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デジカメの登場は、私自身にちょっとした変化をもたらしました。
フィルムのカメラしかなかった時代には、現像やプリントの手間を考えるとめんどうで、
海外ロケ時にスナップ写真を撮ることはほとんどありませんでした。
私がデジカメを手にしたのは、比較的遅く2001年です。
以来ロケ先での自由な時間にスナップを撮り続け、膨大な量の写真がたまりました。


            


このPhoto Galleryのように転用も容易で、まさにデジカメは私の中での小さな革命です。
一枚一枚の写真には、瞬間瞬間の思い出が見事に凝縮されています。
どんなに心に残る風景、出来事であれ、思い出だけではいつか風化してしまいます。
今となっては、2001年以前が少し残念です。



            


デジカメ以外にもうひとつ、21世紀になって私は海外ロケにおけるある変化を感じています。
それは、海外スタッフとの心の交流です。
私が初めて海外ロケを体験した1980年代、日本人スタッフと海外(現地)スタッフとの間には、
何か隔たりがあったように思います。
撮影という作業を協力して遂行する・・ということ以上の関係にいたることはあまりありませんでした。



             


この関係に変化の兆しが見えたのは90年代の後半ごろからです。
撮影という行為を通じて、スタッフ同志の国という概念を超えた心の交流を感じるようになりました。
お互いに心を開くようになったというか、お互いを理解しようという努力を始めたように私は感じます。
世紀を超えるというエポックのなせる業なのか・・その理由は定かではありませんが、
異人種間の心の交流に変化が生じてきたことは確かです。


             


いったん心を開けば、人と人の関係は一挙に距離を縮めます。
長くてわずか10日ほどの現地スタッフとの協力関係ですが、
時には10年来の友人以上の親密感を意識することさえあります。
すべてが終了した瞬間には、抱き合って感涙することもあります。
撮影という極々小さな環境での出来事ですが、世界は確実に小さくなっていることを感じます。



            


2008年北京オリンピックのスローガンはOne World, One Dreamです。
私たちの、撮影時の思いもまったく同じです。