九龍3分クッキング:文化祭編

 

注意:この小説はドラマCDを聴くとさらに面白くなります。

 

10月下旬、今日は楽しい文化祭。

3−Cでは探偵喫茶なるものを催していた。生徒たちはシャーロック・ホームズなど、有名な探偵に扮装して接客していた。

我らの転校生、葉佩九龍は仕入れ係として活躍していた。

 

メニュー

 

カレーライス。

チーズカレー。

カレーラーメン。

坦々麺。

チーズラーメン。

ビーフラーメン。

カレー定食。

オムレツ。

ホットドッグ。

 

「なんだこれは・・・?」

メニューを見た皆守甲太郎は顔をしかめた。彼はシャーロック・ホームズに扮装していた。右手には虫眼鏡を持っていた。彼は虫眼鏡でメニューを見た。

「なんだこれはって・・・、僕が仕入れた材料で作れるものをまとめたんだけど」

「そういうことはどうでもいい。このカレーライスはなんだ?白米にレトルトカレーをかけただけだろうが!ラーメンもカップ麺に唐辛子やチーズをかやくとして加えてお湯で注いだだけだろうが。どこが料理なんだよ」

「そうだよ!時期的にカップ麺は手に入らないはずなのに!!季節は6話と7話の間なんだよ!!」

八千穂明日香が横槍を入れた。彼女は小林少年に扮装していた。明智小五郎は七瀬月魅だ。

「そんなことで怒ってるんじゃない!!明らかに手抜きばりばりだろうが!!」

「でも、これらの材料は学園内で集めた奴だよ。化人の肉は一切使ってないよ?」

確かにそうである。レトルトカレーは男子寮から、カップ麺は警備員室から手に入れた。オムレツの材料である卵は教員の家から、ホットドッグに使ったコッペパンは3−Aで手に入れ、ソーセージはバーで見つけたのだ。

「というか全部盗品じゃねぇか」

「ばれなきゃ大丈夫だよ。でも・・・」

ぶつくさ言う皆守を無視して、八千穂はふと考え込んだ。

「やっぱりもう少しバリエーションはほしいよね・・・。九龍くん、遺跡で材料を調達してきて」

「はーい」

九龍は防具に天之羽衣を、アクセサリに賢者の壷を、そして武器には食神の魂を装備し、黒塚をバディに加え、遺跡にもぐった。

「八千穂、お前客に化人の肉を食わせるつもりか・・・?」

「大丈夫だって!あたしたちだっていろいろ九龍くんに食べさせてもらってるけど、生きてるじゃない。皆守くんて結構神経質だよね」

「お前に神経のことを言われたくないね」

皆守は冷たかった。もうどうにでもなれだ。

 

追加メニュー。

 

牡丹鍋。

猪やわらか煮。

明太子。

イクラ丼。

カニすき。

馬刺し。

桜鍋。

塩焼き。

刺身。

フライフィッシュ。

寿司。

キノコスープ。

強精スープ。

ヘルシーサラダ。

酢の物。

 

「ごめんね・・・。新しいカレーのメニューが増えなくて」

「いや、気を使わなくていい・・・」

「根菜が手に入れば、海藻サラダとか、天丼、五目ラーメンとかメニューに加えられたんだけど、時期がじきだからね・・・」

「これみんな化人の肉がはいってるんだろうな・・・」

「うん。カワホリから牡丹肉を、ウマラから甲羅を、ササガニから卵のうを・・・」

「詳しく説明しなくていい」

こうしてみるとスープ関係の料理が多い。これから寒くなるので、温かい鍋ものは人気が出そうだ。

「ただ牡丹鍋と、桜鍋の説明なんだが・・・、ネギ・ゴボウ・豆腐などが添えられてると書いてあるぞ。そいつはどこから手に入れたんだ?」

「え?ただスープに牡丹肉や桜肉を入れただけじゃないの?」

「お前が調理したんだろうが!!桜鍋は味噌仕立てと書いてあるが、調味料に味噌なんかあったか?」

「ファンタジーだね・・・」

「ごまかすな」

九龍と皆守をよそに、八千穂は何か考え込んでいる様子であった。

「ちょっと、パンチが足りないかな・・・?」

「パンチだと?これだけメニューが豊富ならそれでいいじゃねぇか」

「なに言ってるの!!せっかくの文化祭なのに、もうちょっと面白いことをしたいじゃない!!」

お祭り気分で、八千穂の頭もお祭り状態になっていた。

「そうだ。マダム・バタフライの交換に使う料理を出そうよ。限定1品で、くじ引きして当てた人に出すとか」

「あはっ、それいいね!よぅし、九龍くん、お願い!!」

そういって九龍は袖をまくった。その手には食神の魂が握られていた。

「化人を倒した包丁で調理する気か!!」

皆守は突っ込みに疲れてしまった。

 

限定1品メニュー。

 

月草カレー。

王様プリン。

角煮ラーメン。

フォアグラソテー。

キャビア巻き。

天香定食。

タンシチュー。

オレンジゼリー。

地上最強オムレツ。

土鍋カレー。

神仙食。

 

「ふぅ。大型化人を倒して手に入れた素材で作っているから、さぞかし味も最高だと思うよ。特に角煮ラーメンと天香定食、土鍋カレーは霜降り肉を手に入れるのに、カミムスビと何度も戦ったからね。月草は遺跡の中の宝箱から調達したから苦労はしなかったけど」

「俺としては最低だと思うがな・・・」

「実はフォアグラソテーのフォアグラは日本国首相からもらったんだ。紅葉鍋がないのはまだ手に入らないから」

「カップ麺が出ている時点で、本編にこだわる必要はないだろうが」

「でも公式ファンブックじゃ、文化祭は10月にやるそうだし・・・。真理谷くんは七瀬さんにめろめろだから、やっぱり時期にはこだわったほうがいいよ」

「そんなこだわりなんざゴミ箱にでも捨てちまえ」

「ゼラチンはクエストの品を横取りしちゃったんだ。でも安心して、信頼度最高になってから横取りしたから」

「なんでゼラチンをほしがるのか理解できないがな」

こうして豊富なメニューを誇る3−Cの探偵喫茶は大好評であった。ただ3−Cを襲う事件が襲うのだが、これは別の話である。

後日、探偵喫茶では食中毒を起こした客が続出したそうだ。

「やっぱりお腹が丈夫な僕らじゃないと、だめみたいだね」

「だったら出すな!!」

あとで九龍たちは生徒会長に叱られました。

 

男子寮。今日は九龍の部屋でカレーパーティを開いていた。文化祭の打ち上げである。机の上には以前皆守からもらったカレー鍋が飾られており、床には七瀬からもらったファラオの胸像。窓にはコスモレンジャーのポスターが貼られており、ベッドの上には椎名リカからもらった遮光製土器のぬいぐるみなどが飾られていた。統一性がなさ過ぎる。

「今日はグリーンカレーだよ〜。タイ料理なんだ。現地では『ゲーン・キョウ・ワーン』と言うんだ。豆ナス、タイナス、赤ピーマンに鶏肉を加え、青唐辛子の辛味とココナッツミルクの甘みが溶け合っているんだ。タイに寄ったときに習ったんだ」

出されたカレーは緑色をしていた。しかし、まずそうな色ではない。

「・・・」

カレーを出された皆守は無口なままだ。

「甲太郎、食べないの?やっぱりレトルトカレーじゃなきゃ嫌なの?」

「・・・お前きちんと料理できたんだな」

皆守がぼそりと言った。それを九龍はえへんと誇らしげに胸を叩いた。

「うん!!グリーンカレー以外にもタイ料理とか作れるよ!」

「だったら最初からそれを出せ!!」

ばこぉ!!

皆守の蹴りが九龍の顔面にヒットして、九龍は窓を突き破り、下へ落ちていった。

皆守ははぁはぁと肩で息をしたあと、グリーンカレーを食べた。そして、たった一言。

「うまい」

 

終わり

 
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あとがき。

だんだんくどくなる九龍3分クッキングですが、九龍の調合ははまるとくせになりますよね?私は新たな食材を見つけると、何かと調合してわくわくしてました。

作中にグリーンカレーが出てきますが、実は私は食べたことがありません。クッキングパパとかに出てましたが、なんかおいしそうでした。ゲェーン・キョワーン・クン・ガイとも呼ぶらしいですね。

リアルバウトハイスクールでもタイ料理のスープ、トムヤムクンが出ていました。

九龍は設定ではあるトレジャーハンターと一緒に世界を一年ほど旅しているんです。

今回はちょいと地獄編にくらべるとおとなしいと思います。

では。

 

2006年7月20日