病院の火災<(用途別火災調査結果) <火災調査統計 <ホーム:「火災調査探偵団」
火災原因調査 Fire Cause |
火災損害調査 Fire Damage |
火災調査の基礎 Fire Investigation |
火災統計と資料 Fire Statistics |
外国の火災調査 Foreign Inv. |
火災調査と法律 Fire Laws |
火災調査リンク Fire Inv. Link |
H5-04 07'11/11
病院・診療所火災の主な事例 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東京消防編「火災から学ぶ−安全へのアプローチ−<病院・社会福祉施設編>」から参考しています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
病院の火災による法令改正 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
@ S48,03.08 北九州市・八幡病院火災 (1階診療所で使用していた蚊とり線香が原因とされている。) 通報の遅れと初期消火の失敗で、延焼拡大しさらに、防火区画の不備で 耐火一部木造5/1の2F,3F,4Fへと拡大し、多数の死者がでた。 S49.07.01法令改正。SP等消防用設備の設置強化。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
病院・診療所 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
☆ 医療法(昭和23年7月30日法律第205号)により、病院とは、20人以上の患者を入院させる施設を有する ものであり、診療所はそれ以下の施設となっている。 また、助産所は妊婦等10人以上の入所施設となっている。 病院、診療所以外に、産院、療養所、診察所、医院があるが、これらの名前は他に使用してはならないことに なっている。 ☆ 病院は、近代的なビルの形態を有するものと、旧来の施設に木造等の看護師寮や給食施設を渡り廊下など で接続しているものなどがあり、その形態はさまざまです。 ☆ 消防設備がSPを中心として設置されている病院は、階段等に対してもホース式の2号消火栓が設置されてい るなど、設備的に完備している所も多くあります。 ☆主な火災事例では、消火の失敗が延焼拡大を招き、その後の「避難誘導」ができていないことから、多数の死傷 者を出しています。特に、精神病院は、建物内の各病室の構造的な制約から、避難が遅れて惨事となっています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
病院・診療所の火災の実態 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
@ 病院別火災 H9年〜H18年の10年間の 東京消防管内の264件の火災から。 図1のように、一般病院が 54%と最も多く、次いで精神病院です。 一般病院の母数が多いことから比較す ると精神病院での火災件数が多と言え ます。また、一般診療所や歯科診療所 などもそれぞれ10年で30件近い火災 が発生しています。 |
A 出火場所別火災 H9年〜H18年の10年間の 東京消防管内の264件の火災から。
図2から、1/4は病室からの出火です。 玄関ホール・階段、便所、診察室などが 平均して出火場所となっています。 つまり、病院・診療所内であれば、 どこが危険化と言うより、どこからも 火災の危険がある、と考えるのが普通で です。 |
B出火原因の実態 H9年〜H18年の10年間の 東京消防管内の264件の火災から。 図3のように放火が47%と最も 多く、特に精神病院の火災では 87%が放火による火災です。 また、最近は配線・配線器具から の火災、医療用機器からの火災 も増える傾向にあります。 このため、出火場所も電気・機械 室からの出火が増えています。 特に、病院は高度医療機器が 増え、それに伴う、電気配線など も増えていますが、十分な施設 管理がなされていない所でこれら 電気に関する火災が増える傾向に あります。 医療機器では、消毒機器6件、 X線装置4件、光線治療器3件、 が多いです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
C 初期消火活動 10年間の消火した火災242件に ついて見ると、 消火あり・成功 73% 消火なし 21% 消火あり・失敗 6% となっている。 つまり、9割は消火でき ている。 消火あり・失敗を見ると、 H9年〜H13年の5年間と H14年〜H18年の5年間では、 {H13}では、8%であったものが {H18}では、5%と逓減しており、 結果として、消火あり・成功の率も {H13}では66%が{H18}は80%と なつている。 防火管理における病院・診療所の 高い認識が表れている。 |
D 初発見後の活動 火災を発見ごの行動では、 火事ぶれなどを優先 39% 消火活動を優先 35% 119番通報を優先 18% その他 8% と、なっている。 火災を発見したら、まず「火事ぶれ」に より多くの職員への報知をしている。 これらは、火災の状況にもより、どれが 適切かはさだかではないが、結果として このような統計結果となつている。 |
E 避難誘導の活動 H9年〜H13年の5年間と H14年〜H18年の5年間では、 {H13}では、431人の避難であ ったが、 {H18}では、1,107人の避難を している。それだけ、粗衣禁の火災 では、適切な避難がなされている とも言えるし、また、避難を必要と する「火災」が増加しているとも 言える。 ☆ 有人直接通報システム これは自動火災報知設備が作動 すると連動して、音声装置で119番 通報がなされるもので、火災時通 報の遅れを防止するために病院等 に設けられている。 年間約10件近くの通報がなされ ています。だいたいが、初期消火 に成功しているケースが多いです が、万一の場合は、早い消防活動 が確保されます。 |
本資料は、東京消防の「火災の実態」から、取ったものです。