148. 吹雪刑事とトレンチコート


1.吹雪刑事とトレンチコート

吹雪刑事が、最初に印象づけた衣装は「トレンチコート」だろう。

Gメン75が始まってから長い間、黒木警視正だけがトレンチコートを
着て、ハードボイルドのイメージを出していた。
黒木ボス以外で唯一、トレンチコートを強く印象付けたのが、クールでミステリアス、ハードボイルドが似合う女刑事 吹雪杏子である。
  1)「Gメン歩き」
  2)「デビューから3話連続のトレンチコート」
  3)「遥かなる旅路のレコードのジャケット」
  4)「DVD第3弾女Gメン編のメイン画像」

等での、吹雪刑事のトレンチコート姿は目に焼きついている。

トレンチコートは、ハードボイルドの代名詞の衣装であり、吹雪刑事がそれを着て登場したのは大きな意味が込められている。

  「ハードボイルドGメン75」であるが、意外なことにトレンチコートを着たのは、吹雪刑事以外は非常に少ない。
  Gメン歩きにおいては、延べ22名のメンバーの中で、黒木と吹雪の2人だけである。


2.他のGメンのトレンチコート

他のGメンのトレンチコート (下記は記憶にあるものです)

黒木警視正 オープニングも含め、トレンチコートを良く着ていた。

小田切警視・南雲警視 何話かあった。

立花警部   262話 真夜中の偽装殺人

中屋警部補  291話 女たちの殺人忘年会 店に入ってきたとき
         297話 ラッシュアワーに動く指

島谷刑事   241話 囚人護送

響 刑事   43話 刑法第11条絞首刑  (右上の画像)
           1話の響刑事の雰囲気は、吹雪刑事と少し似ているが、
           つば広の帽子は同じだがロングスカートでトレンチ
           コートではない。

速水刑事  192話 バラバラ殺人事件   (右の画像)
           Gメン歩き等の速水涼子刑事は、コートは着ているが
           トレンチコートではない。
           (ダブルでもなく、ベルトを締めるタイプでもない)

津川警部補 234話 女たちの拳銃泥棒
         238話 ジングルベルに呼ばれた幽霊
         251話 Gメン対エーゲ海の骸骨





 3.吹雪杏子刑事とGメンビル


   中島はるみはトレンチコートが良く似合うと評価されていたのか、当時の
   ファッション誌でもトレンチコートのモデルになっている。

   左の画像は、中島はるみのトレンチコート姿と、Gメンビルを組み合わせた
   画像である。

   中島はるみのクールでハードボイルドなトレンチコート姿が、吹雪刑事の
   イメージとして良く似合っている。

4.トレンチコートについて

「トレンチ」の意味は塹壕

第一次大戦のヨーロッパ戦線は塹壕戦となり、英国の将校が塹壕内で着たことからの名である。
それから90年間という年月が経過したが、当時と形状が殆ど変わらないのもトレンチコートの特徴。
  1)打ち合わせがダブル
  2)共布の大きな肩当てがつき
  3)ベルトを締めて着る   という活動的なコート。

素材によっては、他の季節でも全くおかしくない。
男女を問わずに人気が高く、レインコートとしても使用される冬の定番ファッション。




5.「アンアェア」篠原涼子の雪平刑事

他の刑事ドラマでは、ハードボイルド「アンファア」の、雪平夏見刑事
トレンチコートが印象的。

女刑事のトレンチコート姿は殆どないが、2006年1月から11話放映された
「アンフェア」で「雪平夏見刑事」を演じた篠原涼子さんが着ている。

この雪平刑事のトレンチコート姿は、本当にカッコ良かった。


6.H.ボガードとトレンチコート

「ハードボイルドとトレンチコートが、いつから・なぜ関連が深くなったのか。定説はない」と言われる。 しかし、

"ボギー”の愛称で今も人気が高い、「ハンフリー・ボガード」の影響によるものが大きいと思う。
ボガードのトレンチコート姿のイメージが強かったため、数十年経過した今もハードボイルドといえばトレンチコートと
言われるようになったのだろうと思う。
しかしそれは、いつどの映画か?であるが、

1)ハードボイルド不朽の名作「マルタの鷹」(1941年)の中で、ハードボイルドのスーパースター「サム・スペード」を演じた
  H.ボガードはトレンチコートを着ていない。

2)ならば、「三つ数えろ」(1946年)で、もう1人のスーパースターである「フィリップ・マーロウ」を演じたボガードかと思うが、
  こちらはトレンチコートを着ているものの、その時間は僅かに数秒。
  しかも視聴者の印象に深く残る映像ではない。注意していて初めてわかる程度である。
  但し紹介写真等には、トレンチコートを着ているボガードか使われているので、この影響かも?とは思うが。

一体なぜ、ハンフリー・ボガードのトレンチコートは、後世に残るほど印象的だったのか?


3)名作 「カサブランカ」 の影響だった (1942年)

一般的にはメロドラマとして名高く、主役のH.ボガードは"リック”という男を演じて、イグリッド・バーグマンと恋におちる男を熱演している。
この男 "リック” (右の画像) が、ハードボイルドの魅力に溢れているのである。

H.ボガードはこの映画において、非常に印象的なシーンでトレンチコートに身を包んでいる(計2回)。    4枚の画像はすべて「カサブランカ」

大衆に与える影響度としては、人気の高い不朽の名作 「カサブランカ」 が及ぼしたものは絶大だったと思う。
あらためて見ると、この映画はハードボイルドの雰囲気が濃厚で、所有している
DVDの解説では、"ハードボイルドの最高傑作”とまで書かれている。


4)ハンフリー・ボガードの影響
  H.ボガードは、今から約50〜60年も前に活躍していた俳優だが、"ボギー"の愛称で呼ばれて
  今なお高い人気を誇る名優である。
  そのボガードによってハードボイルドと言えば、「トレンチコート・ 帽子・ タバコ」等が代名詞となり、
  強烈なイメージとして、定着したのだろう。

  黒木警視正がトレンチコートと「帽子」にこだわり、吹雪刑事もトレンチコートだけでなく帽子をかぶって
  Gメン歩きをしているのも、この影響によるものではないかと思う。


5)H.ボガード以前

トレンチコートがH.ボガードの影響が大きいとしても、最初ではない。
これらボガードの映画以前に、1920・30年代のハードボイルド小説の専門雑誌の表紙や挿絵には、
すでにトレンチコートが多かったとの事であり。その当時からトレンチコートがハードボイルドに似合う
という認識があったようである。



7.再度、中島はるみ

   吹雪刑事を演じた、中島はるみのトレンチコート姿の画像を掲載します。
   やはりカッコイイですね。




(右の画像) 299話
青い目の人形バラバラ殺人事件

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