占い 〜氷帝編〜










景吾編〜





「待たせたな、。行くぞ。」
「ん〜ちょっと、待って。」



予約していた新刊を取りに来た景吾について、駅前の大型書店にやってきた
景吾を待つ間、暇つぶしに開いた雑誌は『占い特集』だった。



「ああん?何を立ち読みしてんだ?」



が持つ雑誌を片手で持ち上げて、表紙に躍る文字を追ってから溜息をつく。



「お前。まさかと思うけど、俺との相性なんか調べたりしてねぇだろうな。」
「してる。ちょっと待って。今、大事なとこ読んでるから。」



言い終わった途端に、の目の前から雑誌が消えていた。
取り上げたのは、もちろん目の前でエラソウに見下ろしてくる恋人だ。



「景ちゃん、返して!」
「んなもん調べたって仕方ねぇだろ?」


「仕方なくない。興味があるの。返してって!」
「占いなんかに何の意味があるんだよ。バカ。」



ふん。と、冷たく言い放って。さっさと雑誌を戻してしまった。



「酷い!せっかく生年月日を計算して、今から相性のとこだったのに!」
「相性に何の意味がある?バカじゃねぇの?」


「何言ってんの?相性は大事でしょ?」



不機嫌なに、景吾はニヤリと笑って見せる。


お前はバカだ・・・と、いつものように言って。
けなすような言葉とは裏腹に、ふんわりとの頭を抱きかかえるようにして唇を寄せた。



     占いなんかに俺らが左右されると思うのか?

     相性が良かろうが、悪かろうが、知ったこっちゃねぇ。

     何がどうであろうと、俺とお前は。

     ずっと一緒なんだよ。





それから後。
が景吾の前で占いを見ることはなくなった。















忍足編〜





「なぁ、と俺。相性的には50パーセントやって。なんや、へこむなぁ」
「そう?」



ゲーセンを出た後に入ったコーヒーショップ。
侑士はペラペラの紙を見つめながら溜息をつく。


反対には平然としてカフェラテを美味しそうに飲んでいた。



。お前・・・平気なんや。俺がこんなに傷ついてんのに。」
「馬鹿らしい。侑士との相性なんて悪いに決まってるでしょ?50パーセントに驚いたぐらいだもん。
 今さら、何言ってんだか。」


「なんやて!酷い・・・酷すぎる。確かに、好みも、考え方も、何もかも合ったことはないけど。
 好き合うて一緒に居るのにっっっ!」
「好き合う・・・って、なんだか古めかしい言葉よねぇ」


「冗談やないで!」



手にしていた占い結果をテーブルに放り投げて、侑士はを真剣に見つめた。



誰にも靡かないに恋をして、口説いて口説いて、口説きまくって手に入れた。
やっと腕の中に抱いて聞いてみれば、



『本当は・・・ずっと侑士が好きだった。でも、他の女の子たちと一緒には扱われたくなかったの。

 わたしは侑士の特別に、なりたかった。』



この言葉を聞いたときの侑士は、頭が沸騰しておかしくなりそうだった。


嬉しくて。恥ずかしくて。愛しくて。
いっぱい、いっぱいになって、の体を力加減も出来ずに抱きしめた。


あれから侑士にとって、は特別な女の子だ。


付き合い始めても、素直じゃない彼女。
おまけに、ことごとく好みが違っているものだから諍いが耐えない。


だが惚れた弱みで、いつも折れているのは侑士。



が『好きだ』と言ったのは、後にも先にも、あの一度きりだ。



     本当に俺のこと好きなんか?



喉まで出ている言葉を何度飲み込んだことか。



な。前から一回確認しとこうと思うてたんやけど。お前、俺のこと・・・」
「侑士」



意を決して話し始めた侑士の言葉を遮って、はテーブルの上にあった占いを手に取った。
あっ!と侑士が声に出す間もなく、ぐしゃぐしゃっと手で丸めると席を立ちダストボックスに捨ててしまう。



「おい、捨てんでも」


「侑士のバカ。あんな300円くらいの占いで、私たちがどうにかなると思ってんの?
 私は何があっても侑士の傍にいる。それでいいじゃない。」



はぶっきらぼうに言うと、カバンを手に背を向けた。
呆気にとられていた侑士。



一瞬後。自然と緩んでくる口元が止められない。



「待てって!なぁ、。」



慌ててテーブルの上を片付けると、すでに自動ドアを外に出ようとしているに追いつく。
覗き込んだ顔は、ほんのりピンクに染まっていて。



「あ〜当たった。」
「なによ」


「今朝見たテレビの占い。」
「また。懲りないのね。」


「いやいや、相性やないで。今日の『てんびん座』、ラブ運が絶好調やったん。
 の可愛い気持ちが聞けたし。当たったなぁ・・・と。」


「ばかばかしい」



小さく呟いて下を向いたの耳元に唇を寄せ。侑士は、そっと囁く。



「俺やって、何があってもの傍におるからな。」





          好きや。




















          「占い 氷帝編」  

          2005.04.22




















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