旬の話題

思い出になるもの…
 思い出として残るものは、感動を伴ったものではないでしょうか。
「主体的に生きる」とはよく言われることですが,我々大人たちも主体的に生活しているときと,流れに身を任しているときがありますよね。担任をしていて,子どもたちに自分たちのこととして学級目標を考えましょうといっています。では,担任にとって学級目標は何でしょう。学級経営目標の子ども版ですか? 
 担任の中にチャイムが気になって仕方ない人がいます。「さっき鳴らなかった」と,必ず言いに来るのです。休日明けにチャイムのスイッチが入っていないときがあるのですが,この人の中ではチャイムは生活の進行係としてなくてはならないものなのでしょう。しかし,実生活の中でチャイムはほとんどないと言っていいでしょう。時計を見て生活している。チャイムが鳴るべくして鳴らないのはよくないことですが,鳴らなくても時計を見て生活できる子に育てていきたいものです。低学年ならむずかしくても,高学年ならチャイムはかえってない方が気持ちよく生活できるかもしれません。
 さて,思い出となってその人の中にずっと生き続けるものとは…体験を通して,実感を伴うものではないでしょうか。
 些細なことなのだけど,自分がしたことに対して友だちが感謝の言葉をかけてくれたこと,先生にほめられたこと,家族に認められたこと…些細なことでも,自分なりに考えて,行動に移したことについて,誰かが受け止めてくれたなら,ひょっとして,一生忘れられないこととして自分史に残るのではないでしょうか。
 ちょっとした親切。ちょっとした手伝い。気持ちのこもったあいさつ,など。私たちは,子どもたちのちょっとしたことを受け止めて言葉と表情で返してあげたいです。
 
規範意識を育てる学級づくり(3年生の取り組み)
  元気のよい男の子が多いクラス。授業中の私語もあちらこちらから聞かれる1学期の出来事である。算数の時間,「先生,Aさんが私のノートを見るばかりします。」「見たいのなら,見せてあげればええよ。」応える担任。「先生,Bさんがわたしの消しゴムを返してくれません。」…なかなか授業に集中できないでいる状態が続く4月だった。担任にも,子どもたちをどのように授業に集中させればよいか焦りがあったようである。
  授業中の問題点を整理した。まず,学級生活全般にわたって担任の細かな指示が多い。困るとすぐに担任に言いつけにくる子どもが多く,原因を担任が判断して叱ることが多い。また,新しいクラスになって日が浅く,担任は多忙感を感じていた。
  助言として,まず,子どもと早く親しくなることを心がける。子どもからの相談は時間をとって行い,双方の言い分をよく聞く。休憩時間は子どもたちとできるだけふれあうようにする。子どもの思いを受け止める。教師の指示や叱責を減らす。トラブルは,授業を中断してでも取り上げ,どう解決すればよいか全員で考えるようにする。
  2ヶ月が経過して,学級がまとまってきていることの象徴的な出来事が報告された。算数の時間のこと。先生にノートを見てもらおうと子どもたちが列を作っていた時のことである。2人の子どもたちが押し合いのけんかになった。そのとき,周りにいた数名の子たちが制止に入った。今までになかったことである。その中の一人,Bが「ゴメンとあやまろう。」と一人の子に声をかけた。すると,他の子たちも「そうよ」「そうよ」と声をかける。「どうしてけんかになったの?」と,声をかける担任。「おまえ,きたないんじゃ。と,言われた。」「だって,手につばをつけよんじゃもん。」「しつこく,しつこく言った。」「ほんとじゃもん。押さんでもええじゃろう。」…非難の応酬である。それらを聞いていたCが口を挟んだ。「どっちも悪いよ。」「そう」「そう」と複数の声。今までになかった光景だった。
  経過を聞いて考察した。子どもたちがトラブルの仲裁に入れるようになったのは,判断の基準がはっきりとしてきたこと。それは,担任との信頼関係に裏打ちされていることが実感できていること。それぞれの立場を全員で考える習慣が身についてきたこと,などが考えられる。トラブルが起こっても,安心できる教室になりつつある証拠となるできごとだった。その後も,授業中など,友達の発言にみんなで耳を傾ける姿がいつも見られるようになった。
授業をみんなで楽しむ学級づくり(2年生の取り組み)
  担任が所用で不在だった6月のある日,朝から子どもたちの動きは普段と違って少し締まりがなかった。 
  1時間目から下校までの予定は,教室を中心とした自習が多かったからである。低学年の子どもたちでなくとも,単調なドリル学習は退屈しがちである。漢字の練習や計算プリントが一通りすんだ2時間目の終わり頃,一人の子どもが「先生,3時間目は体育でドッジボールをやろうよ。」と提案した。予定外のことである。
  全員が賛成し,教師の判断を待つばかりというときに一人の子が言った。「体育になったら,ぼくとAさんが体育係だから,準備体操をして用意もします。見学のBさんも何かできる?」「審判かなぁ。」と誰かが付け加える。「やろう,やろう。」「先生,させてよぉ−。」大合唱が起きた。
  教師が運動場に出たときに驚いたのは,整列している子どもたちの姿だった。「体操のできる間隔に開け。」「いち,にぃ,さん」全員の声が響く。大急ぎで運動場にドッジボールのコートを書くと,子ども たちが集まって2チームに分かれる。水痘が治ったばかりのBさんは,にこにこしながら笛を吹いた。
  翌日,担任に報告すると,半信半疑でうれしそうに笑った。リーダーとなった子は普段は授業で活躍する方ではないという。国語などの時間にはふざけて担任から注意を受けることもあるという。
  担任不在にもかかわらず,授業が成立した理由を考察した。まず,教科ごとに学習係がおり,係がする仕事が決まっていた。また,他の子どもたちの行動パターンも確立していた。そして,みんなで楽しむという,めあてが明確だった。
新学年,さわやかスタート研修会を終えて
  学級担任にとって学級開きは,その1年を決めるとも言われるほど重要なイベントです。3月は,新しく担当する学年や学級のスタートをどう演出し新生活をどのように子どもたちと展開していくか考える大切な時期でもあります。そこで、その一助になることを願って「新年度さわやかスタート研修会」を計画し、岡山市内の全小学校に案内して実施しました。また,行事が多数計画されている2学期を充実したものにするために「行事いっぱい,笑顔いっぱい,2学期さわやかスタート研修会」を8月に実施する予定です。
  3月26日の「新学年,さわやかスタート研修会」には市内各校よりそれぞれ60数名の先生方が参加して,低・中・高学年ごとの具体的な実践発表を聞きました。発表者は,石井小学校下村先生(低学年),平福小学校今中先生と旭操小学校長尾先生(中学年),古都小学校杉原先生(高学年)でした。
  どの先生も,子どもたちとの新しい出会いを印象深く,そして,これからの生活を意欲のわくものにしようと工夫を凝らされていました。
学級開きから,学級の組織づくりへ
  先日開催された岡山市特別活動部会総会では,20年度の研究テーマの説明に引き続いて,3月に告示された新学習指導要領についても説明がされました。
 各活動・学校行事に目標が加わったことや学級活動の内容が2学年ごとに説明されたこと,また,その共通事項として「清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義の理解」などが加わったことについて報告されました。
 一通り説明が済んだ後の質問タイムでは,場内の若手の先生より「なぜ,今回,清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義の理解が加わったのか」という質問がありました。
 この質問を聞いて,私たち特別活動部員は大変うれしく思いました。
 教科の授業が教材の吟味分析だけで成立しないのと同様に,私たち教師の教育や子どもたちへの熱い思いだけでは,子どもたちの成長に大きく寄与する学級はできません。その仕組み作りに関心が向けることは大切です。しかも,「組織あって,活動なし」とならないような仕組みが必要です。
 今年のHPでは,そんな実践例を載せていきたいと思います。
新年度,4月,さわやかスタート研修会のおしらせ
いつ:3月26日水曜日 午後2時より
場所:岡山市立富山小学校 図書館
内容:「学級開き わたしはどうするか」
   実践発表方式で行います。
発表予定者
   低学年2名 中学年1名 高学年1名 いずれも岡山市内小学校教諭
卒業式に思うこと
 息子の卒業ということがあって,高校の卒業式に参列した。大勢の生徒たち,今時の高校生も緊張することがあるのかと思うほど厳粛な中で式は進行した。人生の中で,節目となる日はそうそうあるものではないが,卒業式は数少ないその中の一日だろう。小学校のように,一人ずつ証書を手渡されるわけではないが,卒業するのだという気持ちが伝わってきた。小一時間ほどの式はつつがなく修了したのだが,最後に校歌を歌うところがあった。恥ずかしながら,私は子どもの学校の校歌を知らなかった。もし,我が子が私の母校を卒業するのであれば…などとも考えたのだが。
 ちょっと驚いたことに,カラオケだけが体育館に響いたのである。先生方も歌わない。子どもたちも歌わない。せめて,録音された歌声だけでも響いてほしかった。甲子園のように。これは新鮮な驚きだったのだが,後から子どもに聞くところによると,日常の学校生活の中で校歌を歌うときもないし,聞く機会もほとんどなかったという。それって,どうなんだろう。愛校心は,校歌を歌わなくてももっているとは思うのだが,ここ一番の盛り上がりの時に,みんなで歌うのではないか。そういえば,私が大学の時に校歌はあったと思うが,学生手帳には,学生歌が載っており,コレをみんなで歌うのだとおしえてもらった記憶がある。学園祭やらで歌った記憶もある。校歌でないことが寂しい気もしたが,学生歌をみんなで肩を組んで歌ったとき,一つになれたよなぁ…。ところで,高校生。今時の高校生が,どこの高校でもそうであるならば,自分たちが一つと感じるときは,どんなときなのだろう。そして,愛校心の象徴的モノはナニなのだろうか。また,来賓に外国人の姿も多々あったのだが,彼らはどう感じたのだろうか。
3学期にクラスの子どもたちと考えたいこと
 早いもので,修了式まで30日少々となりました。カレンダーをまじまじと見つめていると,一年の締めくくりをどのように過ごさせようか考えを巡らすこととなります。クラスや学年によっては,年度初めに全員にどの学期に実行委員をしたいか,あらかじめ決めているところがあります。
 つまり,一人一役です。様々な行事や子どもたちが考えたイベントの実行委員を決めておくのです。3学期は,六年生を送る会の実行委員が大忙しです。児童会で話し合われた学年の出し物やプレゼントをクラスの友だちに下ろして,具体的にどう取り組んでいくか連絡と調整を進めていきます。うちの学年の場合出し物なので,何をどのように見せてどんなメッセージを贈るか,各クラスの実行委員さんが集まって相談します。だれもが知っていて,できそうなもので,楽しいもの…条件は子どもたちと先生で考えます。
 その他にも,学年お別れ球技大会やお別れパーティが計画されそうです。「言語力」が注目されている今,担任としては一年をふり返って,学級・学年・学校生活の意義や思い出を大いに語らせ,文字として残させたいと考えているわけです。
中日が日本一
 「非情の交代でオレ竜が頂点に立った。中日が日本ハムに1−0で勝って4連勝を飾り、53年ぶり2度目の日本一に輝いた。1−0で迎えた9回、8回までパーフェクト投球の先発山井大介投手(31)から守護神岩瀬仁紀投手(32)にスイッチし、完全リレーで逃げ切った。04、06年と2度日本シリーズに敗れた落合博満監督(53)は、記録よりも勝利に徹する采配で悲願を達成した。最優秀選手(MVP)には中村紀洋内野手(34)が選ばれた。…究極のオレ流采配だ。9回、落合監督がベンチを出た。8回まで完全ペースの先発山井を交代させ、守護神岩瀬をマウンドに送った。まさかの交代劇にスタンドはざわめいた。「山井は完ぺきでした。まさかあそこまで投げてくれるとは…。幸か不幸か(山井が)『もういっぱいだ』と言うので代える分には抵抗はありませんでした」。キッパリとリレーを決断した。[nikkan sports.comより]
 ネットから抜粋した記事です。優勝が決まった翌日は,この話題でもちきりでした。賛否両論でした。事情を知らない人たちは,こんな非情なこと,できないと言っていました。クラス対抗戦だったらどうだったかな…。勝つことが教育では一番ではないので単純には比べられませんが,やはり完全試合で勝たせてあげたかったと自分は思いました。ショウとしてみればその方がドラマチックだし…。
 しかし,事情を知れば,教育関係者でなくとも交代が正解だったのでは…と思いました。まず,全員野球。最後は岩瀬で今までやってきたから,岩瀬で負けてもみんな納得だったと監督は話していました。全員でここまでやってきたということ。うーん,学級づくりに通じる。1点差。一発が出れば,勝利の行方は分からなくなる。慎重に越したことはない。まして,53年ぶりの優勝がかかっていた。この点は,勝ってなんぼのプロの世界です。よくよく話を聞いたら山井選手,あのとき指のまめがつぶれていたそうです。自分から申し出たというのも分かります。しかし,監督は豆がつぶれていなくてもそうしただろうとインタビューに答えていました。「みんなでやってきたもんな」…学級づくりと同じでした。非情でも何でもなかった。ショーとしてどうかは別問題です。
 
全校朝会
 岡山では9月の第三日曜日に運動会を実施する学校が多いです。今年は暑さが厳しかったので,児童席,そして,入場門付近にテントを設置した学校が多かったのではないでしょうか。水分補給に気をつけていても救急車を呼んだ中学校のニュースなど,多く聞いたものでした。
 いつからか岡山では開会式前に入場行進をしなくなった学校が増えたように思います。その前に,全校朝会の回数が少なくなったようにも思います。分類からすると儀式的行事にはいるようですが,校長先生の授業ですよね。
 校長先生の中には,お話好きな方と「いいよ」と話をされたがらない方がいらっしゃるようです。子どもたちは,なぜか校長先生が大好きですよね。いつもニコニコされているからでしょうか。子どもたちに話されているようで,我々職員のために話されている気がするときもある気がするのは私だけでしょうか。
 朝会の一番のよいところは,普段あまりふれあうことがない校長先生を始め,全校のみんなが一堂に会することではないでしょうか。隔月といわないで,ぜひ,毎月一度は形を変えるにせよ実施したいものです。そして,教室に入るときに行進練習をする…。
 行進って,みんなで合わせてするものでしょ?やっている自分たちには全体像がよく見えないけど,気持ちが一つになったときは,見ていてきれいですよね。すがすがしいものを筆者は感じます。できるなら,運動会などで観覧席のみなさんにも見て頂きたい。そして,子どもたち自身にも見てもらいたい。合わせる気持ちよさ,そろう気持ちよさは合唱や合奏に負けてないと思うのですが,いかがでしょう。
学級開き
 新学年を迎えて,子どもたちとの出会いを迎える。「今年の先生はどんな先生かな」「楽しいクラスかな」と,子どもたちは胸をふくらませて始業式を迎えるのです。その,始業式の日から一週間で一年が占えると言っても過言ではない一大イベントが学級開きなのです。入念に準備しておきたいものがいろいろあるのですが,まず,自己紹介の進め方。そして,担任の自己紹介。明るく楽しい雰囲気で進めたいものです。また,ゲームや小道具を使って紹介しあうのもよいでしょう。
 また,大いに今年一年について夢を語り合いましょう。「ぼくは,○○ができるようになりたい。」「○○がいっぱいあるようなクラスにしたいです。」そんなとき,わたしは「先生だけの力じゃあできないんだよー。みんなと力を合わせて実現しようね。」と,全員が一つになってその夢に向かってすすんでいくことを確認します。「夢」=「目標」ですね。わたしはいつも子どもたちに「めあてがあるからがんばれるんだよね」と言っています。自己紹介の後,欠かせないのがこのめあてづくりの活動です。
 個人のめあてや学級のめあてが決まったら,実現に向けての方策について語り合いましょう。「どうやってめあてに向かって進んでいこうか」…「係を作ろうよ」「小さい目標を立ててみんなでがんばっていくことにしようよ」などと,子どもたちから意見が出されることでしょう。
 子どもたちと一緒に目標となることを見つけて,その実現に向けて見通しをみんなでもつ活動の始まりが「学級開き」なのです。そのためにも,「このクラスなら,がんばれそうだな」と思えるような演出をしっかりと考えておきたいものですね。
 


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