ファイズ第50話『俺の夢』

(2004/1/18)

勇治と巧の戦いとその帰結。逃げるように去る巧に気を取られている間に、勇治と照夫は姿を消す。
意識も朦朧としている巧の前に、勇治が立ちはだかる。巧はその胸に、寄りかかるように倒れて昏倒する。その状態の巧を勇治は、自社の研究施設へと搬送させる。オルフェノクを待つ『死の運命』を解明する為の実験体として・・・。

照夫を追った海堂は、とある地下施設で照夫を見つけ出す。宙に横たわるその姿には、王の姿が重なって見える。海堂は、オルフェノクの王が照夫であることを知り愕然とする。
そこに勇治が姿を現し、邪魔をするなら相手をする、と牽制。巧のことを聞き出した海堂は、その場を一旦下がり、真理達の元へ戻り応援を頼む。

海堂は真理と啓太郎と共に、巧が囚われている施設に乗り込みこれを助け出す。
同じ頃、三原は里奈と共に地下施設の王の元へ。しかしそこには冴子と琢磨が『王を守る』為に待ち構えていた。

車の中で目を醒ました巧だが、その前に勇治が立ちはだかる。その時、里奈からの応援要請が入り、巧は海堂と、真理と啓太郎を向かわせる。二人だけで決着をつける為に。

地下施設に駆けつけた真理達の目の前で、王が覚醒を始める。海堂は半ばやけくそ気味に三原へ加勢に向かう。

カイザとファイズの戦いはやがて、ホースとウルフの戦いに発展するが、激情態への変化を遂げた勇治が圧倒し始める。それに対抗する為に巧はブラスターフォームとなり、ホースを打ち倒す。
しかし巧はトドメを刺さずに去っていく。勇治も人間だから、と。その背中に必死に呼びかける勇治。

地下施設の戦いは冴子達が優勢だったが、巧の参戦で形勢が変わる。しかしその時、遂に王が覚醒を果たす。その力は圧倒的で、ファイズもデルタも歯が立たない。
そこに勇治が現われ、巧に助勢するべく、カイザに変身して王に挑む。
しかし、三人揃ったライダー達の力をもってしても、王は強大だった。しかし勇治が最後の力を振り絞って王を羽交い締めにし、巧はその意気を汲んで必殺のキックを王に放つ!

この戦いの後、生き残った者達は、それぞれの日常を送っていた。それぞれの『夢』を抱いて。
そしてそれは、巧の中にも・・・。


■感想

いやー終わった終わった。番組は終わったけど、お話的には終わってないですね、これ(笑)。
勇治は再び巧達と共に戦い、そこで命を落とし、王は撃破されました。
でもオルフェノクも、王も死んだわけじゃないし。
なんというか、「彼等の戦いはまだまだ続く!」とかいう卑怯千万なテロップをラストのコマに貼り付けて「御愛読ありがとうございました」とか打ち切られる漫画みたいです(笑)。

まあアレです。人が無為にたくさん死んだ作品でした。オルフェノクも含めて。

■勇治と巧

最終回に至っても揺れまくっていた勇治とは対照的に、巧の方は一貫していました。勇治自身が自分の「答え」に自信がなかったせいともいえますが、その差は明確に表れています。
次の問答は、二人のスタンスの違いをはっきり言葉にして表現したものでした。
「君は死ぬのが怖くないのか!?」(勇)
「怖いさ。だから一所懸命生きてんだよ!人間を守る為に。」(巧)
保身に走った勇治と、人を守る為に戦った巧との差は歴然。尤も勇治は、物語の初めで既に過ちを犯してましたし。同情はしますが、許されることではありません。

勇治は「人間を守る」という巧の意志を知ってもなお、自らの意志を翻しませんでした。
「守る価値のないものを、守っても仕方ない!」(勇)
しかし、「人類こそ滅ぶべきだ」とか言ってた男が「守る価値がない」とスタンスの変化を見せていることから、心の奥底では未だに揺れ動いていたのは伝わってきます。勇治も心の弱い人間だったわけです。

その不安定さに巧の「人間臭さ」が勇治を混乱させましたが、結果としてそれは勇治に、巧に未来を託す道を選ばせることになります。
「まだ俺には解らない。何が正しいのか。その答えを、君が俺に教えてくれ。」
そういってカイザに変身し、王に挑む勇治の姿に、巧も答えます。
「見つけようぜ、木場、三原。俺達の答えを、俺達の力で!」
言い換えれば、「運命とは、自らの力で切り開くものだ」という定番系ですね。
とかなんとかいっても、そこはそれ特撮ヒーロー作品です。力に物を言わせて勝ち取るのが運命なのは最初から分かっていたことです(笑)。尤も、あの王が話を聞くようなタイプじゃないのは間違いなさそうですから、選ぶ道は他になかったでしょうけど(笑)。

結局勇治は「英雄としての死」を迎え、巧は遂に夢を得るに至った、と。
劇場版と同様、人間に絶望し、牙を剥いた勇治ですが、結局は人間として巧達に未来を託した形になりました。ラストは色々と描き足りない部分がなくもありませんでしたが、なんとかまとめたような印象です。
巧は、やはりラストの「空に手をかざし、思いを馳せる」シーンが印象的です。陳腐なまとめでしたが、ある意味で巧らしいといえます。

■海堂・琢磨

海堂と琢磨はサラリと流されちゃいました。まるで、「途中で死なせたら、くそマニア共の思う壺だな・・・こうなりゃ意地でも最後まで生き残らせちゃる!覚悟せいやド素人どもが!」的ヤケを起こした脚本家がしくじったみたいに(アンタたとえが具体的すぎ)。
尤も、あの調子の海堂や琢磨がどんな夢を語ってくれても、おそらく観てる側はしらけるだけでしょうから、この扱いが妥当なのは否めませんね。

ただ琢磨は・・・「人間として生きる」のはともかく、どうして工事現場でバイトなんですか(笑)。というか、あんなヘッピリ腰の琢磨をバイトとして雇うほど、あの現場は切羽詰まっていたんでしょうか(笑)。

海堂は、これまでヘッポコさんだったことを全て水に流して欲しいかのような描かれ方。というか、これから海堂は何を目的に生きていくんでしょうね?そっちの方が気になりました。

■冴子・王

冴子ねーさまも生きてはいますが、どうも『王の能力』で『死の運命』を免れる代わりに、人間態に戻れなくなったみたいです。王の能力というのは、純粋にオルフェノク要素のみの肉体に『昇華』させる、というものだったようです。
その王も、ラストであんな壮絶な爆発を起こすキックを受けたというのに、実は死んでない模様。復活するかどうかは全くの未知数で、その側には冴子ねーさまが。

しかし冴子ねーさまもあの姿ではもう社会生活は営めませんから、川に潜って魚を捕まえたりしないと生きていけないのでは?或いは、オルフェノク完全体(仮称)に昇華したねーさまには食事は不要とか?どっちにせよあの姿でラストとは、しけたお話です。

ともかく。
冴子と王のラスト、というのであれば、『看護婦姿の冴子』と『車椅子姿の生気のない照夫』で締めてもある意味で面白かっただろうなあ。とか、素人考え丸出し案で妄想の翼を膨らませて楽しむことにして、気に入らない冴子ラストをスッパリ削除。

■三原・里奈

このまま職場結婚しそうな雰囲気がなくもない三原と里奈(笑)。
二人の夢は、施設の子供達に、強い意志と夢を持って生きて欲しい、というもの。でも、子供だからとは言え、あんな陰湿イジメ体質のガキどもに託す未来は欠片もありません。全員抹殺しましょう、今すぐ(貴様が抹殺されろ)。

それはともかく。
最後までライダーとしては弱かった三原でしたが、里奈のお陰で男としては強くなったようです。登場時のあのキャラクターから、今の三原が想像できたでしょうか(笑)。
つまるところ、男を変えるのはやはり女だという話。結婚おめでとう。写真集も好評発売中で書店に山積みで在庫ダブつき。身のほど知らずな年増めが(痛いところを突いてやるなや)。

■スマートブレイン

立て続けに社長が三代も交代し、その全てが『行方不明』では、世間体もよろしくないだろうスマブレは、結局どうなるのでしょう?

そして、瞳っちことスマートレディはさして重要な役を任されることもなく、最後まで謎のままでした。変わってるよね、会社のイメージキャラクターで社長秘書で監視員っていうのは。おまけにあの装束ですし。
あ、一度、女性陣によるスマートレディ勢揃いって見たかったな。単独の存在で勢揃いもクソもないですけども。

■添野関係

添野親子と沢村のシーンは、「夢を諦めず、夢に向かって努力する姿勢が大事」という話がしたかったのかな?

定年を迎えた添野、今後は私立探偵をやるつもりだとか。ひかるちゃんも、なんだかんだで美容師目指して頑張ることにしたみたい。結局、T-CLUBはTバック着用義務があるのかどうかわからなかったなあ(ないわ阿呆)。
・・・。
結局、今回の事件については一言も触れずに終了。沢村、文字通り骨折り損。

■真理・啓太郎

最終回の出番は、巧の救出の為にアイロン片手にスマブレ施設に乗り込んでいったのと、全てが終わった後のほんわかシーン。
巧救出では、研究員達にオルフェノク態への変身する暇も与えずに次々とKOしていきました。アイロンはバカにできませんねえ。
・・・研究員達、実はオルフェノクじゃないって話もありそう(笑)。

ラストシーンでは、巧と長く居たという理由だけで抜擢。その為、「いびきかいてた」という巧の言葉に「マジっすか!」と真理がキャラクターにそぐわないリアクションをしたりするのも御愛敬。
最終回なのに随分な扱い。啓太郎はともかく。

■現場監督

なんとなくどこかで見たような・・・と思ったら、スタッフロールに奴の名が!奴ってのは井(削除)
こ、これは・・・琢磨逸郎のほっぺをグリグリするぞツアーを開く予定があるわけですね?(潤ちゃん逃げるわ阿呆)
これ、現場監督決めるのモメただろうなあ、きっと。私みたいなのが沢山居たら、くじか何かで決めてるなあ、きっと。

というか・・・いいキャラクターだなあ(笑)。本書きなんかしてるの、勿体無いよ(笑)。


■懐古主義者的まとめ

こうして、悪の組織スマートブレインの野望は仮面ライダーによって阻止された。
しかし、オルフェノクは完全に滅びたわけではない。
オルフェノクの力に溺れた人間が人々を恐怖の渦に巻き込もうとした時、仮面ライダーは人類の平和の為に再び現われるだろう。
ありがとう、仮面ライダー。
さようなら、仮面 ライ ダー!

やあ、よいこのみんな!来週からは俺が活躍する『仮面ライダー剣(ブレイド)』が始まるぞ。応援よろしくな!
それじゃ、また来週会おう!トォーッ!

【 仮面ライダー555(ファイズ)・完? 】

CKNet > 仮面ライダー555(ファイズ)エピソード一覧