ、いってん、にしゃにしゃんしちょるなあ(あの人はいつも、へらへらしているねえ)。
 ※緒方・みっこさ


にする 
<動・中三>[意]似せる。命令形は「にしい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕にせん [意]似せない。
 〔未〕にしゅう [意]似せよう。
 〔仮〕にすら [意]似せれば。


にやくる 
<動・中三>[意]にやける。命令形は「にやきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕にやけん [意]にやけない。
 〔仮〕にやくら [意]にやければ。


にやす 
<動・五>[意]手を抜く。サボる。[例]ゆたぁっとしち、なぬ、にやしよんのか(だらだらとして、なにを、さぼっているんだ)。
 〔未〕にやさん [意]手を抜かない。
 〔仮〕にやさ [意]手を抜けば。
 ※緒方・入道さん


にゆる 
<動・中三>[意]煮える。標準語では下一段活用だが、大分では下二段活用となる。ただし、命令形が「にいい」となるので、正確に言うと中三段活用である。
 〔未〕にえん [意]煮えない。[例]いまぁ、まだ、にえんな(芋はまだ煮えないかな)。
 〔未〕にゆう [意]煮えよう。[例]もう、じきい、にゆうで(もうすぐに煮えるでしょうよ)。
 〔仮〕にゆら [意]煮えれば。[例]にゆら、いうちょくれ(煮えれば言っておくれ)。


にる 
<動・五>[意]煮る。似る。標準語では上一段活用だが、ラ行五段活用となる。
 〔未〕にらん [意]にない。[例]こんいもぁ、にらんじ、やいたほうがうめえ(この芋は煮ないで焼いた方がおいしい)。
 〔仮〕にら [意]にれば。[例]にら、どげえあるんな(煮たら、どんな味がするんですか)。
 〔命〕にれ、によ [意]煮ろ。
 ※竹田市出身・水瀬さん


にわ 
<名>[古語]庭[意]屋内にある土間のこと。文字通り下は土で、そこには台所や竈(かまど)、水を汲み置く「はんど」などがあった。草履や下駄に付着して外から持ち込まれる泥のため、一面に凹凸が出来、定期的に鍬で表面をこそぎとっては捨てていた。一般的に屋敷の敷地内にある屋外の空間を指す「庭」のことは、大分弁では「坪」と言い、これも古語を受け継ぐ。

にんがにん <句>[意]「人が人」で、一般の庶民のこと。並の人。[例]おれどおみたよな、にんがにんな、こげなところにゃあ、こられんで(俺たちみたいな普通の庶民は、こんなところには来られないよ)。

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