2007年初夏 拍手SS
「ときメモGS」 姫条まどか
は?へ?いや、うわの空やないって。
た、退屈なわけがないやろ?
なんやキンチョーしてしもうて。
わ・・笑うたな、本気やのに。
やって、あんなに冷たい態度やったお前が隣に居るんや。
そりゃキンチョーもするし、挙動不審にもなるやろ?
ご理解いただかんと。
なぁ・・・本当に俺でええの?
後で『やっぱ、やめた』とかって切り捨てるのだけは勘弁や。
やって俺、自分でもビックリするぐらいマジなんや。
だから言わせて。
お前が好きや。
「遥かなる時空の中で3〜十六夜〜」 銀
さあ、遠慮をなさらずに。
それでは貴女が濡れてしまいます。
私ですか?私のことなどお気になさらないでください。
貴女の肩が雨に濡れてしまう方が私には辛いのです。
大切な貴女だから私以外の誰にも触れさせたくない。
たとえそれが天から降り注ぐ雨だったとしても、私は妬いてしまうのです。
神子様?
お顔が赤いようですが・・・どうかなさいましたか?
そのように愛らしい顔で睨まれましても困ってしまいます。
どうしましょう。
急な雨で誰も私たちのことなど気に留めないでしょうか。
恥ずかしがりやの貴女だから、念のためお訊ねします。
貴女の唇に私が触れることをお許し願えますか?
「テニスの王子様」 乾貞治
君の無神経さには呆れるよ。
俺は君が好きだと言ったはずだ。
本気だからと念押しまでした。
ウン、私も乾が好きだよと、
学食の親子丼が好きだよと教えてくれた時と同じノリだったよね。
俺はホンの少し不安だったんだ。
で、どういうことだい?
俺の忍耐を試すわけ?それとも俺をからかってる?
こんな夜に、俺の親が居ないことを知っててお宅訪問?
それも降り続く雨の中。
びしょ濡れの君が泣きそうな顔で立ってたら俺が我慢なんて出来るわけないだろう?
抱いてしまうよ。
だって俺は君が大好きなんだ。
「金色のコルダ」 土浦梁太郎
お、体育か。
どう見ても運動神経鈍そうだが・・・そうでもないのか。
走ってる、走ってる。
それにしても薄い体だな。
ちゃんとメシを食ってるのか?
後で訊いてダイエットなんぞしていた日には止めさせないとな。
細くて華奢な手足は驚くほど白い。
俺と並んだらオセロになっちまうかもな。
少し伸びた髪が風に靡いている。
あの髪からする甘く柔らかい香りを俺は知っているんだ。
アイツの白い肌と俺の焼けた肌が重なったら・・・どうなるだろう。
いや、あ・・っと、授業中にナニ考えてんだ。
駄目だ、俺。
だんだん我慢がきかない男になってきた。
マイッタ。
恋ってのは、どうしようもないもんだな。
「遥かなる時空の中で」 橘友雅
君を閉じ込める大きな鳥かごがあったならと本気で思い始めたよ。
その可愛らしい笑顔を誰にでも振る舞い、
その清らかな優しさを誰にでも惜しみなく注ぐ。
君は私に『好きだ』と言ってくれた。
あまりに直接的な物言いで驚いたけれど、君らしい真っ直ぐさに心打たれたのは本当だ。
私は君に愛されているはず。
だが、その愛は他へ向けられる君の愛とどう違うのかね?
情けない。
この歳になって若い娘に心を掻き乱されるとは。
心から誰かを愛したいと願った。
その人を見つけたとき、心から愛されたいとも願った。
愛し、愛されたい。
この単純な願いの前で、私は跪き頭を垂れるしかない。
私だけを愛しておくれ、いとしい人。
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