<接尾>[意]人名につけて敬意、親愛の意を表す「さん」の意味。[]、今日はどこいきな(亀さん、今日はどちらに行くんですか)。

さあ、さあ 
<句>[意]相手の話に同意して相槌をうつ際に使う。「そう、そう」。[例]ししならしゅう、いつするかのう。さあ、さあ、なかなか、みない、そろわんきなあ(獅子舞の練習をいつするかねえ。そうそう、なかなか皆がそろわないからねえ)。

さいこんづち 
<名>[意]木の槌。

ざ(だ)いしょあるき 
<名>在所歩き[意]正月やお盆など折々に実家に挨拶に行くこと。
 ※緒方出身・Hiroさん


さいぜん
 <副>最前[意]さっき、ちょっと前。

さいだす <動・五>[意]差し出す。
 〔未〕さいださん [意]差し出さない。
 〔用〕さいでえた [意]差し出した。[例]てを、さいでえたんじゃ(手を差し出したんだ)。
 〔仮〕さいださ [意]差し出せば。


さかし 
<名>[意]逆さま。「し」は「方向」を意味する。ほかに「よこし」(横様に)、「たてし」(縦様に)がある。[例]あんえは、さかしぃなっちょる(あの絵は、逆さまになっている)。

さかむけ 
<名>[意]指先の皮がささくれ状態になること。なぜか、これができると親不孝だと云われる。

さかる 
<動・五>盛る[意]発情期を迎えた動物が交尾すること。標準語では「盛りが付く」と名詞形で使用される。大辞林は「盛る」を収録し「動物が発情する」と説明しているが、大分弁では「発情したことに伴う行為」をさす。
 〔未〕さからん [意]交尾しない。
 〔仮〕さから [意]交尾すれば。
 ※清川・康晴さん
【邦訳日葡辞書】「サカル」獣の交尾期になる、あるいは、その時期である。「猫がさかる」。

さく 
<動・五>[意]咲く。標準語とは活用形が一部異なる。
 〔未〕さかん [意]咲かない。
 〔用〕せえた [意]咲いた。[例]うめい、もう、せえたが(梅がもう咲いたよ)。
 〔仮〕さか [意]咲けば。


さくる 
<動・中三>[意]避ける。「よける」に同じ。命令形は「さきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕さけん [意]避けない。
 〔未〕さきゅう [意]避けよう。
 〔仮〕さくら [意]避ければ。
 〔命〕さきい、さけよ [意]避けろ。


さくる 
<動・中三>[意]裂ける、割ける。命令形は「さきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である
 〔未〕さけん [意]裂けない。
 〔未〕さきゅう [意]裂けよう。
 〔仮〕さくら [意]裂ければ。
 〔命〕さきい、さけよ [意]裂けろ。


さぐる 
<動・中三>[意]下げる。標準語では下一段活用だが、大分では下二段活用となる。ただし、命令形が「さぎい」となるので、正確に言うと中三段活用である。[例]
 〔未〕さげん [意]下げない。
 〔未〕さぎゅう [意]下げよう。
 〔仮〕さぐら [意]下げれば。
 〔命〕さぎい、さげよ [意]下げろ。[例]あたもぉ、さぎい(頭を下げろ)。


ささぐり 
<名>小栗[意]ブナ科の落葉高木、栗の一品種。山栗に比べて果実が小さい。「芝栗」に同じ。
 ※緒方・みっこさ


さじい
 
<形>[意]すばしこい。[例]ちょっとん、なかめえ、おらんごつなっちしもうた。あんやたぁ、さじいやっちゃ(ほんの少しの間に、あいつはいなくなってしまった。すばしこいやつだ)。
 〔用〕さずうなる [意]すばしこくなる。
 〔仮〕さずから [意]すばしこければ
[例]あげえ、さずから、つかまりめえ(あんなにすばしこければ、捕まるまい)。

さしぐる 
<動・五>[意]都合を合わせる。[例]しよういねえき、さしぐるしか、あるめえで(仕方がないから都合を合わせるしかないね)。
 〔未〕さしぐらん [意]都合を合わせない。
 〔仮〕さしぐら [意]都合を合わせれば。
 ※清川・邦友さん


さしより 
<副>[意]とりあえず、さしあたって。[例]さしより、ビールにしゅう(とりあえず、ビールにしよう)。
 ※朝地出身・理香さん、緒方出身・HIROさん

さする 
<動・中三>[意]させる。他人にある動作をするよう勧めたり指示する。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「さしい」となることから正確には中三段活用である。
 助動詞としても同じで「来させる」は大分では「来さする」となる。命令形は「来さしい」である。
 〔未〕させん [意]させない。[例]こんしにゃ、させん(この人にはさせない)。
 〔未〕さしゅう [意]させよう。[例]だれに、さしゅうか(誰にさせようか)。
 〔仮〕さすら [意]させれば。〔例〕だれに、さすら、よかろうかな(誰にさせれば良いだろうかね)。
 〔命〕さしい、させよ [意]させろ。[例]あれい、さしい(あいつに、させろ)。


さぜこむ <動・五>[意]差し込む。手でかきよせて入れる。
 〔未〕さぜこまん [意]差し込まない。
 〔用〕さぜくうだ [意]差し込んだ。
 〔仮〕さぜこま [意]差し込めば。


さっかりだき(さっかりざき)
 
<副>[意]次から次に。元は「先から先」で、「さっから、ざき」と濁音になり、ザ行とダ行の混同が起きた結果として「さっかりだき」となったのだろう。大分では「〜から」は「〜かり」となる。[例]さっかりだき、分からんこつんじょう言う(次から次に、訳の分からないことばっかり言う)。

さっこんた 
<名>[意]水流を利用した臼。容器に水が一杯になると杵が上がり、傾いた容器から水が流れ出ると杵が下りる仕組み。
 ※緒方・入道さん


ざった 
<連語>[意]なかった。打消しの「ず」の過去形。[例]いわざった(言わなかった)。かかざった(書かなかった)。きかざった(聞かなかった)。せざった(しなかった)。

さっち 
<副>[意]あえて、わざわざ。「しゃっち」に同じ。
 ※緒方出身・悦ちゃん


さっぱそうらん 
<連語>[意]めちゃくちゃ。

さとがら 
<名>[意]タデ科の多年草、イタドリ。
 ※清川・康晴さん


さなぼり 
<名>[意]田植えが終わった後にする宴会や小旅行。語源不詳。「田植えよこい」「泥落とし」に同じ。清川村六種のうちでも、尾根筋の宮津留上は使うが、尾根下の宮津留、小原は使わないという。尾根筋から西方に当たる緒方町馬背畑でも使う。竹田市荻町、同久住町でも使うという。
 ※清川・邦友さん


さね
 <接助>[意]〜の方へ、〜の方に。[例]うちん娘ぁ今朝、大分さね行ったで(うちの娘は今朝、大分に行ったよ)。 <類>「しに」、「どり」

さびい <形>[意]寒い。「さみい」に同じ。
 〔用〕さぶうなる、さぶなる [意]寒くなる。
 〔仮〕さぶから [意]寒ければ。


さぶた 
<名>[意]灌漑用水路から水田に水を引くために、水路の流れをせき止める板。水田の水口にもあった。

さぶる 
<動・中三>[意]箕を使って穀類に混じったごみを選別すること。命令形は「さびい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。[例]ちょっと、こるぅさべえちくれなあ(ちょっと、これを選別してください)。
 〔未〕さべん [意]選別しない。
 〔用〕さべえた [意]選別した。
 〔仮〕さぶら [意]選別すれば。
 〔命〕さびい [意]選別しろ。


さぶる 
<動・中三>[意]錆びつく。錆びる。大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕さべん [意]錆びない。[例]さべんごと、ふいちょきよ(錆びないように拭いておきなさい)。
 〔未〕さびゅう [意]錆びよう。[例]そんまめしちょくと、さびゅうで(そのままにしておくと、錆びるだろうよ)。
 〔仮〕さぶら [意]錆びれば。 [例]さぶら、こまんので(錆びれば困るんだよ)。
 〔命〕さびい [意]錆びろ。
【邦訳日葡辞書】「サブル」鉄などが錆びる。


さまむ(も)ねえ 
<句>[意]罰当たり。[例]あ〜あ、また、そげえ、くいちらかしち、さまむ(も)ねえこつう、したらいけんで(あ〜あ、またそんなに食べ散らかして、罰当たりなことをしてはだめだよ)。
 ※緒方・入道さん


ざまぁねえ(だまぁねえ)
 <句>[意]@大変。[]ねこんこは、ざまあねえ、ええらしい(猫の子は、大変可愛い)A取り散らかしている様。[例]ざまあねえのぉ、ちったぁかたづきいや(ひどく散らかっているなあ、少しは片付けろよ)。

さみい <形>[意]寒い。「さびい」に同じ。
 〔用〕さむなる、さむうなる [意]寒くなる。[意]えらい、さむなったなあ(ずいぶん寒くなったねえ)。
 〔仮〕さむから [意]寒ければ。[例]さむから、きよえ(寒ければ着なさいね)。


さむる 
<動・中三>[意]冷める、覚める、醒める。命令形は「さみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕さめん [意]さめない。
 〔未〕さみゅう [意]さめよう。[例]ぼつぼつ、めがさみゅうで(そろそろ目覚めるだろうよ)。
 〔仮〕さむら [意]さめれば。[例]よいがさむら、さむなるきな(酔いが冷めたら寒くなるからね)。
 〔命〕さみい、さめよ [意]さめろ。
【邦訳日葡辞書】「サムル」冷、覚、醒。


さらばか
 <名>更馬鹿、空馬鹿?[意]ひどい馬鹿、馬鹿の上を行く馬鹿。「すらばか」とも。[例]そげなんぬ、さらばかちゅうんじゃ(そういうのを、さらばかというのだ)

さらゆる <動・中三>[意]鍋などの容器の中身をきれいにあけること。水路や池、沼などの底のごみなどをきれいに取り去ること。浚(さら)う。
 〔未〕さらえん [意]さらえない。[例]いけは、まだ、さらえんのな(池はまだ、さらえないの)。
 〔未〕さらゆう [意]さらえよう。[例]あした、いきゅう、さらゆう(明日、池をさらえよう)。
 〔仮〕さらゆら [意]さらえれば。[例]いきゅう、さらゆら、なんがとるるじゃろうか(池をさらえれば、何がとれるだろうか)。
 〔命〕さらいい、さらえよ [意]さらえろ。
【邦訳日葡辞書】「サラユル」水の導管、泉などを掃除する。


〜さるる 
<動・中三>[意]@受け身の形の「〜される」。A敬語の「される」。標準語では下一段活用だが、大分では下二段活用の変形「中三段活用」となる。命令形は「されろ」ではなく「さりい」。

され
 
<接尾>主に人を見下す言葉を強調する[意]〜のようなつまらない者。[例]こんがきされが、また至らんこつぅしち(このガキが、またつまらないことをして)。 <参>極道され、外道され

されされ(さあれ、さあれ) <感>[意]相手の言葉に対して同意を表す際に使用する。まったくそのとおりである。そうそう。[例]あんきが、おしょるるた、よっぽどついいかぜじゃったんでのお。されされ(あの木が折れるとは、よほど強い風だったんだねえ。まったくだねえ)。
 ※三鷹・あんちゃん
<解説>確証はないが、往々にして「さあれ、さあれ」と表現されることが多いことから、強調の法則である係り結び「こそ〜已然形」の形ではないかと思う。つまり「さ・こそ・あれ」が短縮された形として「され、され」となっているのではないだろうか。緒方出身の前ちゃんからは「さりゃ、さりゃ」と言うとの指摘があった。


さんぱち
 
<接尾>強調の語[例]挙句んさんぱち(挙句の果てに)、おおのきさんぱち(仰向けになる)。

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