せいた <名>背板[意]背負子(しょいこ)。薪や刈り取った草などを運ぶ際に使用する。
※緒方・入道さん
せいまぎる <動・五>[意]人の話に横から割って入って邪魔をすること。「せまぎる」に同じ。
〔未〕せいまぎらん。[例]あんしゃ、いってん、せいまぎらんじゃおれんしじゃ(あの人はいつも人の話の邪魔をしないではいられない人だ)。
〔仮〕せいまぎら。[例]あげえ、せいまぎらわりいわなあ(あんなに人の話を邪魔すれば良くないよねえ)。
※緒方町出身・前ちゃん
せがう <動・五>[意]からかう。[例]そげえ、こんめえ子をせがうもんじゃねえ(そんなに、小さい子をからかうものじゃない)。
〔未〕せがわん [意]からかわない。[例]せがわんごと、いうちょくれ(からかわないように言ってください)。
〔用〕せごうた [意]からかった。[例]また、せごうたんか(また、からかったのか)。
〔仮〕せがわ [意]からかえば。[例]あんまれ、せがわ、なくが(あんまりからかうと泣くよ)。)
せからしい <形>[意]騒々しい。うるさい。耳障りだ。「しぇからしい」に同じ。
〔用〕せからしゅう [意]うるさく。[例]そげえ、せからしゅういいなんな(そんなにうるさく言わないで)。
〔仮〕せからしから [意]うるさければ。[例]あんまれ、せからしから、つれち、いぬる(あんまりうるさくすれば連れて帰る)。
せかる <動・五>堰かる[意]水路などの流れに、草などのごみが引っ掛かって水の流れを悪くすること。[例]いぜにごみがせかっちょるで(用水路にごみが引っ掛かって溜まっているよ)。
〔未〕せからん [意]堰き止めない。[例]せからんごつ、しちょくれ(流れを悪くしないようにしてください)。
〔仮〕せから [意]堰き止めれば。[例]せから、こまるききな(流れが悪くなったらこまるからね)
<参>瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の 割れても末に 会はむとぞ思う(崇徳院)。
※緒方・みっこさ
せきとむる <動・中三>[意]川や水路の流れを板などで止める。命令形は「せきとみい」で、大分独特の変形下二段活用の中三段活用である。
〔未〕せきとめん [意]堰き止めない。
〔用〕せきとみゅう [意]堰き止めよう。
〔仮〕せきとむら [意]堰き止めれば。
〔命〕せきとみい [意]堰き止めろ。
【邦訳日葡辞書】「セキトムル」川などの水をせき止める。
せく <動・五>[意]急ぐ。辞書に載る標準語だが、通常耳にすることは稀。大分では「急ぐ」よりも「せく」が一般的に使用される。[例]そげえせかんでん、あさぢゃぐれのんじいきなあ(そんなに急がないで、朝茶でも飲んでいきなさい)。
〔未〕せかん [意]急がない。[例]そげえ、せかんでんいい(そんなに急がなくても良い)。
〔用〕せいた [意]急いだ。[例]よっぽど、せいたんじゃろうなあ(よほど急いだんだろうねえ)。)。
〔仮〕せか [意]急げば。[例]せか、せくほづ、きをつけないけんで(急げば急ぐほど気を付けなければいけないよ)。
<参>はらいせく
※緒方・みっこさ
せく <動・五>[意]水の流れをせき止める。
〔未〕せかん [意]堰き止めない。
〔仮〕せか [意]堰き止めれば。
※緒方・みっこさ
【邦訳日葡辞書】「セク」堰く。川などの水をせき止める。
せこ <名>[意]想像上の動物。河童が陸に上がったもの。春先になると陸に上がってせこになり、ひゅうひゅう鳴くといわれた。
※『緒方町誌』
せざった <句>[意]しなかった。文語的表現「せず」の過去形で、主に高齢者が使う。[例]みない、いうけんど、わしゃ、せざった(みんなが言うけれど、わしはしなかった)。
せごぉかるう <句>背甲を担う[意]猫背の人の様子。年を取って背中が曲がること。[例]おいさんな、せごぉかるうち、あるくごとなった(おじさんは、年を取って背中が曲がって歩くようになった)。
※『緒方町誌』
せせろしい <形>[意]落ち着きがなく動き回る様子をいう。小うるさい。[例]ああもう、せせろしいこじゃなあ(ああもう、落ち着きのない子だねえ)。
〔用〕せせろしゅう [意]落ち着きがなく。[例]せせろしゅう、しなんなえ(落ち着きなくうろうろとしないでね)。
〔仮〕せせろしから [意]落ち着きがなければ。[例]せせろしから、おいだせ(落ち着きがなくうろうろするなら追い出せ)。
せちい(しぇちぃ、せてぃ) <形>[近]切(せつ)い[意]嫌だ、つらい、苦しい。強調では「せっちぃ(しぇっちぃ、せってぃ)」。[例]ああ、せちいのお、また台風が来よる(ああ、嫌だなあ。また台風がこちらに向っている)。
〔未〕せつねえ、せつうねえ [意]嫌でない。標準語の「切ない」とは異なり「せつねえ」は「せつうねえ」の「う」が省略された形である。[意]せつうねえな(嫌じゃないかい)。
〔用〕せつなる、せつうなる [意]嫌になる。[例]だんだん、せつなった(だんだん嫌になった)。
〔仮〕せつから [意]嫌なら [例]せつから、かいってんいいで(嫌なら帰ってもいいよ)。
せちげねえ <副>[意]可哀そう、気の毒な。[例]あっこん家に泥棒が入ったんと、せちげねえなあ(あの家に泥棒が入ったそうだ。気の毒に)。
せっちんそだち <名>雪隠育ち[意]戸締りのいい加減な人のこと。
せっちんばし <名>雪隠橋[意]@便所の足場として、地面に掘った穴や桶に渡した二枚の板。A丸に二を書いた家紋。正しくは「丸に二つ引両紋(まるにふたつひきりょうもん)」。
※清川出身・三鷹んあんちゃん
せど <名>背戸[意]家と家の間の狭い通路。家の裏手。
※緒方・入道さん
【邦訳日葡辞書】「セド」家の裏手、または、ある隠れた場所。
せまぎる <動・五>[意]会議などで物事が順調に推移しているにもかかわらず、横合いからしゃしゃり出て余計なことを言ったりしたりして、ぶち壊しにしてしまうこと。「せいまぎる」に同じ。
〔未〕せまぎらん [意]邪魔をしない。[例]あんやつが、また、せまぎらんごと、みちょれや(あいつがまた、ぶち壊しにしないよう注意しろよ)。
〔仮〕せまぎら [意]邪魔をすれば。[例]また、せまぎら、どげえすらいいな(またぶち壊しにしたら、どうすればいいかな)。
※清川・康晴さん
せまちだおし(せまちどうし) <名>[意]数枚の狭い田を一枚にまとめ広くすること。基盤整備。
※『緒方町誌』
【邦訳日葡辞書】「セマチ」一日の農耕面積、または、田の区画。
せむる <動・中三>[意]@攻めるA責める。命令形は「せみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
〔未〕せめん [意]せめない。[例]せめんと、まくるど(攻めないと負けるよ)。
〔未〕せみゅう [意]せめよう。[例]どうせなり、せみゅうえ(どうせなら攻めようよ)。
〔仮〕せむら [意]せめれば。[例]よこかり、せむら、どげえじゃろう(横から攻めればどうだろうか)。
〔命〕せみい [意]せめろ。[例]しんけん、せみい(真剣に攻めろ)。
【邦訳日葡辞書】「セムル」責め苦しめる、または、攻め戦う、または、圧迫する。
せめえ <形>[意]狭い。
〔用〕せもうなる [意]狭くなる。[例]そっかり、みちが、せもうなるんじゃ(そこから道が狭くなるんだ)・
〔仮〕せまから [意]狭ければ。[例]こげえ、せまから、とおられん(こんなに狭かったら通ることができない)。
せらいご <名>[意]子の出来ない夫婦が、養子をもらった後に出来る実子。
※『緒方町誌』
せらう <動・五>[意]妬む。[例]あんしゃ、すぐせらうきな(あの人は、すぐに妬むからね)。
〔未〕せらわん [意]妬まない。
〔用〕せろうた [意]妬んだ。
〔仮〕せらや [意]妬めば。
※清川・邦友さん
せる <動・五>[古]「迫(せ)り上がる」から[意]押す。[例]エンジンがかからんなった、ちょっと、みなじせっちくりい(エンジンがかからなくなった、ちょっと皆で押してくれ)。
〔未〕せらん [意]押さない。[例]せらんと、いごかん(押さないと動かない)。
〔仮〕せら [意]押せば。[例]せら、いいんじゃな(押せばいいんだね)。
〔命〕せれ [意]押せ。[例]いまじゃ、せれ(今だ、押せ)。
せわねえ <句>[意]大丈夫だ。「しょわねえ」に同じ。
せんぐり <副>[意]次々に。何度も。[例]せんぐり、しごつぅ、させらるる(次から次に仕事をさせられる)。
※『宮城 おらが村ん方言 がまだす』、竹田出身・水瀬さん
せんごく <名>[意]米摺りの際に正粒米と小米を選別する道具。