九龍3分クッキング 地獄編

 

「こんにちは〜。マミーズの新人ウェイトレス舞草奈々子で〜す」

「どうも、葉佩九龍です」

今日は生徒会主催の天香学園料理コンテストが開催した。解説はマミーズ天香学園店ウェイトレス舞草奈々子。審査員兼試食は転校生、葉佩九龍である。

「まずは一番手、皆守甲太郎くんです。どうぞ〜」

皆守が用意した食材。

穀物。ミネラル水。カップ麺。レトルトカレー2つ。

「まずは白米を炊き、レトルトカレーを二つ一緒に温めています。そして、それを白飯にかけ、もうひとつはカップ麺に注いだようですね〜」

カレーライスとカレーラーメンが完成、それを二つ合わせるとカレー定食が完成した。

「・・・どうぞ。俺の渾身の一品だ」

「うーん、これはただのレトルトカレーを使っただけだと思いますが、葉佩くんはどう思いますか?」

「カレーライスとカップ麺だけなら手抜きですが、カレー定食なのでまだ許せますね」

「そうですか。では、試食していただきましょう。では皆守さん、葉佩くんに蹴りを入れてください」

「ああ、少し痛いが我慢しろよ」

どがぁ!!

皆守の蹴りが九龍の顔面にヒットした。鼻が潰れたのか、だらだらと鼻血がたれる。そして、九龍はカレー定食を平らげると、鼻血は止まった。鼻も元に戻っている。

「すばらしい回復量です。カレーライスだけならここまで回復しません」

九龍は8点と書かれたプレートを上げる。

「別に嬉しくもなんともないな」

 

「次は双樹咲恵さんです。双樹さんの料理は酢だこです」

材料は軟体動物の触手に酢。ゆでて、酢に浸して完成。

「では、試食していただきましょう。双樹さん、よろしくお願いしま〜す!!」

「うふふ、ワタシが可愛がってあげる」

双樹が攻撃した。九龍は麻痺してしまった。身体がまったく動かない。

「はい。あ〜んしてね」

双樹は酢だこを九龍に食べさせた。手が動くようになった。

「お見事!見事麻痺が治りました!!」

7点。皆守のカレー定食に比べると、少し手抜きだからだ。

「残念。天照から手に入れた自信作だったのに」

双樹は残念そうであった。

 

「では次に神鳳さんです。神鳳の料理はなんでしょうか?」

「はい。塩焼きとキノコスープです」

材料は天照の魚肉に食塩。霊嗣のマッシュルームに死の大腿骨でだしをとったスープ。

「あれ?この料理はセットにはなりませんよ」

「ふふふ。その答えはこれですよ」

神鳳は矢を構えると、九龍に向けて射抜いた。九龍は呪い状態になった。

「まずはキノコスープを飲んでください。これで呪いは治ります。そのあとに塩焼きを食べてください。減った体力はこれで回復しますよ」

スープ関係はAPを回復するものが多いので、ダメージは回復しないのだ。

九龍が出した点数は6点だった。発想はいいが塩焼きとキノコスープは少し合わない気がするのだ。神鳳はやれやれと残念そうであった。

 

「さて次は夷澤凍也くんです」

「俺の料理はカニすきっすよ」

宇萬良の甲羅に、キノコスープに使ったスープを合わせたものであった。

「うう、奈々子はカニすき大好きなんですよ〜。うらやましいです〜」

「あんまし、うらやましくはないっすよ。それ凍っちまいな!!」

夷澤は九龍を殴った。彼の力は相手を凍らせる力があるのだ。顔面は凍傷を起こしている。

「ささ、食ってくださいよ」

夷澤は九龍にカニすきを食わせた。見る見るうちに九龍の凍傷が治る。

「スープで作る奴は大抵はAP回復がほとんどですが、カニすきだけはHPを回復するんすよ」

「でも殴られないと食べられないのは嫌ですね〜」

九龍は9点のプレートを上げた。

夷澤の能力にふさわしい料理だからだ。

「そいつはどうも」

 

「さて、真打登場です。八千穂明日香さんに劉瑞麗さんです。どうぞ〜」

「えへへ〜。ルイ先生がんばろうよ!!」

「私は料理は苦手なのだが・・・。まあ、何事も経験だな」

作る料理はカレーライスに坦々麺であった。カレーライスは皆守と同じ、レトルトカレーをかけたもので、坦々麺はカップ麺に唐辛子を入れただけであった。

「これを料理と呼んでいいものかは別として、試食をお願いしま〜す」

八千穂のスマッシュと、瑞麗の螺旋掌がヒットした。ぼろぼろになった九龍は淡々麺を食べた。

ぱくり。
「ひぃ、ひでぶっ!!」

ぼぉん!!

「ひゃあ!!葉佩くんが火傷しちゃいましたぁ!!」

ただのカップ麺に唐辛子を入れただけの坦々麺でダメージを受けるとは。ラーメン爆弾並みの威力である。

九龍は苦しそうにカレーライスを食べた。ただのレトルトカレーなのだ。大丈夫に決まっている。

ぱくり。
「あ、あぁ、あべしっ!!」

ばぼぉん!!

「こ、今度は麻痺しちゃいました!!どうなっているんですか!!」

ただのレトルトカレーがカレー爆弾並みの威力を誇るとは・・・。

実は八千穂と瑞麗は生活スキルが合わせてマイナス15なのだ。ただの坦々麺とカレーライスが爆弾と同様の威力を発揮してもおかしくはないだろう。

「うーん、デザートにプリンがあったんだけどな〜」

「私たちが作るとプリン爆弾になってしまいそうだな」

八千穂と瑞麗はのんきそうに会話していた。だが九龍の顔色はどんどん青くなっていった。

『ハンターの死亡を確認しました』

HANTは無情にもハンターの死を告げる。そう、実際は料理コンテストとは名ばかりで、生徒会による転校生抹殺計画だったのである。皆守と八千穂を参加させたのは、転校生に警戒されないためであった。恐るべし、悪魔的頭脳を持つ生徒会長、阿門帝等。

「・・・冗談のつもりで開催したコンテストがこんな結末になるとは・・・」

「夷澤の提案したくだらない企画だと思ってましたが、こうもうまくいくとは・・・」

「夷澤もたまには役に立つじゃない」

一番、作戦が成功して驚いているのは、実は生徒会役員たちであった。しかも夷澤の提案だったとは。あまりに間抜けな、転校生の最後であった。

「そうはさせないよ」

なんと九龍が生き返った!!実は九龍はこんなことがあろうかとアンクの護符を装備していたのである。瀕死時に自動回復したのだ。

「よくも、僕を実験体にしてくれたね・・・。今度は僕の恨みを思い知れ!!」

 

この日、マシンガンを乱射し、荒魂剣を振るう転校生の手により、料理コンテストは地獄と化した。不思議に死者は出なかったが、全員、保健室へ送られた。

双樹は胸を搾乳するが如くもまれ、八千穂はお団子をくにくにともまれた。瑞麗はセクハラしようとしたが、手の平をキセルで貫かれ、諦めてしまった。

以来、天香学園において、料理コンテストが開催されることはなかった・・・。

 

終わり

 
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あとがき。

九龍3分クッキングの続編みたいなものですね。大体2時間くらいで書きました。

うちの九龍は料理が得意です。でも原作に忠実なだけなんですよね。生活スキルが低いから寿司とか神仙食は作れません。奈々子とタイゾーちゃんが一緒で、百科事典を装備すれば大丈夫ですけどね。

実際紹介した料理はその通りの効果を発揮しますから。

でも私のギャグはちょっとおとなしめなので、物足りないかもしれません。ギャグは一番難しいのですよ。

今年の魔人忍法帖は九龍関係を中心に執筆してます。

今年最初に書いたのは九龍のギャグ物ですし、

私としては最長の妄想魔人アニメが終了し、九龍の本編小説、メタニカルアニマルズを連載することになりました。

これからも気が向いたら九龍ギャグを書くかもしれません。私は大変な気分屋なもので。

では。

 

2006年6月9日