162.「帰って来た女刑事シリーズ」について

(注:ストーリーが判らないように解説していますが、ネタバレの内容は含んでいます)

1.最初で最後の4作品

かつてのメンバーがゲスト出演する、これが最初にして最後の作品である。

他のテレビドラマでも、過去のメンバーが帰って来ることは少ないが、特にGメン75は、「過去を振り返らないドラマ」 と言われるほどだった。
Gメンの7年の歴史の中で、その珍しいことを唯一やってくれたのが 「帰って来た女刑事シリーズ」 である。

帰って来たのは次の2人だけだったが、貴重な4作品となった。
     森マリアさんが演じた 「速水涼子刑事」
     夏木マリさんが演じた 「津川蛍子警部補」

         <速水刑事>            <津川警部補>
     279話 FBIから来た女刑事     280話 パリから来た車椅子の女刑事
     288話 唇を奪われた女刑事     289話 裸の女囚たち
           (それにしても、後半の2話は思わせぶりなタイトルである)

この4話の中で、もっとも印象的な場面といえば、279話で速水刑事がGメン部屋に入ったとき、窓際に立っていた黒木警視正がゆっくりと振り返るシーン。 それを少し遠くから、黒木警視正を撮影したあの映像はきわめて秀逸だった。
さらに続いて、速水刑事が黒木警視正と向かい合うシーンである。(右下の画像)


このシリーズは女刑事の重要性を認識したために、発案されたのだと思われる。
帰って来たのが"女刑事”だけなのも、その為なのだろう。

速水刑事・津川警部補のファンにとっては、思いもよらないプレゼントとなった。
特別企画シリーズとして作られただけに、4話とも充実した作品ばかりである。


2.レギュラー時代との違い

帰って来た彼女らは、レギュラー当時とは違う印象を放って活躍している。

1)雰囲気・心理面

レギュラー時代は、2人とも衝撃に動揺しやすい一面もあり、ピンチにうろたえたり感情に流されることも時々あったが、それが個性でありそれに耐えようとする姿も魅力の1つであった。

しかしこのシリーズでは、2人ともにプレッシャーに強く、動揺することも少なく、クールでハードボイルドな女刑事になっている。
特に280話の津川警部補は、別人のようでさえある。

これは、"新しいタイプ”として設定された吹雪刑事の、クールでタフな個性の影響を受けているように感じられる。
吹雪杏子のハードボイルド的な雰囲気に、似通ったものが帰って来た2人からは漂っている。
 (逆に、杏子はこのシリーズに限っては、ハードボイルド的ではない役割となっている)

2)実戦能力

レギュラー当時より、射撃能力が大きくアップしている。
しかし、格闘能力はあまり変わっていないようである。

  速水涼子刑事
     射撃は下手で、不慣れな設定だったが上達している
  津川蛍子警部補
     射撃は、速水刑事より下手だったと思うが、上達している。
       (注:苦手な格闘は、280話は車椅子という設定により回避されている。
               しかし、 289話では、女(吉岡ひとみさん)との格闘がある)


  そのうえ2人とも2作目では、西部劇のような決闘場面さえに特別?に
  用意されて、見せ場となっている。

これについても、吹雪杏子だけに与えられた「高い実戦能力」に、影響されて
いると思えてならない。


3)危機

速水涼子刑事
  −−レギュラー時代は危機に陥ることが非常に少なかった。
     しかしこのシリーズでは、2話ともにピンチに陥る。(右の画像)
津川警部補
  −−レギュラー時代はピンチが多かったが、このシリーズではピンチが
     少ない。(注:280話の予告には危うい場面があるが、カットされている)

これはレギュラー時代と大きく違っている。
本人の希望等が、配慮されているのだろうか?


4)レギュラー時代の因縁?

違っているところも幾つかあるが、レギュラー時代を引きずっているかのような展開もある。速水涼子刑事の拳銃盗難や犬、津川警部補の車椅子などである。脚本家にその印象が強く残っていたからかどうか判らないが、レギュラー時代の因縁を引きずっているかのようでもある。


3.「最初の2話」への不満

作品に対する不満ではありません!
   (言うまでもないが、以前の女刑事が帰って来る作品は大歓迎)

「最初の2話」は吹雪刑事の出番は多いが、その"不満”とは、吹雪刑事がゲストの女刑事の引立て役となる為に、考えられないような初歩的ミスを何度もしている事である。
    −−−ここはファンサイトなので、その”不満・怒り”を書きたい−−−

そもそも、吹雪杏子は失敗をすることが少ない刑事。
それなのに引き立て役とはいえ、初歩的ミスが何度もあるのは極端すぎる。
もう少し工夫が欲しかった。

    (DVDが発売済みなので下記に書いているが、ネタバレがあるので注意して欲しい)

考えられないようなミスとは。

 279話 FBIから来た女刑事
   1)少女を誘拐されるシーン 元SP隊員はあんな行動はしない。

 280話 パリから来た車椅子の女刑事
   1)誤射をするが、あの状況で発砲するはずがない
         杏子は射撃の名手なのに、津川警部補の方が上手く見える
   2)格闘場面では、得意の合気道もあまり冴えず、ミスも犯す
                               (別ページで書く予定)
   3)冒頭とラストでギャングを追い詰めた時、津川警部補を呼ぶシーン


ゲストの女刑事とは逆に、杏子の実戦能力が低く抑えられているのもファンとしては面白くない。

この点について、Gメンの掲示板では以前に「Gメンでは2人の女性を同時に
活躍させるのは難しいのでは」という意見もあった。


4.鑑賞順によって

このシリーズの作品はどれも力作だが、若干無理な点もある。 又あくまで 「番外編」 であり、帰って来た彼女らは "レギュラー当時" とはイメージが違っている。

やはりレギュラー時代が本来の姿であり、あの雰囲気こそが彼女らのそれぞれの女優の個性である。
だからこのシリーズを先に見て、後でレギュラー作品を見た場合は、違和感を
持たれるのではないかと思う。


    ヘリコプターへ連絡              ギャングへ発砲           ギャングの弟と真っ向勝負

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