125. 続投の予定だった吹雪刑事


1.疑問と謎

吹雪杏子刑事は1年間、54話で活躍した。
しかし、吹雪刑事の活躍期間に関して”謎”がある。

その「謎」とは、吹雪刑事の契約期間は1年だったらしいが、「吹雪刑事は人気が高いのに、なぜ延長しなかったのか」
である。

先輩HPの管理人であるKAJITA巡査さんも、この件に関して疑問を持ち、当時のスタッフに確認されたが判らなかったとのことである。(ひょっとすると、スタッフも実情を知る人が少ないかも知れない)
                                                  Gメン75の頃の中島はるみ

2.決定していた、吹雪刑事の"続投"

前記のことは、ずっと長い間の疑問だったが、以前に当時の雑誌からある記事を発見した。
中島はるみ本人へ、 「趣味」 に関するインタビューをした記事の中にあるもので、それによると、
吹雪刑事の続投は、決まっていたとのことである。

具体的には、 「月刊明星の81年3月号」 に掲載された記事である。
その該当する箇所を抜き出すと、次の通り。

   ”女刑事役は代々1年ぐらいで交替していたが、
    彼女の場合 好評なので、少なくとも夏くらいまではつとめることになりそう。”

とあって吹雪刑事が、81年度も続投する予定だったとの事である。

この 「少なくとも」 という事から、もっと延長する可能性は充分にあっただろう。
また 「夏くらい」  と言うのは、中途半端なので、放送時期は9月末頃までだと思う。
      (例 : 春以外の交代時期は、79年度が10月6日、81年度は10月10日である)

但し、「代々1年くらいで交代」が、事実と違っているのはファンならご承知と思う。


上記の記事を、カメラで撮った画像を右に掲載する。

これは業界の 「うわさ話」 などではなく、インタビューであり、中島はるみ本人だけでく彼女のマネージャー等もおられたはずだがら、この時点での間違いない情報である。

文章も、「ではないか?」 ではなく、 「時期」 こそ未定ながら決定事項としての内容になっている。

その後に付け加えて、
  ”いまのところは、これ1本で手いっぱいだが、この役が終わったら
   「いまとは逆に、女っぽくてかよわい役とか、悪女とか、いろいろ
    やってみたい。」”
と当面は、Gメン75に集中して頑張ることが書かれている。

さらに、81年の年始の 「週刊大衆」 のインタビュー記事では、
      「今年もGメン75をメインに頑張ります。」
と言われているから、ひょっとしたら年始の頃から、続投は決まっていたのかも知れない?

数多くの作品で主役を演じた吹雪杏子が、なぜ続投しなかったのか
疑問だったが、やはり続投予定だったことはわかった。



3.なぜ続投しなかったのか?

吹雪刑事は81年度も、続投の予定だったと判ったが、まだ、
    「なぜ続投しなかったのか?」 という謎がある。
決定していた、吹雪刑事の続投がなくなったのはなぜか?

505.吹雪刑事へのオーディションのページでも書いているが、近藤照男プロデューサーは中島はるみが好みであり、そのことをスタッフは知っているし、一旦決まった続投に対して反論する人はいないだろう。

中島はるみ本人も、前記の2つの記事からGメン75を続けるつもりなのが
判る。

続投しなかった理由は、やはり判らない!
あとは推測だが、中島はるみの所属する事務所の、意向ではないかと
思っている。

所属事務所は、中島はるみのイメージを固定化するのを嫌って、色々な方面に売り込みたい意向があったようだから、当初からの契約を盾にとって、Gメン75の続投に待ったをかけたのではないだろうか? あくまで推測だが他には思いつかない。

実際に81年4月には、歌手として売り込もうとレコードを出されており、レコードを出してからは、女優業は中断すると言われ、事実一切の女優のオファーを断ったとのことである。

しかし残念ながら、歌手としては成功しなかった。
吹雪刑事には、Gメンでもっと活躍して欲しいと思う人は多かったと思うし
中島はるみには、女優業一本でやってほしかった。                    <Gメン75降板後の中島はるみ>
 
そして、歌手への売り込みに事務所とのゴタゴタがあったのか? 歌手断念のすこし後に事務所を変更されている。
名作ドラマ 「Gメン75」 での成功を基盤に、女優を続けなかったのが残念でならない。


4.メンバーの大異動−−Gメン最大の謎

吹雪と同時に、中屋・島谷・南雲の計4名が異動した。
Gメン75”最大の謎”が81年度のメンバー大チェンジ。
   そして代わりの新加入が、女刑事3人と草鹿刑事の計4名。
                              (右の画像)

それまでGメン75を支えてきた、吹雪刑事ら4人が同時に降板するのは、ドラマとしてのリスクが大きい。 しかし、
人数以上の問題は、7人のうち女刑事が3人という構成は、刑事ドラマとしては重量感がなくなり、パワーダウンは避けられない。

以前に、先輩HPの管理人山田八兵衛さんも、
  「"Gメンの王道”のようなメンバーを満喫していたら、
   "大リニューアル"と書かれているが、メンバーも雰囲気もあまりの変わりように、まるで"別のドラマ"のようだ」
 と書かれていたが、同様に感じた人は多かったようである。

従来から、Gメンファンの間で"疑問"とされているが、
なぜ吹雪刑事が抜けた後に、女刑事を3人に増やしたのか全く判らない。


5.もし、吹雪刑事が続投していたら

1)メンバーは?

吹雪刑事が続投していたら、恐らく翌年も紅一点を継続していたと思う。
もともと "紅一点" がGメンの方針だったし、吹雪刑事がいる限り、追加で女刑事の必要性が感じられない。

  (1)81年度の3人の中核は賀川刑事だと思うが、吹雪刑事が続投なら必要ないしダブってしまう。

  (2)SP出身の吹雪杏子がいるのに、SP出身の津村冴子は登場しないだろう。
       (「射撃の名手で、格闘が強くて、クール」 と言う設定は、吹雪刑事のあとを継いでいる)

  (3)11PM出身の中島はるみと同時に、11PM出身のセーラはないだろう。

特に津村冴子、マリコ・寺岡の2人の刑事は、吹雪杏子 or 中島はるみのイメージの一部を引きずっている。


吹雪刑事と同時に降板したメンバーでは、
  (1)川津祐介さんは他のドラマと掛け持ちとなったらしく、降板は不可避
    としても、後任は津村警部補ではなく男性警視になったと思う。

  (2)中屋警部補は、4年間つとめたし降板も已む無しかと思う。

  (3)島谷刑事は、まだ1年半だし続投の可能性があったかも知れない。
    草野刑事に次ぐアクションのプロだし、まだ長くはないので燃焼した
    と言う印象が無い。 (81年度は格闘できるメンバーが、大幅に減っている)

推測では、
  「南雲警視と中屋警部補の2人が降板し、男性刑事2名が新加入」
というのが、当初予定していた人事異動ではないかと思っている。
どう考えても、最初からあのようなメンバー交替は考えなかっただろう。

2)もし、吹雪刑事が続投したら作品は?

彼女の主役率は高いから、半年間26話としたら8〜10話くらいは吹雪刑事の主役になると思う。 また杏子の主役作品には"リメイク"が1話も無かったから、以後もオリジナル脚本となるだろう。

吹雪刑事は、捜査能力や実戦力の高さを利用する作品になるだろうが、"もし"が許されるとして、希望する作品を考えたが、Gメン75の頃の中島はるみの、
   特技である合気道や射撃を生かす作品や、 香港カラテ2話。
   時事の社会問題を扱う作品、 ピンチも2話くらい、 凶悪犯との対決、
   護衛、 おとり捜査、 等々、考えればキリがなく絞り込めない。


6.年度毎の作品数

吹雪杏子刑事が活躍した期間は1年間であるが、作品数は54話と多い。

同じ1年でも、79年の48話、 81年の49話と比べ、かなり多い。
初期は1年平均52話だが、 それと比べてもやはり多い。
1年は52週だが、 80年度だけが54話あるのも、 製作者側が吹雪刑事に
名残を惜しんでいるような気がしてならない。


7.当時の雑誌には

雑誌ベストワンの81年3月号には、右の画像のものが
掲載されている。

 タイトルが、 「 翔べ! ”Gメン”フレッシュ3 」

記事の内容は、これからもフレッシュなこのメンバーの活躍が続くような雰囲気の記事が載っている。
この3人の中で、続投したのは田口刑事だけである。

こういう記事の直後に、降板するドラマもあるだろうが、かなり場違いな記事になってしまっている。





右の画像は、上の画像の右下の拡大版である。


(中央は重要だと思うが、上下の2枚ともに、
 吹雪刑事が中央になっていて、吹雪ファンとしては嬉しい)


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