会いたい・・・。
切実に。ただ、ひとつの願い。
会いたい・・・。
君に。ただ、ひとり。
会いたい・・・。
会いたい 〜つきせぬ想い番外編〜
もう何度目の季節が俺の前を過ぎていったんやろ?
それさえ考えるのが億劫で。ただ、一日が過ぎていく。
昨夜。彼女の夢を見た。
俺の腕の中。笑ってた。
目が覚めるとき。夢だと知って。目覚めたくないと足掻いたけれど。
意識は浮上していって。彼女は消えた。
ブラインドの隙間から、優しい朝日が差し込む部屋で。
俺は夢から目覚めて、瞳を閉じる。
抱きしめた柔らかさ。ぬくもりまで思い出せるのに。
いない。彼女が・・・いない。
胸が痛くて。叫びだしそうに、痛くて。
それでも。まだ、胸が痛む自分に安心する。
まだ、忘れていない。まだ、彼女を愛している。
この胸の痛みは、その証だと。
俺の心も。体も。まだ、彼女を忘れていない。
それに、密かに安堵して。
痛みを耐えながら、彼女の姿を思い浮かべた。
ポプラ並木を歩くと。また、彼女を思い出す。
ここは、彼女と歩いた道じゃない。
でも、思い出さずにはいられなくて。
見上げた空は青くて。黄色のポプラが映えて、美しい。
彼女もポプラ並木を見上げることがあるだろうか?
その時。俺と同じ痛みを感じてくれているだろうか?
心の狭い俺は。彼女の幸せを願ってやれない。
俺を思い出して。泣いていれば・・・嬉しいと思ってしまう。
泣いてた顔。最後のキス。
無意識に自分の唇に触れて、目を閉じる。
長い一生の中では、ほんの一瞬の輝き。
それでも、彼女以上に眩しい光はなかった。
「侑士!」
呼ばれて。ゆっくり振り向く。
そこに立っているのは、君ではない。別の人。
俺の隣に駆け寄ってきて、さっと腕を組んでくる。
「なに考えてたの?」
聞かれて。曖昧に笑って返す。
なぁ、。俺、結婚するん。好きでもない女と。笑えるやろ?
お前が知ったら、なんて言うやろ?
きっと「おめでとう。幸せになってね。」って。
無理矢理に笑うよな?
それで、ひとりで泣くよな?
俺の心な。もう、死んでしもうた。
何も感じない。何も感じたくない。
時間だけが過ぎて行くん。
お前だけが。鮮やかな色で俺の記憶の中にいる。
それでいい・・・と。思ってる。
会いたい。もう一度、お前に。
つきない想い。消せない想い。それでいい。
来年も。ポプラは黄金に輝くだろう。
また。お前に、会いに来ような。
会いたい。
会いたい 〜つきせぬ想い番外編〜
2004.12.17
平井堅 「瞳を閉じて」がBGMです。侑士。彼女を忘れてません。
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