<名>[意]ひと。[例]あん(あの人)、こん(この人)、そん(その人)、どん(どの人)、どこん(どちらの人)、よそん(よその人)、おとこ(男の人)、おなご(女の人)。

しあわする <連語>[意]期限内に物事をし終えること。「しおする」「しよする」に同じ。

しあわせん 
<連語>[意]期限内に物事をし終えられないこと。「しうせん」「しおせん」「しよせん」に同じ。
 ※竹田出身・水瀬さん


しいこ <名>[意]おしっこ。[例]あんた、しいこいちけえなあ(あなた、おしっこに行く間隔が短いねえ)。

じいしい <形>[意]元気であること。一応「形容詞」に分類したが、終止形「じいしい」以外の活用が使われる風ではない。[例]あんしゃ、ようくうけん、じいしいわのお(あの人はよく食べるから元気だよねえ)。
 ※緒方・みっこさ


じいばば 
<名>[意]ラン科の常緑多年草、春蘭。

しいら 
<名>[意]餡が入っていない餅や饅頭。また中身が入っていない籾についても言う。「しえ」「しえっぽ」に同じ。
【邦訳日葡辞書】「シイラ」粃。中に実の入っていない籾(もみ)、あるいは、稲。

しうせん
 
<連語>[意]忙しくてする間がない。しおおせない。「しあわせん」「しおせん」「しよせん」に同じ。[例]そげえなんもかんも、しうせんがえ(そんなに何もかも、する暇がないよ)。

しえ <名>[意]餅や饅頭に餡が入っていないもの。中身が入っていない籾。「しえっぽ」「しいら」に同じ[例]しえ(餡の入っていない餅)。

しぇからしい <形>[意]騒々しい。うるさい。「せからしい」に同じ。[例]ああもう、しぇからしい(ああもう、うるさい)。
 〔用〕しぇからしゅう [意]騒々しく。[例]しぇからしゅう、しなんなえ(騒々しくしないでね)。
 〔仮〕しぇからしから [意]騒々しければ。[意]しぇからしから、つれちいぬるど(騒々しかったら連れて帰るぞ)。


しぇちい 
<形>[意]嫌だ。「せちい」に同じ。[例]ああ、しぇちい、またやりなおしか(ああ嫌だ、またやり直しか)。
 〔用〕しぇつうなる [意]嫌になる。「せつうなる」に同じ。[例]ああもう、しぇつうなるのお(ああもう、嫌になるなあ)。
 〔仮〕しぇつから、しぇつうから [意]嫌だったら。[せつから]に同じ。[例]そげえ、しゃつから、せんでんいい(そんなに嫌だったら、しなくてもいい)。


しえっぽ
 <名>[意]餡の入っていない餅や饅頭。中身が入っていない籾。「しえ」「しいら」に同じ。

じぇん 
<接助>[意]でも。「でん」に同じ。[例]なんじぇんかんじぇん(なんでもかでも)。

しおかれえ 
<形>[意]塩辛い。しょっぱい。
 〔用〕しおかろうなる [意]しょっぱくなる。[例]につまら、しおかろうなるんで(煮詰まったらしょっぱくなるんだよ)。
 〔仮〕しおからから [意]しょっぱかったら。[例]しおからから、ゆをいれなあ(しょっぱかったらお湯を入れなさい)。


しおする 
<動・中三>[意]期限内に物事をし終えること。「しあわする」「しよする」に同じ。

しおせん 
<連語>[意]忙しくて、する間がない。しおおせない。「しうせん」「しあわせん」「しよせん」に同じ。
 ※緒方・みっこさ、三鷹・あんちゃん


しかきい 
<形>[意]四角い。
 〔用〕しかくうなる [意]四角くなる。
 〔仮〕しかくから [意]四角だったら。


しかくる 
<動・中三>[意]仕掛ける。「水源から水を流す」あるいは「水路から水田に水を流す」という意味でも使われる。命令形は「しかきい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
 〔未〕しかけん [意]水を流さない。[例]たにみずぅ、しかけんでん、いいんな(田に水を流さないでもいいんですか)。
 〔未〕しかきゅう [意]水を流そう。[例]ぼつぼつ、しかきゅうか(そろそろ田に水を流そうか。)
 〔仮〕しかくら [意]水を流せば。[例]いまかり、たにみずぅ、しかくら、おそうなる(今から田に水を流せば、遅くなる)。
 〔命〕しかきい [意]水を流せ。[例]あさかり、たにみずぅ、しかきい(朝から田に水を流せ)。
 ※緒方・入道さん


しかとしもねえ 
<句>[意]くだらない。
 ※緒方・入道さん


しかぶる
 <動・五>し被る[意]主に小便をし損なう、もらす、ちびる、失禁する。「かぶる」には「し損なう」の意味がある。[例]あんまれ、おずうじ、しかぶるごたったがえ(あんまり怖くて、ちびりそうだったよ)。似た言葉に「まりかぶる」があるが、これは主に大便をし損なうこと。
 〔未〕しかぶらん [意]し損なわない。〔例]しかぶらんじょくれ(おしっこを漏らさないでよ)。
 〔未〕しかぶろう [意]し損なおう。[例]さっきかり、しかぶろうごたった(さっきから小便を漏らしそうだった)。
 〔仮〕しかぶら [意]し損なえば。[例]しかぶら、こまるで(小便を漏らしたら困るよ)。

しがむる <動・中三>[意](顔を)しかめる。命令形は「しがみい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
 〔未〕しがめん [意]しかめない。
 〔未〕しがみゅう [意]しかめよう。
 〔仮〕しがむら [意]しかめれば。
 ※緒方出身・hataさん


しかるる 
<動・中三>[意]車などに轢かれる。命令形は「しかりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕しかれん [意]轢かれない。
 〔未〕しかりゅう [意]轢かれよう。
 〔仮〕しかるら [意]轢かれれば。
 ※緒方・入道さん


じき 
<副>[意]まもなく、すぐに。[例]じきぃ、でくるき、まっちょきよ(すぐに出来るからまっててね)。

じき 
<副>[意]直接の。実の。[例]あんしは、先生の、じきん兄弟で(あの人は、先生の実の兄弟だよ)。
 ※緒方・みっこさ


しきらん
 <句>[意]能力的にすることができない。動詞「する」と可能の助動詞「きる」からなる。[例]パソコンもしきらんのか(パソコンもできないのか)。

しきる <句>[意]能力的にすることができる。「きる」は可能の助動詞。[例]パソコンぐれ、しきるで(パソコンぐらい、できるよ)。

しきれえじや <句>[意]できるに決まっている、できないわけがない。[例]パソコンぐれ、しきれえじや(パソコンぐらい、できるに決まっているだろ)。

しきろう <句>[意]できるだろう。やれるだろう。[意]そんぐれんこたぁ、しきろうじゃねえな(そんなことぐらい、できるだろうよ)。

しぐるる 
<動・中三>[意]時雨(しぐれ)る。命令形は「しぐりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕しぐれん [意]しぐれない。
 〔未〕しぐりゅう [意]しぐれよう。
 〔仮〕しぐるら [意]しぐれれば。


〜しこ
 <副助>だけ[例]ありしこ出せ(あるだけ出しなさい)、食いしこ食う(食べられるだけ食べる)、でけしこしちょく(できるだけ、しておく)。

しこ 
<名>四股?[意]格好。[例]しこんじょうつけちょらんじ、ちったぁ、しごつぅしい(格好ばかり付けていないで、少しは仕事をしろ)。そげな、しこうしち、しごてぃ、いくんか(そんな恰好をして仕事に行くのか)。

じごくいり 
<名>地獄入り[意]農繁期の前に行う宴会など。
 ※緒方・みっこさ


しこっちょる 
<句>[意]格好をつけている。[例]なん、あんやたぁ、しこっちょんのか(なに、あいつは、格好をつけているのか)。
 ※緒方・入道さん


しこむ 
<動・五>[意]仕込む。標準語とは活用が異なる。
 〔未〕しこまん [意]仕込まない。
 〔用〕しくうだ、しこうだ [意]仕込んだ。標準語では「仕込んだ」となるところが大分ではウ音便の形になる。
 〔仮〕しこま [意]仕込めば。


しこる 
<動・五>[意]木の枝葉がこんもりと茂る。
 〔未〕しこらん [意]茂らない。[例]すぐ、しこらんごと、しちょくれ(すぐに茂らないようにしてください)。
 〔仮〕しこら [意]茂れば。[例]あげえ、しこら、こまる(あんなに茂ると困る)。
【邦訳日葡辞書】「シコル」凝り固まる、何か物事をするとか考えるとかすることに熱中する。。


ししならし 
<名>[意]神社の祭りの前に行われる獅子舞の練習。祭りの前の数日間、獅子の舞い手たちが囃子に合わせて舞いの練習をする。

ししもどし 
<名>[意]茨。「しし」は「猪」であり、棘のために猪でさえも前に進めないことからの名前だろう。
 ※緒方・奥嶽入道さん


しすぐる 
<動・中三>[意]し過ぎる。命令形は「しすぎい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕しすげん [意]し過ぎない。
 〔未〕しすぎゅう [意]し過ぎよう。
 〔仮〕しすぐら [意]し過ぎれば。


しずむる 
<動・中三>[意]沈める。命令形は「しずみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕しずめん [意]沈めない。
 〔未〕しずみゅう [意]沈めよう。
 〔仮〕しずむら [意]沈めれば。
 〔命〕しずみい、しずめよ [意]沈めろ。


しずむる 
<動・中三>[意]鎮める、静める。命令形は「しずみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕しずめん [意]鎮めない。
 〔未〕しずみゅう [意]鎮めよう。
 〔仮〕しずむら [意]鎮めれば。
 〔命〕しずみい、しずめよ [意]鎮めろ。


しそこなう 
<動・五>[意]し損なう。仕損じる。やり損なう。標準語とは活用が一部異なる。「た」につながる連用形がウ音便の形になる。
 〔未〕しそこなわん [意]し損なわない。[例]しそこなわんごつ、しよえ(し損なわないようにしなさいね)。
 〔用〕しそこのうた [意]し損なった。[例]あいたのお、また、しそこのうた(しまったなあ、またしくじった)。
 〔仮〕しそこなわ [意]し損なえば。[例]なんべんも、しそこなわ、わらわるるど(何回もしくじれば笑われるよ)。


したみ 
<名>[古]竹冠に羅[意]竹で編んだ籠で、底が四角で上部が丸のかご。釣った魚を入れておく魚籠(びく)。古語辞書には「汁や酒を漉すのに用いる」とある。

しちくじい
 <形>[意]しちくどい。「くどい」の強調。[例]いつまじでん、おんなじこつういうち、しちくじいやっちゃ(いつまでも同じことを言って、しちくどいやつだ)。
 〔用〕しちくじゅう [意]しちくどく。[例]あんまれ、しちくじゅういいなんなえ(あまり、しちくどく言いなさんなよ)。
 〔仮〕しちくじから [意]しちくどければ。[例]そげえ、しちくじゅから、きらわるっど(そんなにしちくどければ嫌われるぞ)。


しちくじゅういう <句>[意]くどく言う。口やかましく言い立てる。

しちくれなあ
 
<句>[意]してください。

しちくわする <句>[意]料理を作って食べさせる。[例]なんか、しちくわせちゃれ(何か料理を作って食べさせてやれ)。<参>する。
 ※清川・康晴さん


しちゃぐる 
<句>[意]してあげる。[例]いうとおりぃ、しちゃぐるわな(言う通りにしてあげるからね)。

しちゃる 
<句>[意]してやる。[例]いうとおりぃ、しちゃる(言う通りにしてやる)。

しちゃる 
<句>[意]してある。状態をあらわす。[例]ここんいやあ、いってん、うつくしゅう、しちゃるのお(ここの家はいつも綺麗にしてあるねえ)。

しちゃんがちゃん
 <名、形動>[意]道理に合わない、筋道が通らない有り様。
 ※緒方・入道さん


しちゃんなあ 
<句>[意]してあげて。[例]そげなこつう、いわんじ、しちゃんなあ(そんなことを言わないで、してあげて)。

しちょいちゃぐる 
<句>[意]しておいてあげる。[例]そういうこちぃ、しちょいちゃぐるわ(そういうことにしておいてあげるよ)。

しちょいちゃげなあ 
<句>[意]しておいてあげて。[例]いうとおりぃ、しちょいちゃげなあ(言う通りにしておいてあげてよ)。

しちょいちゃる 
<句>[意]しておいてやる。[例]そげえ、しちょいちゃる(そのようにしておいてやる)。

しちょくれ
 
<句>[意]しておくれ。[例]はよう、しちょくれ(早くしておくれ)。

しちょけ <句>[意]しておけ。[例]そんまめえ、しちょけ(そのままにしておけ)。

しちょこう 
<句>[意]しておこう。[例]そげえ、しちょこう(そうしておこう)。

しとむらせん 
<句>仕止むらせん[意]どうしようもありはしない。[例]いうてん、きかんのじゃき、しとむらせんのじゃ(言っても聞かないのだから、どうしようもないんだ)。

しとめん
 
<句>仕止めん[意]どうしようもない。手が付けられない。[例]どうしゅんこうしゅん、しとめん(どうしようも、こうしようも、やりようがない)。

しなあ <動>[意]しなさい。[例]いうとおりぃ、しなあ(言う通りにしなさい)。

じなをいう <句>[意]訳の分からないことを言う。駄々をこねる。
 ※荻・はらよしえさん


〜しなんな
 
<句>[意]しないでください。[例]たのまれもせんこつぅ、しなんな(頼まれもしないことをしないで)。

しに <連語>[意]〜の方に。「さね」に同じ。[例]川しに行きよる(川の方に行っている)。
 ※緒方・入道さん


しにばち
 
<副>[意]真剣に、死んだ気で。[例]しにばち、勉強しちみよ(死んだ気になって勉強してみなさい)。

しぬる <動・ナ変>[意]死ぬ。標準語んは残っていないナ行変格活用が残っている。
 〔未〕しなん [意]死なない。[例]こんむしゃ、まだしなんが(この虫は、まだ死なないよ)。
 〔仮〕しぬら [意]死ねば。[例]はよ、しぬらいいに(早く死ねばいいのに)。


しの(しのう)
 
<名>収納(しの)[意]穀物を収穫すること。「稲収納(いねじの)」「麦収納(むぎじの)」「大豆収納(だいずじの)」などがある。[例]しのい、おわら、荷がおるる(収穫が終われば、肩の荷がおりる)。

しびかるる <動・中三>[意]しなる鞭や棒状のもので弾かれる、あるいは、たたかれること。
 〔未〕しびかれん [意](しなる棒状のもので)たたかれない。
 〔未〕しびかりゅう [意](しなる棒状のもので)たたかれよう。
 〔仮〕しびかるら [意](しなる棒状のもので)たたかれれば。


しびく
 
<動・五>[意]しなる棒状のものでたたく。[例]あんしぇんしぇえは、おこると、ねぶちじ、しびくんじゃ(あの先生は怒ると根鞭でたたくんだ)。
 〔未〕しびかん [意](しなる棒状のもので)たたかない。
 〔仮〕しびか [意](しなる棒状のもので)たたけば。


しびるる <動・中三>[意]手足などがしびれる。命令形は「しびりい」で、大分独特の変形下二段活用の中三段活用である。
 〔未〕しびれん [意]しびれない。
 〔未〕しびりゅう [意]しびれよう。
 〔仮〕しびるら [意]しびれれば。
【邦訳日葡辞書】「シビルル」足や手が麻痺する。

しびれがきるる 
<句>[意]正座などで血行が悪くなったために脚などの感覚がなくなってしまうこと。
【邦訳日葡辞書】「シビレガキルル」足が麻痺して萎えたようになる。


しぼなゆる 
<動・中三>[意]しおれる。しなびる。命令形は「しぼないい」となるので、大分独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。
 〔未〕しぼなえん [意]しおれない。
 〔未〕しぼなゆう [意]しおれよう。
 〔仮〕しぼなゆら [意]しおれれば。


しまい 
<名>[例]お終い。
 ※緒方出身・やすみさん


しまいがいい 
<句>終い(仕舞い)が良い[意]一日分の仕事を早く済ませる。単に仕事が早いだけでなく、段取りが良いとか、手際が良い、要領が良いという意味合いを含む。[例]きょうん、しごたあ、もうすんだんな。えらい、しまいがいいじゃねえな(今日の仕事は、もう済んだの? ずいぶん手際が良いじゃない)。
 ※緒方出身・やすみさん


しまいより 
<名>[意]一年最後の寄り合い。「おとより」に同じ。
 ※緒方・入道さん


しむくる 
<動・中三>[意]仕向ける。命令形は「しむきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕しむけん [意]仕向けない。
 〔未〕しむきゅう [意]仕向けよう。[例]そげえ、しむきゅうえ(そう仕向けようよ)。
 〔仮〕しむくら [意]仕向ければ。[例]おまえい、そげえ、しむくらいい(お前がそう仕向ければ良い)。
 〔命〕しむきい、しむけよ [意]仕向けろ。[例]いや、おまえい、しむきい(いや、お前が仕向けろ)。


しむる 
<動・中三>[意]占める。閉める。締める。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「しみい」となることから正確には中三段活用と呼ぶべきである。
 〔未〕しめん [意]しめない。[例]なし、とを、しめんのな(どうして戸を閉めないの)。
 〔未〕しみゅう [意]しめよう。[例]とを、しみゅうえ(戸を閉めようよ)。
 〔仮〕しむら [意]しめれば。[例]あみどを、しむら、はいっちこん(網戸を閉めれば入ってこない)。
 〔命〕しみい、しめよ [意]ちゃんと、しめよ(ちゃんと閉めて)。


しもうた 
<感>仕舞うた[意]しまった。失敗したことに気づいた際などに使う。[例]しもうた、かぎゅうもっちでるのを忘れた(しまった、鍵を持って出るのを忘れた)。
 ※清川出身・あんちゃん


しもぜ 
<名>[意]川の下流方向。土地の低い方。「下手」からの転か。<反>かさぜ
 ※清川・久洋さん


しや
 <名>[意]もののはずみ。意図してではなく、不可抗力で思わぬ結果を招くこと。[]わだっとじゃねえちゃ、しやちゃ(わざとじゃないってば、はずみだってば)。

じゃ <助動>[意]「である」を意味する。「だ」。
 〔未〕じゃろ(う) [意]だろう。[例]あんたじゃろ(あなただろう)
 〔用〕じゃった [意]だった。[例]すまんじゃったのお(悪かったねえ)。
 〔仮〕なり [意]なら。[例]あんたい、いくんなり、おれもいこう(あなたが行くのなら俺も行こう)。


じゃあ、じゃあ
 <句>[意]そうだ、そうだ。相手の言葉を肯定する際に使う。[例]やっぱ、焼酎はいもじゃのお。じゃあ、じゃあ(やっぱり、焼酎は芋だなあ。そうだ、そうだ)。

〜じゃあにい <接>[意]〜なのに、だと言うのに。[例]台風じゃあにい、仕事たいう(台風だと言うのに、仕事とはねえ)。

じゃあき(じゃき) <接続>[意]だから、そうであるから。[例]じゃあき、いうたじゃねえか(だから、言ったじゃないか)。

しゃがむ 
<動・五>[意]しゃがむ。膝を曲げて低い姿勢を取る。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕しゃがまん [意]しゃがまない。
 〔仮〕しゃがま [意]しゃがめば。


しゃがるる 
<動・中三>[意](声が)しわがれる。命令形は「しゃがりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕しゃがれん [意]しわがれない。
 〔未〕しゃがりゅう [意]しわがれよう。
 〔仮〕しゃがるら [意]しわがれれば。


じゃきちゅうち 
<句>[意]だからといって。[例]じゃきちゅうち、かってなこたぁでけんど(だからと言って、勝手なことはしてはならないぞ)。

しゃぐ
 
<動・五>[意]潰す、ひしゃぐ。<参>ぴっしゃぐ。
 〔未〕しゃがん [意]潰さない。[例]しゃがんごつ、しよや(潰さないようにしろよ)。
 〔用〕しゃいだ [意]潰した。[例]もう、しゃいだんか(もう潰したのか)。
 〔仮〕しゃが [意]潰せば。[例]しゃが、もちもどらんど(潰せば元に戻らないぞ)。)
 〔命〕しゃげ [意]潰せ。


しゃぐる <動・中三>[意]潰れる、ひしゃげる。「ひしゃげる」は下一段活用だが、奥豊後独特の下二段活用の変形「中三段活用」である。命令形は「しゃげろ」ではなく「しゃぎい」となる。
 〔未〕しゃげん [意]潰れない。[例]かんたんにゃ、しゃげんで(簡単にはつぶれないよ)。
 〔未〕しゃぎゅう [意]潰れよう。[例]もちっとおじ、しゃぎゅうなあ(もう少しで潰れようねえ)。
 〔仮〕しゃぐら [意]潰れれば。[例]しゃぐら、ふくりい、いれち、すちい(潰れれば袋に入れて捨てろ)。
 〔命〕しゃぎい [意]潰れろ。

しゃっち(さっち) <副>[意]あえて、わざわざ。[例]人んせつがるこつぅ、しゃっちすんな(人の嫌がることを、わざわざするな)。

しゃっち(さっち)もっち <副>[意]「しゃっち」の強調形。[例]しゃっちもっち、いらんこつんじょう、すんのじゃ(わざわざ、しなくてもよいことばかりするんだ)。

じゃっちゃん <副>[意]物事や動きに切れ目がなく、次から次に続く様子。どんどん。「ごっこん」「ごんごん」「どっとん」に似るが、微妙に違う。「ごっこん」「ごんごん」は主に飲み物、とりわけ酒の場合に使われ、「どっとん」は、動作に弾みや勢いをつける場合に使われる。[例]のぶちゃん、さけもさかなも、じゃっちゃんもっちきちょくれ(のぶちゃん、酒も肴もどんどん持って来て)。

じゃなから 
<句>[意]そうでなかったなら。[例]おまえじゃなから、でけんき、たのむんじゃが(お前でなかったら出来ないから頼んでいるんだ)。

じゃの 
<並立助詞>[意]だの。「……じゃの、……じゃの」と並べて使う。[例]あらすかんじゃの、こらすかんじゃのばっかれいうちこまる(あれは嫌いだの、これは嫌いだのとばかり言って困る)。

じゃらこ 
<名>[意]メンコやビー玉の勝負で、自分のものを賭けないこと。「かしこ」に同じ。 <反>ほんこ。
 ※緒方・入道さん


じゃろうで 
<連語>[意]だろうよ。推測の意だけでなく、単独で相手の話に同意を示す場合にも使われる。[例]ゆうだちじゃき、やんがち、やむじゃろうで
。うん、じゃろうで(夕立だから、すぐにやむだろうよ。うんそうだろうね)。

しゃん <接尾>[意]人の名前に付ける呼称で「ちゃん」に相当する。子供同士で使うことが多いが、大人になっても旧知の間柄では使うこともある。

しゃんとべえ(しゃんとこべえ) 
<名>[意]しっかり者。ハキハキとしたもの言いをする人。[例]あんしゃあ、こんめえころかり、しゃんとべえじゃった(あの人は小さなかころから、しっかり者だった)。
 ※『緒方町誌』


しゅうかな <句>[意]@しようかな。[例]ぼちぼち、ばんごはんのしたくを、しゅうかな(そろそろ、晩御飯の支度をしようかね)。Aするだろうか。[例]じぶんじ、そうじやら、しゅうかな(自分で掃除などをするだろうか)。

じゅうごやひき 
<名>十五夜引き。
[解説]仲秋の名月の夜、各家庭が縁側に出した手作りの饅頭や果物、菓子などの供え物を、近所の子供たちが盗んで回ること。この夜は子供だけでの外出が許され、誘い合って月明かりの下に走り出て、足音を忍ばせて縁側に近寄り、家人に断りもなしに供え物を盗って逃げた。「盗む」とはいっても、供える家の大人たちも承知の上で、それでも子供が盗りに来るとわざと「こらぁ」と大声を上げて脅かしたりして楽しんだ。過疎化で子供の数も減って、すっかり廃れてしまった。

しゅむ(しむ) 
<動・五>[意]@沁(し)みる。切り傷などが風呂に入ったときに痛く感じること。冷たいものが歯にしみる場合にも使う。[例]ふりい入ったら、茅ん葉じ切った跡ぃ、しゅむ(風呂に入ったら、茅の葉で切った跡がしみる)。A滲(し)みる。煮付けなどで素材に味がしみこむこと。[例]こんだいこんな、味がようしゅんじょる(この大根は、味がよく染み込んでいる)。
 〔未〕しゅまん [意]しみない。[例]まだ、だいこんに、あじがしゅまんかな(まだ大根に味がしみないかな)。
 〔未〕しゅもう [意]しみよう。[例]そろそろ、しゅもうで(そろそろ、しみるだろうよ)。
 〔用〕しゅんだ [意]しみた。[例]あじがよう、しゅんだ(味がよくしみた)。
 〔仮〕しゅま [意]しみれば。[例]そんくれ、しゅま、よかろう(それくらいしみればいいだろう)。


じゅうめん 
<名>渋面[意]泣き出す直前のしかめ面。辞書に載る言葉だが、標準語の会話表現で使うことは稀。[例]あ〜あ、じゅうめんぬぅ、つくったで。やっぱぁ、なきでえた(あ〜あ、しかめっ面になったよ。やっぱり泣き出した)。
 ※緒方・入道さん


しゅうばき 
<名>[意]形見。
 ※緒方・入道さん


しよいねえ 
<句>仕様・い・ねえ[意]仕方ない。「い」は、大分弁独特の主格を表す格助詞。[例]そげんこつぅいうてん、しよいねえじゃねえな(そんなことを言っても、仕方がないじゃない)。

しょい
 
<感>[意]野良猫などを追い払うときに言う。片足を前に踏み出して地面をどすんと踏み鳴らし、同時に「しょいっ」と言いながら両手を体の前でパンと打って威嚇すると、より効果がある。[例]また、なぐれねこぃ、あがりくぅじょら、しょい!(また野良猫が上がりこんでいる、こら)。

じょう <副助>[意]ばかり。[例]なし、おれんじょう、くらるんのかのう(どうして、俺ばかり叱られるんだろう)。

じょうかい <名>[意]寄り合い。会議。
 ※清川・邦友さん


しょうがつあるき 
<名>正月歩き[意]年始回り。
 ※緒方出身・Hiroさん


しょうけ
 <名>[意]竹で編んだざる。「塩受け」からの転。

しょうじょうと 
<副>[意]きちんと。[例]また探しもんな、しょうじょうと、なおしちょらんき、わからんごとなるんで(また探し物かい。きちんとしまっておかないからだよ)。
【解説】「清浄」(しょうじょう)という言葉があり、広辞苑は「清くてけがれのないこと」との語釈を載せている。修験道の山伏が唱える「懺悔、懺悔、六根清浄]は、煩悩にまみれたわが身を懺悔して全身を浄めるぞという意味であることから、「しょうじょうと」に通じるものがあるように思われる。
 ※竹田出身・水瀬さん、緒方・みっこさ


しよせん 
<句>[意]物事をし終えられない。「しうせん」「しおせん」「しあわせん」に同じ。

じょうびい
 <形>丈夫良い[意]丈夫だ、作りがしっかりしている。単に「丈夫だ」で済むところを「良い」を付けている。[例]こん車はじょうびいなあ、ちったてえてん、へこみもせん(この車は丈夫だね。ぶったたいても、へこみもしない)。

じょうぶくろ <名>状袋[意]封筒。
 ※清川・郷思さん


じょうり 
<名>[意]草履[例]ごむじょうり(ゴム草履)。
【邦訳日葡辞書】「ジャウリ」草履(わらじ)に似たある種の履物。


しょわしい 
<形>[意]忙しい。
 〔用〕しょわしゅうなる [意]忙しくなる。[例]あしたかり、しょわしゅうなるど(明日から忙しくなるぞ)。
 〔仮〕しょわしから [意]忙しければ。[例]しょわしから、あとでんいいで(忙しければ後でもいいよ)。
 ※緒方・入道さん


しよわする 
<句>[意]しおおせる。し終える。「しあわする」「しおする」「しよする」に同じ。
 ※緒方・みっこさ


しょわなかろう 
<句>[意]大丈夫だろう。問題ないだろう。[例]ひとりじ、いっきろうか。しょわなかろう(一人で行けるだろうか。大丈夫だろう)。

しょわねえ 
<句>[意]大丈夫だ。[意]ひづぅ、こけたなあ、しょわねえな。なん、しょわねえ(ひどく転んだねえ、大丈夫ですか。なに、大丈夫だ)。


しら 
<名>[意]本当に。まったくの。正真正銘の。大分では唯一、「真剣」の語頭について「真剣」の度合いをより強める。[例]しらしんけん(本当に真剣に)。
【解説】大辞林には「白(しら)」の説明の一つに「全くそのものであることを表す。」と載っている。「素面」(しらふ)は「白面」とも書く。また、素人(しろうと)は「しら・ひと」が変化したものと思われる。この「しら」と同じと思われる用語が『東海道中膝栗毛』(岩波文庫)にある。それが「しらきちょうめん」という語で、主人公が旅籠で泥棒を疑われて「めったなことをいひなさんな。しらきてうめん(白几帳面)の旅人だ」と弁解する場面があり、「甚だしい几帳面」として「正直で真面目なこと。後ろ暗いことのないこと」との語釈が付けられている。大辞林には「白几帳面」が載り「非常にきちょうめんなこと」と説明されている。


しらしんけん
 
<形動>しら真剣[意]本当に一生懸命に。[例]しら真剣、とべ(本当に一生懸命に走れ)。<参>しんけん、しんけんまんけん。

しりい <形>白い[意]白い。強調する場合は「しいりい」、さらに強調する場合は「まっしりい」。
 〔用〕しろなる、しろうなる、しるなる [意]白くなる。
 〔仮〕しろから、しるから [意]白ければ。

じりい <形>[意]ぬかるんでいる。大辞林は「水っぽい」「ぬかっている」の意味の「しるい」を載せ「『汁』を活用させた語か。『じるい』とも。近世上方語」と説明している。関連する語として大分では、耳垢が湿った耳を「じる耳」、小麦粉を水で溶いて焼いたおやつ「じり焼き」がある。[例]大雨ぃ降ったきぃ、道がじりい(大雨が降ったから、道がぬかるんでいる)。
 〔用〕じるなる、じるうなる [意]ぬかるむ。[例]こげえ、あめがふら、みちがじるなるなあ(こんなに雨が降れば道がぬかるむねえ)。
 〔仮〕じるから [意]ぬかるんでいれば。[例]さかが、じるから、こけんごとせな(坂道がぬかるんでいれば転ばないようにしないと)。


しりべ <名>知り部[意]知り合い、知己。標準語では「知るべ」。

じりやき
 
<名>じり焼き[意]小麦粉を使ったおやつ。「じり」は形容詞「じりい」からと思われる。作り方は簡単で、小麦粉に塩を少々入れて水で溶き、油を引いたフライパンで表裏をこんがり焼く。厚みはミリぐらいがいい。卵を使えばさらに豊かな味になる。油もバターにするとまた一味違って美味。また、黒砂糖をはさんだり、干しぶどうを入れたり、各家によって様々な作り方があったらしい

じるみみ 
<名>[意]耳垢が湿っていること。

しれ 
<名>[意]人前で卑猥な言葉を好んで口にする人のこと。[例]あんしゃ、しれじゃわ(あの人は助平だよ)。
 荻・はらよしえさん


しれっと
 <副>痴れっと[意]なにごともなかったかのように平然とした様子。大分弁と思われているが立派な標準語。

しろしい 
<形>[意]うっとうしい。[例]しろしい、やっちゃ(うっとうしいやつだ)。2008年1月11日発行の広辞苑第六版に「(福岡県で)うっとうしい」と掲載されている。
 〔用〕しろしゅうなる [意]うっとうしくなる。
 〔仮〕しろしから [意]うっとうしければ。


しわくた 
<名>[意]しわくちゃ。子供のころ近所のお婆さんを「しわくたばばあ」と、実に怪しからんことを言っていた。[例]おさつを、こげえ、しわくたにするもんじゃねえ(お札をこんなにしわくちゃにするものじゃない)。
 ※緒方・入道さん


じわっと 
<副>[意]そっと。[例]よし、そき、じわっとおけや(よし、そこにそっと置けよ)。

しんきねえ 
<形>[意]物事の進み具合が遅くてもどかしい。[例]あんたんしごつぅみちょると、しんきねえがな、かしちみなあ、こげえすんのじゃ(あなたの仕事を見ていると、もどかしいよ。貸してみなさい、こうするんだ)。
 ※緒方・みっこさ

しんけん
 
<形動>真剣[意]本当に。強調形は「しらしんけん」あるいは「しんけんまんけん」。[例]あっきい、でけた酒屋は、しんけん、やしいんで(あそこに出来た酒屋は、本当に安いんだよ)。

しんけんまんけん <形動>真剣まんけん[意]本当に真剣に。「しらしんけん」に同じ。[例]しんけんまんけん、とんじ来たに、まにあわんじゃった(本当に真剣に走って来たのに、間に合わなかった)。

しんさみい <形>[意]芯から冷える、底冷えがする。[例]きょうは、しんさみい(今日は芯から冷える)。
 〔用〕しんさむうなる [意]底冷えがするようになる。
 〔仮〕しんさむから [意]底冷えがすれば。
 ※清川・康晴さん


しんざみい 
<形>[意]「しんさみい」に同じ。「しんだみい」とも。
 ※竹田出身・水瀬さん


しんずる 
<動・四>[意]信じない。標準語は上一段活用だが、大分では複雑な活用をみせる。便宜上、四段活用に分類したが、中三段に活用することもある。
 〔未〕しんじらん、しんぜん [意]信じない。
 〔未〕しんじろう、しんじゅう [意]信じよう。
 〔仮〕しんずら [意]信じれば。
 〔命〕しんじい、しんじれ、しんじよ [意]信じろ。


しんねつ 
<名>[意]体温計では平熱だが、体に何となくあるように感じる熱。
 ※緒方・入道さん


しんのか
 <句>知んのか[意]知るもんか。[例]そげんこつ、しんのか(そんなことは、知るもんか)。

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