少し以前の作品ですが、大変思い出深い作品のひとつです。 実はこの「ニュージーランド編」より前に、水の都大阪の中之島川と堂島川で 競艇のボートを走らせ、CMを撮ったことがあります。

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「ニュージーランド編」は、その続編なのです。 企画の狙いは、競艇場の外であのボートをフルスピードで走らせよう・・ということです。 撮影は、ニュージーランドの南島、クライストチャーチからはクルマで３時間ほどのとこ ろにあるレイク・テカポで行いました。 有名なマウント・クックの近くです。 氷河が解けた水は独特の色＝ミルキーブルーで、とても神秘的です。

さて、このCMづくりでいちばんの問題となったのは、 競艇のボートをいかにしてニュージーランドに持ち込むか・・です。 ボート本体およびエンジンは厳正な行政の管理下に置かれているもので、 一般のボートを持ち出すようにはいきません。 結局、撮影後現地で完全に廃棄することを条件に許可を得ました。 そして、予備を含め２隻のボートと２台のエンジンを航空コンテナで現地に運び、撮影に臨みました。

デリケートな競艇のボートは、少しでも湖面に波が立つと転覆の危険があり走行できません。 大自然の中で、無風に近い穏やかな時を期待するのは至難です。 あらかじめ、１週間の撮影日を予定していたのですが、まったく幸運にも、 絶好の撮影条件が予定初日にやって来ました。 見事な快晴・・見事なミルキーブルーの湖面・・何もかもが完璧でした。 撮影は、まずヘリコプターによる空撮から始めました。 ヘリコプター撮影の法律的な条件が、日本に比べてゆるやかなことも好条件のひとつです。

パイロットは、果敢にボートに肉薄します。 そう、まさに「肉薄」なのです。 おかげで、美しい風景の中、迫力ある競艇のボートの疾走が撮影できました。 このCMは、クライアントも大変気に入ってくれて、現在でも放送されています。

最後に、このCMで使っている音楽についてですが、

これは「The water is wide」という曲で、

アメリカの伝承曲、つまりフォークソングのひとつです。

ピーター・ポール・アンド・マリーの初期（1960年代前半）のアルバムにも

収められている曲です。

実は、大阪の川で撮影した前作から、この曲を使用しています。

歌詞の大意は・・

私の前にひろがる大海原・・ あの水平線の向こうまで行きたい私だけど・・ 翼のない私には越えていくことができない。 誰か私にボートをください。 私と、私が大切にしてきた愛を届けるためのボートを・・

といった内容で、CMの世界観にはぴったりなのです。