勤め先の客に告白された。 断ったけど、諦めてくれない。 と、きのこが愚痴った。 ぽえは無反応を装いつつ、脳みそをフル回転させる。 今、きのこは誰とも付き合う気がない。 しかし、長期間の攻勢で 後々の状況がどうなるかは予想がつかない。 その前に諦めさせる必要がある。 次の日、きのこと例の客は公園にいた。 ここに、この時間に相手を呼び出せば、 その悩みは解消するとぽえに言われたのだ。 しばらくすると、きのこの背後から声が聞こえた。 「君? きのこに言い寄っているというのは」 薄茶色の上着に緑色のズボン。 黄色がかった緑色の髪と瞳。 全体的に植物色の青年が、そこにいた。 彼はきのこの横に立ち、 彼女の肩を抱いて自分の方に抱き寄せた。 「ま、こういう訳なんで、 僕の彼女に手を出さないでくれるかな?」 公園からの帰り道、きのこは青年にお礼を言った。 「ぽえに頼まれたんですよね。 ありがとうございました」 そして、ある感想も述べた。 「それにしても、あなたぽえに似てますね」 「そう…ですか?」 「うん、とっても。あ、でも、やっぱり違うかな。 あなたがぽえだったら 一緒に暮らしたりはできそうにないもん」 「…そうですか」 こうして、青年はライバルを1人退けた。 しかし、 自分に関する秘密を明かす機会もしばらく失われた。 |