落し物
「・・・・・・はぁ」
「なんだよ、めずらしいな。溜息なんかついて」
「ん・・・・・・ちょっとね」
「なんかあったのか?」
「・・・・・・ん・・・・・・」
「・・・・・・ほんとにヘコんでんのか、お前。どうしたんだ?なにか・・・・・・紋章のことか?」
「いや、紋章じゃない」
「なら・・・・・・」
「紋章よりも、もっと大事なこと」
「お前が聞かれたくないなら、俺は無理に聞く気はないけど」
「ありがとう、テッド・・・・・・なら、聞いてくれる?」
「どうした?」
「実は、ちょっと落し物をしたみたいで」
「落し物?お前が?」
「そう」
「めずらしい・・・・・・んで、なにを落としたんだ?大事なものなんだろ?」
「ん。でも、また手に入れることはできるんだし、こんなに落ち込むことはないと思うんだけど・・・・・・でも、なんだか落としちゃったっていう、その事実にショック受けてるみたいでさ、僕」
「またお前はそんなに他人事みたいに。そりゃ、なんか落としたりなくしたりしたときってのは落ち込むのが普通だろ」
「じゃあテッドは今までこんな思いをたくさんしてきたんだね・・・・・・」
「そりゃ言外に俺がよくものを落としたりなくしたりしていると言いたいのか」
「そんなことは言ってないよ。やっぱり僕の10倍生きてるわけだから、経験も豊富だろうなと思っただけ」
「・・・・・・俺、やっぱり行っていいか」
「あ、嘘嘘。ごめんテッド」
「・・・・・・それで?」
「ん。もう一回、さがしてみるよ」
「俺も一緒に探してやろうか?」
「え、テッドが?」
「なんだよその意外そうな顔は!」
「だって、意外・・・・・・」
「言っとくけどな、これもお前に返す借りの一環だからな!ちゃんとカウントしとけよ」
「わかった。カウントダウンしておく」
「カウントダウンじゃ返したことにならねぇだろ!」
「あれ?」
「あれじゃねぇ!なんだよお前、ヘコんでたくせして」
「テッドと話してると、楽しいから」
「あーもうわかった!それで、いーからなに落としたかさっさと言えよ!」
「おまんじゅう」
「・・・・・・」
「ケヴィンさんとパムさんの、ふかしたておまんじゅうが入ってた袋・・・・・・」
「・・・・・・お前、それ落としたのか・・・・・・」
「・・・・・・ん・・・・・・」
「お前がまんじゃう落とすなんて、ありえねぇ・・・・・・」
「だって・・・・・・」
「あー、わかったから涙ぐむな!なんでお前は普段は無表情のくせしてまんじゅう絡むと途端にそーゆー顔するんだ!」
「それが僕の自然体・・・・・・」
「はいはい、もーいいから、とにかくどんな袋だ?まんじゅう以外、なにか入ってなかったか?」
「白い麻袋で」
「ふんふん」
「中に、おまんじゅうが3つと」
「まんじゅう3つな」
「あと、オベルの金印が入ってた」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・セト、お前」
「・・・・・・見つかるかな、テッド?おまんじゅう」
「まんじゅうよりも、金印の心配しろ!!!」
こいつに誰か、物の価値とか教えなおしてやってください。
誰でもいいから激しく訴えたくなった。ついでに泣きたくなった。ただし、ここで涙を流してしまったらなににかわからないが負けてしまう気がした。
ちなみに、その後、テッドの発案で船内至るところに『金印入りのまんじゅう袋を軍主に届け出た者には報奨金。並びに袋を持ち逃げした者には軍主の制裁が下ります』と張り紙をしたところ、たちどころに部屋に届けられたことを追記しておく。
「でも、おまんじゅう冷めちゃった」
「お前がいちばんショックだったのは、実はそれか」
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いろんな人に、まんじゅう落とすなんてありえねぇ!と言われました(笑)私もそう思います(笑)
確かこの日定期券落としたショックでブルーだったんですよね私・・・・・・部屋の中に落ちてたからよかったですが。だけど4様がショック受けるのって重大なことよりも落し物したとか野菜が値上がったとかそーゆー些細なことだといいなぁ(主婦ですか)