やいと <名>[意]お灸。大辞林には「焼処(やきと)」の転とある。
※清川出身・アミーさん
【邦訳日葡辞書】「ヤイトゥ」ある乾燥した草ですえる灸。
やうち <名>[意]一家、家の中。
やうつり <名>家移り[意]引越し。
※清川・康晴さん
【邦訳日葡辞書】「ヤウツリ」家移り。引っ越し。
やっ <感>[意]えっ? なんだって?「なっ」に同じだが、「やっ」の方がぞんざいな表現。[例]やっ? 今なんちゅうんたんか(えっ?今なんて言ったのか)。
やあやあ <感>[意]やいのやいのと、やかましく。[例]おそなっちかいったら、母ちゃんにやあやあ言われた(遅くなって帰ったら、母親にやいのやいのと言われた)。
やええ <形>[意]@柔らかい。[例]こんもちゃ、やええなあ(この餅は柔らかいねえ)。A人当たりが柔らかい。「気が弱い」という意味合いもある。[例]あんしゃ、やええきなあ(あの人は、人当たりが柔らかいからねえ)。
〔未〕やわかろう [意]柔らかかろう。
〔用〕やおうなる、やおなる [意]柔らかくなる。
〔仮〕やわから、やえから [意]柔らかければ。
やえこっちゃねえ <句>[意]容易なことではない、簡単ではない、むずかしい。「やおねえ」に同じ。[例]そげえきやすぅいうけんど、やえこっちゃねえんど(そんなに気安く言うけれど、簡単なことではないよ)。
やえひじい <形>[意]仕事などが、かんたんなように見えて大変厳しいこと。例えば「むさくるしい」は「むさい」と「見苦しい」という同義の言葉を重ねているが、この「やえひじい」は前段の「やわい」を後段の「ひどい」で打ち消す、少々珍しい構成となっている。[例]そげいうけんど、これが、あんた、やえひじいんで(そんな風に言うけれど、これが、あなた、簡単なようで厳しいんだよ)。
〔未〕やえひじかろう [意]厳しかろう。
〔用〕やえひずなる、やえひずうなる [意]厳しくなる。
〔仮〕やえひずから [意]厳しければ。
※清川、千枝さん
やおねぇ <句>[意]簡単ではない、楽ではない。[例]こん、しごたー、やおねえで(この仕事は、楽ではない)
やかましゅういう <句>[意]厳重に注意する。[例]もうこげなこたせんごつ、やかましゅういうちょきますき、こんだばっかりゃ、こらえちょくれ(もうこんなことはしないように、厳重に注意しておきますから、今度ばかりは勘弁してください)。
※緒方・みっこさ
やから <名>[意]いつも愚痴を言ったり不平不満を言うこと。[例]あんやたぁ、飲むと、やからんじょう言う(あいつは飲むとグダグダと愚痴やら文句ことばかり言う)。
<参>寝やから(寝くじ)
※緒方・みっこさ
【邦訳日葡辞書】「ヤカラ」気まぐれ者で、ちょっとしたことで口論をしかける者。手に余る者ということで共通している。
やくる <動・中三>[意]@焼ける。A妬ける。いずれも、標準語では下一段活用だが、大分では下二段活用となる。ただし、命令形が「やきい」となるので、正確に言うと中三段活用である。
〔未〕やけん [意]やけない。
〔未〕やきゅう [意]やけよう。
〔仮〕やくら [意]やければ。
やごんだごつ <句>[意]こんもりと、小山のように。[例]くすう、やごんだごつ、ひりこづうじ(糞を小山のように積み上げて=豊後浄瑠璃より)。
やしい <形>[意]@安い。A易い。
〔用〕やすうなる [意]やすくなる。
〔仮〕やすから [意]やすければ。
やしいこと <句>[意]たやすいこと。[例]そげんこたぁ、やしいこと(そんなことは、たやすいこと)
やしつら <名>[意]何でも食べたがる人、いやしん坊。
※清川・久洋さん
やする <動・中三>[意]痩せる。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「やしい」となることから正確には中三段活用である。
〔未〕やせん [意]痩せない。
〔仮〕やすら [意]痩せれば。
やせうま <名>[意]団子を平たく伸ばして茹でて黄な粉にまぶしたもので、おやつにされた。
やつがい <名>[意]晩酌。[例]今日もやつがいをするな?(今日も晩酌をしますか?)。
やっこさぐ <動>焼っこさぐ[意]火力を強くして何も残らないように焼く、焼き尽くす。[例] 枯葉ぃ庭にたまっちどんこんならんき、よせあつめち、やっこさいだ(枯葉が庭に溜まってどうしようもないので、寄せ集めて残らず焼いた)。
〔未〕やっこさがん [意]焼き尽くさない。
〔用〕やっこせえだ [意]焼き尽くした。
〔仮〕やっこさが [意]焼き尽くせば。
やっこめ <名>[意]焼き米[解説]餅米を炒って作る。炒る前に蒸す方法もあるが、より本格的な作り方は脱穀した餅米を蒸さずに大鍋で炒る。蒸さない分、万遍なく火を通すのに熟練の技を要する。湯呑みに焼き米を入れた上から熱いお茶を注ぎ、塩を適量入れるのが一般的な食べ方。実に香ばしい。餅米はうるち米より収穫時期が早いため、うるち米の稲収納(いねじの)を始める日の朝食に食べたという。
※清川・康晴さん、千枝さん
やっしゃ <名>[意]啖呵。[例]またあいつが酔うち、やっしゃ、切りでえた(また、あいつが酔って啖呵を切り始めた)。
やっしゃきり <名>[意]おこりんぼう。[例]あいた、やっしゃきりじゃ(あいつは、おこりんぼうだ)。
やっとま <句>奴共・は[意]やつらは。[例]あんやっとま、いつまじでん騒ぎよるのお(あいつら、いつまでも騒いでいるなあ)。
やっとこさっとこ <副>[意]ようやく。「ようやっと」「やっとこせ」に同じ。
※大分出身・ひろ子さん
やっとこせ <意>[副]ようやく。「ようやっと」「やっとこさっとこ」に同じ。
やといど <名>雇い人[意]主に臨時に人を雇うこと。「雇われる人」ではなく「雇う」という行為を指す。[例]手が足らんき、やといどぉせななるめえ(人手が足りないから人を雇わないといけないだろう)
※緒方・入道さん
やねがい <名>屋根替い[意]屋根の葺き替え。
※清川・康晴さん
やぶくる <動・中三>[意]破れる。「やぶるる」に同じ。
〔未〕やぶけん [意]破れない。
〔未〕やぶきゅう [意]破れよう。
〔用〕やぶけた [意]破れた。
〔仮〕やぶくら [意]破れれば。
やぶるる <動・中三>[意]破れる。命令形は「やぶりい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。「やぶくる」に同じ。
〔未〕やぶれん [意]破れない。
〔未〕やぶりゅう [意]破れよう。
〔仮〕やぶるら [意]破れれば。
やまる <動・五>[意]止む。止まる。[例]やんがち、あめいやまるわ(じきに雨が上がるよ)。
〔未〕やまらん [意]止まない。止まらない。[例]あめい、やまらんのお(雨が降り止まないなあ)。
〔仮〕やまら [意]止めば。止まれば。[例]やまら、すぐいくで(降り止めば、すぐに行くよ)。
やまわろう <名>[意]マメ科の多年草、盗人萩。
やむる <動・中三>[意]やめる。標準語だと下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「やみい」となることから正確には中三段活用である。
〔未〕やめん [意]やめない。
〔未〕やみゅう [意]やめよう。[例]きりがつかんけんど、やみゅうえ(きりがつかないけれど、もう、やめようよ)。
〔仮〕やむら [意]やめれば。
〔命〕やみい 〔意〕やめろ。[例]いいかげんに、やみい(いい加減にやめろ)。
〜やら <副助>[意]〜なんか。「〜なんこ」「〜なんぬ」に同じ。[例]わがんさいふやら、おれぃしるか(お前の財布なんか、俺が知るもんか)。
やらと <副>[意]ろくに。大して。「ええっと」に同じ。[例]やらと、おぼえんずきい、やめたんで(対して覚えないまま、やめたんだよ)。
※清川・邦友さん
やれ <動・五>[意]くれ。「やる」の命令形で、本来なら相手に差し出すことをいうが、どうしたものが要求の意味になる。[例]たばくぅ、いっぽんやれ(煙草を一本くれ)。
やわたろう <名>[意]有鱗目ヘビ亜目の爬虫類の一種で一般に青大将と呼ばれる。日本最大で体長2メートルにもなる。ネズミなども捕食することから家の守り神とされた。昔の農家では、この蛇の抜け皮を長押に這わせていた。
やんがち <副>[意]やがて、間もなく。[例]父ちゃんな、やんがち帰っち来るじゃろ(お父さんは、間もなく帰ってくるでしょう)。やんがち、あめい、ふろうどっしよる(やがて、雨が降ってきそうだ)。