1、『礼記』(らいき)とは、周末から秦・漢時代の儒者の古礼に関する説を集めた書。
2、『礼記』の中の「準1級」配当四字熟語を見てみよう!(意味や四字の分析・解説は、使用テキスト参照。「頁」は、テキストの掲載ページを示す。)
四字熟語 |
頁 | 原 典 の 詳 細 | |
一倡三歎 いっしょうさんたん |
249 | 原文 |
是故楽之隆、非極音也。食饗之礼、非致味也。清廟之瑟、朱弦而疏越、一倡而三歎、有遺音者矣。 |
訓読 | 是の故に楽の隆は、音を極むるに非ざるなり。食饗の礼は、味を致すに非ざるなり。清廟の瑟は、朱弦ありて疏越に、一倡して三歎す。遺音有る者なり。 | ||
通釈 | このような理由で、音楽の最高の目的は好音の極致を知ることではない。それは、饗宴の礼の最高の目的が美味の極致を知ることでないのと同様である。例えば、宗廟の祭りに先祖賛美の「清廟」の詩が奏せられる時、その瑟の絃は朱色で、底にまばらに穴があって(音はそれほど美しいくなく)、一人が歌って三人が嘆賞する程度のものであるが、これは先王の音楽のなごりであるから、尊重されるのである。 | ||
礼記 | 「楽記」(がくき)に所収。 | ||
一張一弛 いっちょういっし |
249 | 原文 | 子曰「張而不弛、文武弗能也。弛而不張、文武弗為也。一張一弛、文武之道也。」 |
訓読 | 子曰く「張(は)りて弛(ゆる)めざるは、文武も能(よ)くせざるなり。弛めて張らざるは、文武も為さざるなり。一張一弛は文武の道なり」と。 |
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通釈 | 孔子は(弟子の子貢に)「…民心を緊張させて働かせるばかりで緩めて楽しませることがなくては、周代の文王・武王でも政治ができないであろう。また、緩めるばかりで張ることがない、ということも文王・武王は取らない。つまり、ある時は張り、ある時は緩めるのが文王・武王の政道なのだ」と答えた。 | ||
礼記 | 「雑記」(ざっき)下に所収。 | ||
温柔敦厚 おんじゅうとんこう |
251 | 原文 | 孔子曰「入其国、其教可知也。其為人也。温柔敦厚、詩教也。」 |
訓読 |
孔子曰く「其の国に入りて、其の教(おしえ)を知るべきなり。其の人と為りや、温柔敦厚なるは詩の教なり。」 |
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通釈 | 孔子は「一つの国に入ると、(人民の気風を見て)国の教育の基本がわかるものだ。人を温和でやさしく導くのは、『詩経』の教えである。 | ||
礼記 | 「経解」(けいかい)に所収。 | ||
苛政猛虎 かせいもうこ |
252 | 原文 | 孔子過泰山側、有婦人哭於墓者而哀、夫子式而聴之。使子路問之曰「子之哭也、壹似重有憂者。」而曰「然、昔者吾舅死於虎、吾夫又死焉、今吾子又死焉。」夫子曰「何為不去也?」曰「無苛政。」夫子曰「小子識之苛政猛於虎也。」 |
訓読 | 孔子泰山の側(かたわら)を過ぐ。婦人墓に哭する者有りて哀(かな)し。夫子(ふうし)式(しょく)して之を聴き、子路をして之に問はしめて曰く、「子の哭するや、壹(いつ)に重ねて憂有る者に似たり」と。而(すなわ)ち曰く「然(しか)り。昔者(むかし)、吾(わ)が舅 虎に死し、吾が夫
又死し、今吾子 又死せり」と。夫子曰く「何為(なん)ぞ去らざるや」と。曰く「苛政無ければなり」と。夫子曰く「小子(しょうし)、之を識(しる)せ。苛政は虎よりも猛なり」と。 |
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通釈 | 孔子が(中国の五岳の一つ)泰山の麓を通り過ぎようとした時、一人の女が墓前で哭泣しているのを見た。いかにも哀れであった。孔子は、車中から会釈をしてその声を聴き、子路に命じて女に尋ねさせた。子路が「あなたの哭泣なさる様子では、きっと多く心配ごとをお持ちらしいが」と言うと、女は「その通りです。以前に舅が虎に殺され、次に夫が殺され、今度は子供が殺されました」と言った。孔子が「なぜ、他の土地へ移らないのですか?」と聞くと、(女は)「この辺にはむごい政治がないからです」と言った。孔子は弟子たちに「諸君、よく覚えておきたまえ。むごい政治は、人民にとっては虎よりも恐ろしものなのだ」ということを」と言った。 | ||
礼記 | 「檀弓」(だんぐう)下に所収。 | ||
西戎東夷 せいじゅうとい |
261 | 原文 | 其在東夷、北狄、西戎、南蛮、雖大、曰子。 |
訓読 | 其の東夷・北狄・西戎・南蛮に在るものは、大と雖も子(し)と曰う。 | ||
通釈 | 諸侯のうち、東夷・北狄・西戎・南蛮にあるものは、いかにも国力が強大でも、子(し)と呼ばれる。 | ||
礼記 | 「曲礼」(きょくらい)下に所収。 | ||
不倶戴天 ふぐたいてん |
268 | 原文 | 父之讎、弗与共戴天。 |
訓読 | 父の讎は、与(とも)に共(とも)に天を戴かず。 | ||
通釈 | 父の仇は、これと共にこの世に生きていることはできない。 | ||
礼記 | 「曲礼」(きょくらい)下に所収。 | ||
不失正鵠 ふしつせいこく |
268 | 原文 |
発而不失正鵠者、其唯賢者乎! |
訓読 |
発して正鵠を失わざる者は、其れ唯(ただ)賢者か。 |
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通釈 |
矢を放って的の真ん中を外さない者は、定めし賢者であろう。 |
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礼記 | 「射義」(しゃぎ)に所収。 |
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