九龍武装学園紀第三話

 

はぁ。津村斗貴子は夜空を見上げため息をついた。ここは銀成高校の寄宿舎である。彼女はここに住んでいた。

「カズキ・・・」

斗貴子は思い人の名を口にした。

「と〜き〜こ〜さ〜〜ん!!」

後ろから誰かが抱き着いてきた。正体はわかる。

「まひろちゃんか」

武藤カズキの妹、武藤まひろである。彼女は美少女だが、性格は兄と同じである。

「う〜ん、お肌すべすべ〜♪大好きな人と離れ離れになる哀愁溢れる斗貴子さんもかわい〜」

まひろはべたべた斗貴子の顔や体をさわりまくる。彼女に悪意はない。悪意がない分やめろと突き放すわけにはいかない。斗貴子はため息をつくしかないのだ。

「でもおにいちゃんはひどいよ。大切な斗貴子さんを置いてどっかにいっちゃうんだから」

まひろはぷんぷん怒っている。恋人の斗貴子を置いていくだけでなく、自分ともしばらく離れ離れになったのだから。

「仕方ない。カズキには大切な任務がある。いざとなれば私も手伝いに行くさ」

「きゃー!愛する二人はいつも一緒!!体は離れていても心はいつも繋がっているんだね!!」

斗貴子は頭が痛くなってきた。彼女はさっきから自分とカズキがラブラブだと決め付けている。実際そうだが、なんかこそばゆい。

今の自分は幸せだと思う。大切な人がいて、自分を想う友達や後輩達がいる。過去に自分の未来はすべてホムンクルスに喰われた。彼女は錬金戦団の戦士として戦うのは自分のような人間を出さないためだ。現在、地球上の主だったホムンクルスは退治された。残りは月にいて戦団のホムンクルスから人間に戻す研究を待ち望んでいる。

だが自分に幸せになる権利があるのだろうか?

家族達はホムンクルスに無残に食われた。文字通り未来を喰われたのだ。自分も過去を捨て、すべてのホムンクルスを殺すことに己の人生を賭けた。

ところが運命とはわからないもので、成り行きで出会ったカズキとずるずる付き合うことになった。そして戦士としてともに戦い、そして今に至る。

ホムンクルスの信奉者を殺したこともあった。自分はあまりに戦場に身をおきすぎている。自分が幸福になるなど許されるべきではない。

「あ〜ん♪斗貴子さんの体って引き締まって素敵〜♪」

「君はいつまで私の体を弄っているんだ!!」

斗貴子が怒鳴る。

「あいかわらずキレやすい女だな」

外から声がした。ここは二階だ。誰の声だろうか?

「あっ、パピヨンだ♪」

まひろが珍しいものを見るように指を差した。外には蝶々のマスクをつけており、人前で歩くには躊躇しそうな服装であった。そいつは空を飛んでいた。背中には黒い蝶々の羽のようなものが見えた。それは黒色火薬でできた羽である。

男の名前は蝶野攻爵。今は蝶人パピヨンである。

「正確には、蝶!人!パピ!ヨン!!と呼んでもらいたいな」

「うん!!パピヨンは何しに来たの?」

まひろが屈託のない笑顔で訊いた。さっそく蝶人の部分が抜けているが、パピヨンは気にしない。

「武藤カズキはどこだ?今この寄宿舎にもいないのだろう?」

「うん、いないよ。お兄ちゃんたら東京の全寮制の学校に・・・」

まひろがべらべらしゃべろうとしたので、斗貴子は慌ててまひろの口を手で塞いだ。あむあむと斗貴子の指を噛んでまひろは楽しそうだった。

「カズキは極秘任務についている!!お前みたいな変態に教える義理はない!!帰れ!!」

斗貴子が怒鳴った。パピヨンは諦めて帰っていった。まひろはまだ斗貴子の指を噛んでいた。

「う〜ん、斗貴子さんの指っておいし〜」

「いつまで噛んでいるんだ君は!!」

寄宿舎の夜はいつものように騒がしくすぎていったのであった。

 

 

「学園の敷地内にマミーズがあるなんて驚いたよ!!」

「そうだろう?ここでカレーを食べていると、この学園が監獄だってことを忘れさせてくれるぜ」

カズキと皆守は学園内の敷地内にあるファミリーレストランマミーズに来ていた。ちなみに授業はサボリである。

「いらっしゃいませ〜、マミーズへようこそ〜。何名ですか?」

マミーズの名物ウェイトレス、舞草奈々子が元気よく答えた。

「3名だ」

後ろから声がした。声の主はパピヨンであった。

「あっ、蝶野」

カズキは親しそうに答えた。

「武藤・・・。お前この変態と知り合いなのか?」

皆守はパピヨンを見ながら呆れ顔に言った。それを見た奈々子は目を輝かせていた。

「きゃ〜〜〜!!あの噂のパピヨンがマミーズに来てくれるなんてラッキー!!さっ、サインください!!」

奈々子はトレイを差し出すと、パピヨンは股間の中からマジックインキを取り出し、サインを書いた。

「蝶!プレミア物だ。家宝にするがよい!!」

「ははぁ〜〜〜。ありがたき幸せ!!」

奈々子は膝を折り、恭しく頭を下げた。

「どうでもいいけど、注文していいか?俺は腹が減ってるんだ」

 

 

「それにしてもよく俺がこの学園にいることがわかったな?」

結局カズキと皆守は同じテーブルでパピヨンと食事を取っていた。ちなみにカズキと皆守はカレーライスで、パピヨンは天香定食とスタミナ定食、カレー定食を注文していた。彼はホムンクルスだが食人衝動をまったく起きないのである。それゆえに普段の食事は人一倍食べる必要があるのだ。

「お前の妹が教えてくれた。東京の全寮制のある学校。それだけで俺様はこの学園をかぎつけることができた」

「へぇ〜そうなのか。すごいな」

カズキは感心しているが、皆守は納得できない。そもそも東京は広い。全寮制の学校などいくらでもあるはずだ。パピヨンがなぜ天香学園に限定したのか理由がわからない。

「錬金戦団がお前をよこすとしたらここ以外にありえない。なぜなら俺も過去に一度ここに調査しようとしたからな」

「調査?」

「覚えているだろう武藤カズキ。俺がホムンクルスを作ったことを」

パピヨンは、元は人間だった。病気の体を克服したくて曾祖父の残したホムンクルスの研究を独学で学んだ。そして、動物型、植物型のホムンクルスで実験し、自身は人間型ホムンクルスへ変態したのである。もっとも不完全な生体を使ったせいで病原体も不老不死になってしまい、半永久に病気に苦しむ羽目になった。もっとも今はそれらを受け入れ人生を楽しんでいる。

「鷲尾に一度この学園を調査させていた。ところが奴は怖くなって途中で逃げ帰ったというのだ」

鷲尾とはオオワシのホムンクルスだ。忠誠心と戦闘力が高い、蝶野製最強のホムンクルス。あの鷲尾が怖くなって逃げた?かつて鷲尾と戦ったことのあるカズキには信じられなかった。

「最初は臆病者と罵ったが、実際この学園に来てみると鷲尾の気持ちがよくわかるな。尋常じゃない殺気、怨念の疼くまう場所だ。動物型の本能が危険信号を察したのだろうな」

パピヨンはあっという間に定食を2つも平らげながらしゃべった。皆守もふたりの会話についていけず、カレーライスを食べるしかなかった。

「そういえばお前にはまだ話してなかったが、この学園では生徒会執行委員というのがいるんだ。そいつらは一般生徒の中に紛れ込み、校則違反者を罰するために存在しているのさ。俺が生徒会に関わるなといった意味がわかるだろ?」

「生徒会が?へぇ〜、生徒の自主性を重んじているんだな」

カズキはいいほうへ解釈している。

「うふふ」

パピヨンはふと店内に不思議な少女がいることに気付いた。ゴスロリというのか、改造した女子生徒の制服を着ている。顔は白粉を塗り、人形のようだ。

「あれ、奈々子ちゃーん。これなーに?」

店内にはカズキたちと同じく自習と称したサボリの生徒たちがいた。その生徒たちのテーブルに白い真っ赤なリボンで包まれた箱が置いてあった。そいつからはしゅーしゅーと嫌な音を立てているのがわかった。

「これって爆弾!!」

奈々子は一瞬で硬直した。カズキは危ないと、奈々子を庇う。パピヨンは慌てもせず、その箱を外へ放り投げた。

ぼぉん!!

爆発音が響き渡った。

「やれやれ、出番を取られましたな」

パピヨンの背後には見知らぬ老人が立っていた。頭のものはすべて真っ白だが、背筋はきちんとしているし、目つきもするどい。何よりパピヨンに気配すら感じさせなかったのだから。パピヨンはこの男を警戒していた。

「初めまして。わたくしは学園の敷地内にあるバーカオルーンのマスター、千貫厳十郎と申します。昼間、店は開いてないのでマミーズでバイトをしております」

「千貫?まさか、斗貴子さんがいっていた・・・」

カズキは思い出すようにつぶやいた。

「それより先ほどの爆弾ですが、あれは蒸気を利用したものですね。殺傷力は低いですが、当たれば痛いと思います」

「もっともすべてを吹き飛ばすには火力は低すぎるがな」

千貫の言葉にパピヨンが横槍を入れる。

「ところであなたは部外者のようですね。部外者がマミーズで何をしているのですか?」

「俺は客だ。金を払って食事をしている一般客だ。もっとも食事は終わったので帰るとする。デュワ!!」

そういってパピヨンは飛んで去った。千貫は始終笑顔でいたが。手元にはアイスピックを隠し持っていたのを知っている。空から眺めていると用務員らしい老人が怒鳴り散らし、カズキは掃除を手伝わされていた。

 

 

パピヨンはしばらく天香学園の周りを漂っていた。観察してみるとなかなか面白い人材が揃っている。校庭では頭の大きいオカマが他の誰よりも早く走っている。廃屋街ではガスマスクをつけた生徒がサバイバルゲームに興じている。

岩のような肥満体がパソコンを巧みに操り、巨乳の女子生徒が派手な水着を着て温水プールで泳いでいる。

銀成高校にはいなかった人材だ。彼らにロッテリやの変人達を見せてやりたいな。パピヨンはそう思った。

ぼぉん!!何か爆発音がした。校舎の中からだ。面白そうなので覗いてみよう。

カズキとダブルシニヨンヘアの女が、人形のような女に詰問していた。さっきの爆発音は彼女の仕業のようだ。彼女は物を爆弾に変える力があるらしい。

彼女の名前は椎名リカ。彼女は死を理解していなかった。

殺した飼い犬も、母親も父親がすべて用意してくれる。そう信じていた。

馬鹿だ。この女は馬鹿だ。犬は死んだ犬と似たものを用意したのだろう。父親は娘に死を理解させず、いびつなまま時を過ごした。

カズキはリカの言葉を聞いて悲しそうな表情になった。偽善者のカズキは命がどれだけ重いものかを主張しているだろう。そしてマミーズで一緒にいた皆守という男も、人は生き返らない、誰も死んだものの代わりになるものはいないと正論を吐いた。

しかし、リカの耳には届かない。イザナギが死んだ妻を黄泉の国から連れ戻したとわけのわからないことを言っている。そして怒った彼女はその場を立ち去った。

「よぉ、武藤カズキ」

「あっ蝶野。まだいたのか?」

「俺の勝手だ。それより今夜面白そうなことがあるな。俺様も参加するぞ」

カズキには断る理由がない。むしろパピヨンが協力してくれて助かる。カズキの横にいる女子生徒、八千穂明日香はパピヨンを見て、目を輝かせていた。

「きゃ〜〜〜!!あの噂のパピヨンが天香学園に来てくれるなんてラッキー!!さっ、サインください!!」

八千穂は生徒手帳を差し出した。パピヨンは股間からサインペンを取り出すとサインを書いた。

「蝶!プレミア物だ。家宝にするがよい!!」

「ははぁ〜〜〜。ありがたき幸せ!!」

八千穂は膝を折り、恭しく頭を下げた。

「というかあの変態はそんなに人気者なのか?」

皆守には理解できない世界であった。

 

 

遺跡の中。カズキと皆守、パピヨンの3人で探索することとなった。

途中、マダム・バタフライという不思議な女性に出会ったが、パピヨンとは初対面だという。もっともパピヨンの彼女に対する感想は蝶センスの良い婦人である。

カズキは無数の化人たちに対し、武装錬金で一蹴した。仕掛けなどを解除し、カズキたちはリカの待つ部屋へとやってきた。

「こんばんは〜。ここにきたということは、武藤君は死を恐れていないということですよね〜」

リカは間延びした声で、カズキに質問した。するとカズキの表情は曇った。

「死は、怖いよ。俺は一度死んだことがあるんだ」

皆守は目を見張った。リカもきょとんとしている。

「でも俺は運よく生き返ることができた。だからわかる。死ぬ事はとても痛い、苦しいんだ。君は死を恐れていないじゃない。死を理解していないんだ」

「でも武藤くんは生き返ったんですよね〜。じゃあ、死は全然怖くないってことですよね〜」

リカはまるで小学生みたいな思考回路だ。リカはもうカズキとしゃべるのに飽きたのか、プレゼントの箱を投げてきた。

それは爆弾であった。蒸気を利用した爆弾だ。

カズキはぽいぽい投げつける爆弾を弾く。弾かれた爆弾はどんどん爆発した。皆守とパピヨンは壁に寄りかかっている。

「なんで・・・」

「?」

「なんで、あいつはあんなに一生懸命なんだ?」

皆守は独り言をつぶやいた。皆守にはカズキの行動原理がわからなかった。今日はじめて会った女のためにどうして危険な爆弾の嵐を潜り抜けられるのか。取手のときもそうだった。何がカズキをあそこまで駆り立てているのだろうか?

パピヨンはそれを聞いてにやりと笑った。

「武藤カズキは偽善者だ。口から出る言葉はすべて綺麗事。そしてそれを実行に移す行動力は本物だ。

今の武藤にはあの女を救うことしか考えていない。打算もない、見返りも求めない。自分しか救う人間がいないのなら、自分がなる。そういう男だ。あの男は」

パピヨンは腕を組みながら、カズキとリカの戦いを見ていた。リカの投げる爆弾を恐れずに立ち向かう。普通なら爆破を恐れておびえるはずなのに、カズキはまっすぐに立ち向かう。

爆弾を使うリカは、ランス一本だけしか持たないカズキが恐ろしくなった。こいつは死を恐れていないのか?

「死ぬのは怖い」

カズキがリカの目の前に立った。

「だからみんなに死んでほしくない。椎名さんにも死が怖いことを知ってもらいたいんだ」

ああ、なんてまっすぐな目なのかしら。お父様でもこんな目で見てくれたことはなかった。ただ自分が笑うとお父様も笑ってくれた。自分が泣くとなんとか笑わせようとあの手この手で笑わせようとした。お菓子とか欲しいものがあったら買ってあげるとか。

「違う・・・」

お父様は自分の事など見ていなかった。自分が苦しんでいるときでも笑わせることしか考えていなかった。あの人が死んだときすら・・・。

あの人?誰のことだろう。そしてお父様は何かをくれたはずだ。それは何、それは何、それは・・・?

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

リカの頭が暴走した。そして黒い砂を吐きだした。黒い砂は壷みたいな巨大な化人へ変貌したのである。

「ぼよよぉぉぉぉぉん!!」

(禊ごうぞぉ、禊ごうぞぉぉ)

「よし!!黒い砂が化人に変わった!!いくぞ!!」

カズキは壷化人、イザナギに突進した。イザナギは口から何かを吐いて攻撃してくる。カズキはそれらを弾き飛ばしながらイザナギに近づいた。そしてランスを突き刺す。しかし、イザナギは硬い。攻撃を弾いてしまった。それでも諦めずにカズキは突進するのをやめない。

皆守は倒れたリカを介抱していた。

「武藤のヤツ、突進するしか知らないのかよ・・・」

「言っただろう?武藤は偽善者なんだよ」

パピヨンの周りに黒い粉でできた蝶々が漂っていた。パピヨンの武装錬金、ニアデスハピネスである。

「先ほどのこの女の爆弾攻撃で気付いたことがある。密閉された部屋の中であれだけ爆発音がしたにも関わらず、部屋は崩れる気配がない。しかも音が吸収されている。つまり多少の爆発ではこの遺跡は崩れないということだ」

パピヨンは右手を突き出した。すると黒い蝶はイザナギに向かって飛んでいった。

「ここで武藤に恩を売っておくとしようか。武藤!!」

パピヨンが叫んだ。イザナギの周りには黒い蝶が飛んでいる。カズキはすぐにその場を離れた。

「ゆけ!黒死の蝶!!」

それで終りだった。蝶たちは爆発し、イザナギを粉々に砕いてしまった。そしてその場に残されたのは小さなオルゴールであった。

 

 

「助かったよ蝶野」

「それはよかったな。今度この借りは返してもらうぞ」

「もちろん!!」

カズキは屈託のない笑顔で答える。カズキたちはすでに地上へ戻っていた。リカはかつて母親が死んだとき、父親から母の形見のオルゴールをもらったことを思い出した。

「それにしてもあの女の力・・・。武装錬金の特性に似ているな」

「え?ああっそうだった!取手の力も何かに似ていると思ったら武装錬金の特性に似ていたんだ!!」

「だがあの女は核鉄を持っていなかった。むしろあの女自身が武装錬金に近かったな」

「なるほど、言われてみればその通りだな。やっぱり蝶野は天才だよ!!」

「違う!!蝶!天才だ!!」

カズキとパピヨンの会話が終わると、リカはおずおずとカズキに話しかけた。

「武藤くんはリカに生きることの大切さを教えてもらいましたわ。リカはカズキ君の手助けをしたいと思いますの〜」

「そう!ありがとう!!そうだ、明日八千穂さんと皆守と一緒にマミーズでご飯を食べに行こう!!みんなで食べる食事はきっとおいしいに決まってる!!」

「俺もいくのかよ!!俺は静かに食べたいんだが・・・」

皆守はぶつくさ言っているがカズキは聞いていない。パピヨンは帰ろうとしたが、リカに呼び止められた。

「あの蝶々の妖精さん。このオルゴールに妖精さんのサインが欲しいですの」

リカはオルゴールを差し出した。パピヨンは股間からマジックインキを取り出すと、蓋の裏側にサインをした。

「武藤くんと蝶々の妖精さんの思いがこもったこのオルゴール。一生の宝物にいたしますわ」

「武藤と一緒なのは気に喰わんが、まあいい。家宝にするが良い。デュワ!!」

そしてパピヨンは空へ飛んでいった。

「蝶野は人気者だなぁ」

「俺はあいつのどこに魅力を感じるのか、理解できんがな」

カズキはパピヨンを眺めながら言った。皆守は呆れ顔であった。

 

 

「おっ、カズキからメールが届いたか」

ここは銀成高校の寄宿舎。斗貴子はカズキのメールを受け取った。

「ほう天香学園にはマミーズがあるのか。気付かなかったな。何?千貫厳十郎に出会ったと?あの老人はただものではないから気をつけろと書いておこう」

他にもパピヨンとバディを組んだこと、生徒会執行委員の力が武装錬金の特性に似ているなど、様々なことが書いてあった。

「と〜き〜〜、さ〜〜ん♪」

斗貴子の後ろをまひろが抱きついた。

「うわ〜、抱きつくな!!」

「抱く〜♪斗貴子さんだけお兄ちゃんからメールが来て、ずる〜い♪だから私は斗貴子さんを独り占めしちゃうのだ〜♪」

まほろは斗貴子の体を弄り倒す。

「うわっ、変なとこ触るな!!あははっ、そっ、そこはだめっ!!あ〜〜〜〜ん!!!」

今日も寄宿舎は平和であった。

 

続く

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2009年2月10日

 

今思ったけど、九龍の世界では主人公は9月から転校してくるはず。

カズキは確か夏休みの中盤から丸一月留守だった。

時間軸が完全にずれているけどコラボだからいいか。