205.Gメン75 脚本家の変遷

1.脚本家毎の作品数の変遷
75年度 76年度 77年度 78年度 79年度 80年度 81年度 合 計 比率 Gメン82
高久 進 22.5 22.0 22.5 24.0 25.3 28.8 37.0 182.2 51.3% 12.0
池田雄一 18.5 16.0 15.0 16.0 9.5 6.0 81.0 22.8% 1.0
西島 大 5.5 10.5 13.5 6.5 6.3 9.3 1.0 52.2 14.7% 1.0
山村英司 2.5 4.5 7.0 2.0%
佐藤純弥 2.0 6.0 8.0 2.3%
新井 光 2.5 3.5 0.5 6.5 1.8%
掛札昌裕 3.3 3.3 0.9%
小松範任 1.0 1.5 2.5 0.7% 2.0
永井達郎 0.5 0.5 1.0 0.5 2.5 0.7%
押川国秋 0.5 1.5 2.0 0.6%
佐藤 肇 1.5 1.5 0.4%
小山内美江子 1.0 1.0 0.3%
鷹森立一 1.0 1.0 0.3%
澤井信一郎 1.0 1.0 0.3%
内藤 誠 0.8 0.8 0.2%
酒井あきよし 0.5 0.5 0.1%
榎田安孝 0.5 0.5 0.1%
吉田義昭 0.5 0.5 0.1%
高橋芳郎 0.5 0.5 0.1%
石山昭信 0.5 0.5 0.1%
横光 晃 1.0
  合 計 52 52 52 48 48 54 49 355 100.0% 17
各期の作品数 第1期 第2期 第3期 第3期 第4期 第6期 第7期
33 52 52 48 22 54 24
第2期 第5期 第8期
19 26 25

       (注1)80年度だけ色が違うのは、このHPのテーマ年度だからです。
       (注2)各年度の作品数が違うのは、メンバー交代の期間に対応させているため。
        (注3)共作の場合の「作品数カウント」は、2人なら0.5話ずつとみなし、3人なら0.33話ずつとしてカウントしている。
              実際は違うかも知れないが、確認は不可能であり、大差はないと思われるので、このようにカウントした。


2.脚本家の変遷

高久進、池田雄一、西島大このレギュラー3人だけで比率は89%と殆どを占める。
この3人以外に10話以上を書いた人は皆無で、 5〜10話を書いた人も僅か3人と少ない。
他の14人は5話未満である。(うち1話未満が6人)

この3人に集中し過ぎているとは思う。(他のドラマは集計しておらず、はっきりとは判らないが)
しかしこの3人は、その持ち味が明確に分かれており、適度の順序で放送されることにより、バランスの取れた
ものとなっている。

それでも、やはり81年度は高久進氏に、特に集中している。
池田雄一氏は全く作られておらず、西島大氏も1話だけとなっている。これがどうしてなのかは判らないが
誠に残念である。 (しかしGメン82には、ともに1話ずつを書かれている)

1)高久進氏

「キイハンター」 「アイフル大作戦」 「バーディ大作戦」 「Gメン75」の全てでメインライターとして活躍し、世に多くの名作・傑作を輩出した。
ハードボイルドものアクションものが得意だが、キイハンターでは "ハードボイルド・非情・重さ”などが抑えられたため、苦労したという。それがGメン75では解禁になり、さらにリアリティを重視することになり、高久進氏の最も得意なドラマとなった。その為に楽々と脚本のアイデアが浮かび、脚本を書きながらさらに数本分のアイデアを常に持っていたと言われる。

作品数は全体の51%という半分を占めており、名実共にGメン75のメインライター。
81年度は76%と非常に高率であるが、75〜80年の6年間だけの比率なら「47%」である。

Gメン75を書くに当たっては、エド・マクベインの「87分署シリーズ」や、
「ジャッカルの日」などのフレデリック・フォーサイスに影響を受けているという。

  余談だが、
  DVDの解説書では、高久進氏は「バーディ大作戦は後半からタッチした」と言われたと、書かれているが、
  実際は最初からガンガン脚本を書かれている。ご記憶違いではないかと思う。

<作品には> 1話 エアポート捜査線、 13話 バスストップ、 33話 1月3日・関屋警部補・殉職、 59話 沖縄3部作、 105話 香港-マカオ警官ギャング、 129話 警察犬と女刑事、 132話 Gメン恐怖の四日間2部作、 213話 ニューカレドニア2部作、 218話 梟の森みな殺しの夜、 253話 吹雪刑事登場編2部作、257話 大暴走!囚人護送車、 261話 初夏の夜 女の部屋に忍ぶコソ泥、 267話 Gメン対世界最強の香港カラテ2部作、 黒谷町シリーズ、 295話 午前6時の通り魔、 319話 香港カラテ対北京原人、 354話 我輩は人食い猫である 等がある。

2)池田雄一氏

やはり「キイハンター・アイフル・バーディ・Gメン75」の全てに、3本柱の1人として脚本を書き、特にトリックの妙、意外性に才能を発揮されている。
しかし、キイハンターでは脚本は簡単に書けたが、Gメン75のようなハードボイルドは、自分に合わないので苦労したと言われている。しかしトリックやミステリーにおける才能は傑出しており、見ごたえのある作品を数多く作られている。

高久進氏の作風とは水と油のように違っていたとも言われている。
81年度には1本も書かれていないのが残念である。

<作品には> 16話 Gメン皆殺しの予告、 20話 背番号3長嶋対Gメン、 32話 死んだはずの女、 55話 Gメンの首、 92話 女の留置場、 125話 ウソ発見器、 136話 Xマスイブ21時のトリック、 206話 催眠術殺人事件、 226話 電話魔、 264話 悪魔の棲む家、 259話 大空港の逃亡者、 272話 東京−神戸電話殺人、 278話 エマニエル連殺人事件 等がある。

3)西島大氏

高久氏・池田氏と3本柱の1人として、Gメンを支えた重要な脚本家。

しかしGメン75の35話が初めての参加であり、「キイハンター、アイフル、バーディ」には、全く参加していない。
その意味では、一連のアクションドラマに新風を加え、従来と違うドラマである事をより一層印象づけた。

しかしそれだけではなく、西島大氏は、社会派と言われる視点で作品を書き、高久進・池田雄一の両氏には
ないものを作り出した。
社会の深部をえぐるような作品が多く、犯罪者の生活観も強く押し出されるようになっている。

「ハードボイルドにはアクションも必要だが、自分はアクションは得意じゃない」と言われ、確かに西島大氏の
作品には、アクションシーンが少ない。
だから「高久進氏との共作では、アクションも入った良い作品が出来た」と言われている。

作られた話数は、年度によりバラツキがある、
    77年度が13.5話と最も多く、 6人体制の76年が10.5話と次に多く、
    吹雪編の80年度も9.3話と多く、 この3年が多い。

    他の年度は5〜6話と少なく、81年度は1話に減っている。
               (79年度は最後に3話連続がある)
    81年度に310話の1本を最後に、書かれていないのは残念である。

<作品には> 35話 豚箱の中の刑事、 47話 終バスの女子高校生殺人事件、 81話 灰色高官殺人事件、 109話 新東京国際空港の悪霊、 121話 パトロール警官と女性連続殺人の謎、 187話 新幹線ひかり131号、 242話 美女たちの密室殺人、 263話 痴漢のアリバイ、 265話 死化粧の女、 286話 スカート切り裂き魔 等がある。


4)80年度の特色

(1)山村英司氏
   80年度に4.5話を書かれており、
   280話 肉体のない女が呼んでいる、 260話 悪魔の結婚式、 283話 オホーツク海の幽霊船 等の
   Gメンファン・吹雪刑事ファンとしては永く忘れられない作品を生み出した。

(2)高久進氏
   80年度は、少し比率が高まっているが、黒谷町シリーズを除くと「46%」でそれまで通りの比率。
   「黒谷町シリーズ」は、従来にない作品で7話あり、その内の6.5話を高久進氏が書いている。

(3)300回 記念作
   Gメン75には何回記念という作品は一度しかなく、それが300回記念の2部作である。
   この時には、佐藤純弥氏が自ら脚本を手がけられ、力の入った傑作を残している。

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