よ <名>[古]節[意]竹の節と節の間の部分。大辞林にも「@竹や葦の茎の、節と節との間。A転じて節(ふし)」とある。
【解説】百人一首十九番「難波がた みじかき葦の ふしのまも あはでこのを 過ぐしてよとや」(伊勢)の「このよ」は「この世」と「この節(よ)」をかけている。また、百人一首八十八番「なにはえの あしのかりねの 一ゆゑ みをつくしてや 恋わたるべき」(皇嘉門院別当)の「一夜(ひとよ)」も、やはり「ひと節(よ)」をかけてある。
 ※清川・康晴さん


よ 
<終助>[意]動詞の命令形に付く。[例]寝(寝ろ)。し(せよ、しろ)。
【解説】大辞林には、古語(文語)の上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変動詞の命令形にみられる「よ」は、元来はこの助詞である。中古以降、これらの活用の命令形には、ほとんど常に「よ」が添えられるため、「よ」も含めて命令形とするようになった――とある。
 ※清川出身・三鷹んあんちゃん


よい
 <感>[意]おい。ねえ。[例]よい、ひとんはなしゅう、きいちょんのか(おい、人の話を聞いているのか)。

よいたくじる <動・五>[意]ひどく酔っ払う。「よいたくるる」に同じ。
 〔未〕よいたくじらん [意]ひどく酔っぱらわない。
 〔用〕よいたくじった [意]ひどく酔っぱらった。
 〔仮〕よいたくじら [意]ひどく酔っぱらえば。

よいたくるる <動・中三>[意]酔っぱらう。[例]どうせ、また、よいたくるるんじゃろう(どうせまた酔っぱらうんだろう)。
 〔未〕よいたくらわん [意]酔っぱらわない。
 〔用〕よいたくろうた [意]酔っぱらった。
 〔仮〕よいたくらわ [意]酔っぱらえば。


よいたくれ 
<名>[意]酔っ払い。「よいと」に同じ。[例]また、あんよいたくれい、やっしゃをきりよる(また、あの酔っ払いが啖呵を切っている)。
 ※緒方・みっこさ


よいと
 <名>[意]酔っぱらい。[例]よいとん言うこつぅ、真に受くるもんがあるか(酔っ払いの言うことを真に受けてどうするんだ)。

よいくらう <動・五>[意]酔い食らう。酔っぱらう。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕よいくらわん [意]酔っぱらわない。
 〔用〕よいくろうた [意]酔っぱらった。[例]また、あんやたぁよいくろうちょる(また、あいつは酔っ払っている)。
 〔仮〕よいくらわ、よいくらや [意]酔っぱらえば。


よう 
<動・五>[意]酔う。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕よわん [意]酔わない。
 〔用〕ようた、ゆうた [意]酔った。ウ音便の形となる。
 〔仮〕よわ、よや [意]酔えば。


ようき 
<副>[意]たくさん。「よき」「ようけ」に同じ

ようけ
  <副>[意]いっぱい、たくさん。「ようき」「よき」に同じ。[例]ようけ、かるうちょるが、しょわねえな(たくさん背負っているけれど、大丈夫ですか)。

ようべ 
<名>[意]昨夜。「よんべ」「ゆんべ」に同じ。

ようやっと 
<副>[意]ようやく。「ようよ」「やっとこさっとこ」に同じ。
 ※清川出身・三鷹んあんちゃん


ようやっとこさ 
<副>[意]やっとの思いで、かろうじて。「ようよ」「ようやっと」よりも強調の意味合いがこもる。
 ※緒方・みっこさ


ようよ 
<副>[意]ようやく。やっとのことで。「ようやっと」「ようやっとこさ」「やっとこさっとこ」に同じ。[例]ようよ、のぼっちきた(やっとのことで登って)。

よおい
 <感>[意]おおい。[例]よおい、おらんかええ(おおい、いませんかあ)。

よがむ
 <動・五>[意]ゆがむ。[例]そげえ押しゃ、柱ぃよがむが(そんなに押したら、柱がゆがむよ)。
 〔未〕よがまん [意]ゆがまない。
 〔用〕よごうだ、よぐうだ [意]ゆがんだ。
 〔仮〕よがま [意]ゆがめば。

よがむる <動・中三>[意]歪(ゆが)める。命令形は「よがみい」となるので、大分独特の変形下二段活用「中三段活用」である。
 〔未〕よがめん [意]ゆがめない。
 〔未〕よがみゅう [意]ゆがめよう。
 〔仮〕よがむら [意]ゆがめれば。


よからん
 <句>[意]よくない事態。とんでもないこと。[例]こら、よからんこちなったのお(これは、とんでもない事態になったなあ)。

よかろこうべえ
 <句>[意]特に規制はないので、程よくやれという意味。
 ※『岡藩のひらくち』

よき <名>[古]斧(よき)[意]小型の斧、手斧。
【邦訳日葡辞書】「ヨキ」斧、または、小さい斧。


よき 
<副>[意]たくさん。「ようけ」「ようき」に同じ。

よくづら 
<名>[意]強欲な人。
 ※清川・久洋さん


よくる
 <動・中三>[意]避ける。標準語は下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし、命令形が「よきい」となるので正確には中三段活用と呼ぶべきだろう。[例]車ぃ来たら、よくるんで(車が来たら、避けるんだよ)。
 〔未〕よけん [意]避けない。
 〔未〕よきゅう [意]避けよう。
 〔仮〕よくら [意]避ければ。。

よけ <名>[意]道路脇や農地に作られた排水路。
 ※宮崎・なばさん


よこい
 <名>[意]休憩時間、休日。[例]よんびゃ、飲みすげたもんじゃき頭い痛え、今日はよこいじゃ(夕べは飲みすぎたから頭が痛い、今日は休みにする)。

よこいだる <句>[意]休憩を取りすぎて却ってだるくなること。[例]あんまり休みがなげえと、よこいだるごたる(あまり休みが長いと、却ってだるくなるようだ)。
 ※清川・康晴さん


よこう <動・五>[意]休憩する、休む。[例]きょうは、むりゅうせんじ、よこいなあ(今日は無理をしないで、休みなさい)。
 〔未〕よこわん [意]休憩しない。
 〔仮〕よこわ [意]休憩すれば。
 〔命〕よこえ [意]休憩しろ。

よこくじゅこぬる <句>[意]筋違いの理屈をこねて本筋外の問題を引き出して苦情を言って協議の進行を妨げる。
 ※『岡藩のひらくち』

よこし <
名>[古]横し[意]横。横の方。横たわった様。横ざま。『日本書紀』(岩波文庫)の成務天皇の項に「(略)東西を日縦(ひのたたし)とし、南北を日横(ひのよこし)とす」とある。[例]のみすげち、わりいき、よこしぃならしちょくれ(飲みすぎて気分が悪いので、横にならせてください)。<反>たてし。

よこたくり(よこたくし) <副>[意]横から。[例]あめぃ、よこたくりい、ふりよる(雨が横殴りに降っている)。

よごるる <動・中三>[意]汚れる。標準語では下一段活用だが、大分では下二段活用となる。ただし、命令形が「よごりい」となるので、正確に言うと中三段活用である。
 〔未〕よごれん
 [意]汚れない。
 〔未〕よごりゅう [意]汚れよう。
 〔仮〕よごるら [意]汚れれば。


よごれ
 <名>汚れ[意]@汚らしい格好をした人。A法律や社会の慣習、道徳に反する行いをする人、半端もの、極道もの。

よこわする <動・中三>[意]休ませる。休憩させる。命令形が「よこわしい」となるので中三段活用である。
 〔未〕よこわせん [意]休ませない。
 〔未〕よこわしゅう [意]休ませよう。
 〔仮〕よこわすら [意]休ませれば。


よする 
<動・中三>[意]寄せる。標準語では下一段活用だが大分では下二段活用となる。ただし命令形が「よしい」となることから正確には中三段活用である。
 〔未〕よせん [意]寄せない。
 〔未〕よしゅう [意]寄せよう。
 〔仮〕よすら [意]寄せれば。


よだきい
  <形>[古]弥猛(よだけ)し[意]物憂い、億劫だ。
 〔未〕よだきかろう [意]億劫だろう。
 〔用〕よだきゅうなる、よだきなる [意]億劫になる。
 〔仮〕よだきから [意]億劫であれば。。
【解説】2008年1月11日発行の広辞苑第六版に収録された。「(大分、宮崎で)億劫だ。面倒くさい」とある。しかし、「よだきい」から5項後に「よだけし」があり、「@ことごとしい。大層であるA物憂い。大儀である。面倒である。億劫である」と説明しているのに、「よだきい」と関連付けていないのは残念である。


よだつ
 <動・五>[意]計画する、思い立つ。[例]はよ、忘年会をよだてや(早く、忘年会を計画しろよ)。
 〔未〕よだたん [意]計画しない。
 〔仮〕よだた [意]計画すれば。

よったり <名>[意]四人。辞書に載る言葉だが、標準語で聞くことはまれ。
 ※緒方出身・Hiroさん


よとぎ 
<名>夜伽[意]通夜の翌朝まで故人の傍らに居ること。時代劇で御殿様が御女中に命じる「夜伽」とは、だいぶ意味合いが違う。
<参>とぎ


よな 
<名>[意]火山灰。大辞林には「阿蘇火山地方における火山灰の総称」とある。

よむ 
<動・五>[意]読む。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕よまん [意]読まない。
 〔用〕ようだ [意]読んだ。[例]あん、ほんな、もう、ようだんな(あの本は、もう読んだの)
 〔仮〕よま、よみゃ [意]読めば。


よむる 
<動・中三>[意]文字が十分に判読できる、または、文章の理解が十分できる。
 〔未〕よめれん [意]読み取れない。
 〔仮〕よむるら [意]読み取れれば。
【邦訳日葡辞書】「ヨムル」文書なり文字なりが読み取れる。


よめじょう
 <名>嫁上[意]嫁。

よばるる <動・中三>[意]呼ばれる。称される。特に人が作ってくれた料理をいただくこと、人にもてなしを受けることをいう。[例]せっかくじゃき、よばるるこてぃ、しゅうか(せっかくだから、料理をいただくことにしようか)。
 〔未〕よばれん [意]よばれない。
 〔未〕よばりゅう [意]よばれよう。いただこう。[例]なり、ちっとぉ、よばりゅうか(それなら、少しいただこうか)。
 〔仮〕よばるら、よばるりゃ [意]よばれれば。[例]よばるら、いいじゃねえな(いただけば良いじゃない)。
 〔命〕よばりい、よばれよ [意]よばれろ、いただけ。[例]あんたも、よばれよ(あなたも、いただきなさい)。
 ※竹田出身・水瀬さん


よぶ 
<動・五>[意]呼ぶ。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕よばん [意]呼ばない。
 〔用〕ようだ [意]呼んだ。ウ音便の形になる。[例]ようだけんど、きこえたふうじゃなかった(呼んだが、聞こえたようではなかった)。
 〔仮〕よば、よびゃ [意]呼べば。


よる 
<動・五>選(よ)る[意]選ぶ、選別する。標準語として辞書に載るが、標準語で使われることはまれ。[例]ばあちゃんな、おもてじ、あずきゅう、よりよるで(おばあさんは、表で小豆を選別しているよ)。
<参>「よりによって」「よりすぐり(えりすぐり)
 〔未〕よらん [意]選ばない。
 〔仮〕よら [意]選べば。


〜よる

 <助動>[意]@〜している。現在進行形。[例]今、テレビゅう、みよるんじゃ(今、テレビを見ているんだ)A習慣を表す。[例]わしゃ、いってん、ここじねよるで(私はいつも、ここで寝ているよ)。
 〔未〕〜よらん [意]〜していない。[例]なんも、しよらんで(なにもしていないよ)。
 〔未〕〜よろう [意]〜しているだろう。[例]おおかた、ひるねでん、しよろう(おそらく昼寝でもしているだろう)。
 〔用〕〜よった [意]〜していた。[例]ほんぬぅ、よみよった(本を読んでいた)。
 〔仮〕〜よら [意]〜していれば。[例]さきい、いきよら、あとかりおいつくわい(先に行っていれば、後から追いつくよ)。
 〔命〕〜よれ [意]〜していろ。[例]おくるるき、さきぃ、のみよれ(遅れるから先に飲んでいろ)。

よろこぶ <動・五>[意]「喜ぶ」。標準語とは活用が一部異なる。
 〔未〕よろこばん [意]喜ばない。
 〔用〕よろくうだ [意]喜んだ。ウ音便の形になる。
 〔仮〕よろこば [意]喜べば。


よろけ
 <名>[意]病弱な人。

よろしい <形>[意]足腰が衰える。よろよろする。[例]としゅうとったもんじゃ、もう、あしがよろしいんで(年を取ったものだ。もう足がよろよろするんだよ)。
 〔未〕よろしかろう [意]よろよろするだろう。
 〔用〕よろしゅう [意]弱々しく。[例]あしが、よろしゅうなっちなあ(脚がよろよろするようになってねえ)。
 〔仮〕よろしから [意]弱々しければ。
 ※清川・千枝さん


よんがよどおし 
<連語>[意]一晩中。

よんべ(ゆんべ)
  <名>[古]よべの変化形。[意]昨夜、ゆうべ。

戻る