〜わあ <接尾>[意]〜んだよ。[例]そげんこたぁ、しらんじゃったわあ(そんなことは、しらなかったんだよ)。

〜わい <終助>[意]〜だ。[例]そげんこたぁ、わかっちょるわい(そんなことは、わかっているんだ)。

わおじょう <名>[意]主婦のこと。ただの主婦ではなく、婚家のことを知り尽くし名実ともに一家を取り仕切る主婦であり、嫁いだからといって無条件に「わおじょう」と呼ばれるわけではない。

わが <名>我[意]お前。本来は一人称だが、二人称として用いられる。「我(われ)」と同義。
【邦訳日葡辞書】「ワガ」私が、また、時として「おまえが」の意であるが、あまり正しい言い方ではない。


わがどぉ
 <名>[意]お前ら。「われどぉ」に同じ。[例]わがどぉ、みちくすぅくうちょらんじ、はよいねや(お前ら、道草をくっていないで、早く帰りなさい)

わかる 
<動・五>[意]分かる。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕わからん [意]分からない。[例]なし、これが、わからんかな(どうして、これが分からないのかな)。
 〔仮〕わから [意]分かれば。


わかるる 
<動・中三>[意]分かれる、別れる。命令形は「わかりい」で、大分独特の変形下二段活用となる中三段活用である。
 〔未〕わかれん [意]わかれない。
 〔未〕わかりゅう [意]わかれよう。
 〔仮〕わかるら [意]わかれれば。
【邦訳日葡辞書】「ワカルル」別れる、または、分れ離れる。


わくる 
<動・中三>[意]分ける。命令形は「わきい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕わけん [意]分けない。
 〔未〕わきゅう [意]分けよう。
 〔仮〕わくら [意]分ければ。
 〔命〕わきい、わけよ [意]分けろ。
【邦訳日葡辞書】「ワクル」分割する、または、分け離す。


わさご
 <名>[意]生い立ちの早い子。
 ※『岡藩のひらくち』

わしわし <感>[意]勢いよく食べる様子を表す擬音語。「むしゃむしゃ」「ぱくぱく」より少し勢いがある印象で、「ばくばく」が近いか。[例]めしゅう、わしわし、くいよるで(ご飯をばくばくと食べているよ)。

わするる 
<動・中三>[意]忘れる。命令形は「わすりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕わすれん [意]忘れない。
 〔未〕わすりゅう [意]忘れよう。
 〔仮〕わするら [意]忘れれば。
 〔命〕わすりい、わすれよ [意]忘れろ。
【邦訳日葡辞書】「ワスルル」忘れる。


わだっと
 <副>[意]故意に、わざと。[例]わだっと負けちゃったんじゃが(わざと負けてやったんだよ)。

わだわだ <副>[意]わざわざ。大分ではザ行とダ行がしばしば混同される。

わっきゃねえ(わきゃねえ)
 <形>[意]わけはない、簡単だ。[例]なん、そげんこたぁ、わっきゃねえ(なに、そんなことは簡単だ)。

わづくる <動・五>輪作る[意]車座になって座ること。
 〔未〕わづくらん [意]輪になって座らない。
 〔仮〕わづくら [意]輪になって座れば。
 ※清川・康晴さん


わや
 <名>[意]元の木阿弥、ご破算。[例]おおあめじ、たが、みじぃつかっち、わやじゃ(大雨で田んぼが冠水して、全部だめになってしまった)

わやく
 <名>[意]いたずら。
 ※岡藩のひらくち
【邦訳日葡辞書】「ワヤクジン」「ワヤクモノ」悪者、癖の悪い者。

わやんわやん <副>[意]のろい動作で、なかなか本腰をいれた活動に入れない状態。例えば裏返しになった亀が首や手足をのろのろと動かす様と言えば最も近いかも知れない。[例]いつまじ布団の中じわやんわやんしちょんのな(いつまで布団の中で愚図愚図しているんだ)。
 ※緒方・みっこさ


わら
 <句>われ・は[意]お前は。けんか腰の会話で使用する。「わりゃ」に同じ。[例]わら、なんか文句でんあんのか(お前は、何か文句でもあるのか)。

わらうな <連語>[意]喧嘩や相手を叱る際に言う「てめえ、このやろう」といったほどの意味。「我」+「は(格助詞)」と「自(うぬ)」+「は(格助詞)」で構成されている。<類>うなわら、うなぬしゃ。

わらこづみ 
<名>[意]脱穀を終えた稲藁を、乾燥させるため刈田に積み上げたもの。

わらとびい 
<名>[意]脱穀を終えた稲藁を、乾燥させるため刈田に数束ずつ寄せて立てたもの。「わらこづみ」より小さい。普通には「わらとび」と呼ぶが、正しくは「わらとびい」。

わらわする 
<動・中三>[意]笑わせる。命令形は「わらわしい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕わらわせん [意]笑わせない。
 〔未〕わらわしゅう [意]笑わせよう。
 〔仮〕わらわすら [意]笑わせれば。
 〔命〕わらわしい、わらわせよ [意]笑わせろ。


わりい 
<形>[意]悪い。いけない。駄目だ。[例]そげんこつぅすら、わりいが(そんなことをしてはいけないよ)。そらぁわりい(それは駄目だ)。
 〔未〕わるかろう [意]悪いだろう。
 〔用〕わるなる、わるうなる [意]悪くなる。。
 〔仮〕わるから [意]悪ければ。[例]それい、わるから、なんとかせな(それが悪ければ、何とかしなければ)。
【解説】標準語では「〜してはいけない」というところを、大分では「〜すらぁ、わりい」と表現する。「〜しなければならない」も「せんとわりい」となる。
 ※大分市在勤経験のある福岡・桑原さん


わりがね
 <名>[意]腕白坊主、いたずらっこ。「わるがね」に同じ。[例]どこんわりがねか、うちんガラスぅ、ちち割ったなぁ(どこの腕白坊主か、うちのガラスを叩き割ったのは)。

わりゃ 
<句>我・は[意]てめえ。この野郎。「わら」に同じ。[例]わりゃ、なぬぅいよんのか(お前は、何を言っているんだ)。

りゃうな 
<句>我・は、自・は[意]てめえ、このやろう。「うなぬしゃ」「うなわら」「うなわりゃ」「わらうな」に同じ。

わるいう(わろいう) 
<句>[意]悪し様に言う。[例]あんまれ、ひとんこつぅ、わるいうもんじゃねえ(あんまり人のことを悪く言うもんじゃない)


わるがね 
<名>[意]腕白。「わりがね」に同じ。

わるしなかす <句>[意]よけいに事態を悪くする。[例]あんたぁ、手を出しなんな、わるしなかすき(あなたは手をださないで、よけいに悪くするから)。

わるる <動・中三>[意]割れる。命令形は「わりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕われん [意]割れる。
 〔未〕わりゅう [意]割れよう。
 〔仮〕わるら [意]割れれば。
 〔命〕わりい、われよ [意]割れろ。


われ
 <名>[意]おまえ。喧嘩のときに使うことが多い。「わが」と同義。[例]われ、なにしよんのか(お前、なにをしているのか)。
【邦訳日葡辞書】「ワレ」私、またはおまえ。本来の正しい言い方ではないが、下賤な者と話したり、人を軽しめたりする時に用いる。


われうな 
<連語>[意]「うなわれ」「われうな」などと同義で、「我」+「は(格助詞)」と「うぬ(自)」+「は(格助詞)」で構成されている。
 ※緒方・入道さん

われき <名>割れ木[意]薪、焚き物。竈や風呂の焚口にくべやすいように細く割った木。「割り木」と言いそうなものだが、奥豊後では「割れ木」と表現する。[例]われきゅう、もっちきちくりい(薪を持ってきてくれ)。
 ※清川出身・和弘さん、緒方出身・Hiroさん


われきわり 
<名>割れ木割り[意]薪割り。[例]また、われきわりゅう、しちょかな(また、薪割りをしておかないと)。

わんのわりい
 <句>[意]割に合わない、割の悪い。[例]また、わしがいくんか、わんのわりい(また、私が行くのか、割に合わない)

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