255話 女が掘った落とし穴
<監督:山内 柏、脚本:池田雄一>
1.作品について
ドラマは冒頭から査問委員会を中心に進められるが、厳粛に但し事務的に進められる委員会。
1人の刑事のことなどより、世論・記者会見の時間ばかりを気にする上役たち。
重苦しく絶望的な状況の中でも、Gメンたちは最後まで諦めず、黒木警視正以下の全員が一丸となって真実を追求しようとする。
毎度のことだと思うが、こういう場合の警視正・警視たちは悲観的に見すぎるし、自己保身のことばかり考えている。
頭から田口刑事を懲戒免職にして責任を逃れようとしすぎる。
ここは、日頃Gメンに厳しい結城警視正が委員会の中で防波堤のように頑張って欲しかったが、それが見られなかったのは誠に残念。
(ドラマを盛り上げたのは、田口刑事を追い込んだ彼らのおかげであるが)
作品はストーリーも良く意外性も充分あるうえ、Gメンたちの活躍も上手く描かれてていて見ごたえがある。
多くの時間が、委員会の部屋の中で進行する地味なドラマなのだが、自動車が激突するシーンや射撃シーンなども印象的でアクション的なイメージも残る。
2.Gメンたちの活躍
この作品は、南雲警視以外の全員がそれぞれの持ち場で活躍している。
田口刑事の主役となっているが、冒頭から大ピンチに陥っている当人なので、
ドラマとしての活躍ではないが好演している。一皮むけたような印象をもった。
「さもなければ、お前を射殺する」
これは田口刑事の、強烈なセリフとして記憶に残ると思う。
黒木警視正は吹雪・島谷の両刑事の捜査に一縷の望みを託し、彼らは出動する。
島谷刑事も79年度と違いセリフが増えているのが嬉しい。
吹雪刑事は主役ではないが、田口刑事の苦境脱出に大きく貢献した。
またラストの査問委員会が良かった。(後述)
中屋警部補は苦悩するが、仲間を助ける為というセコイ考えは捨て、正しいと思うことを堂々と発言している姿は好ましい。
最後は黒木警視正がGメン部屋から出て査問委員会へ。 吹雪・島谷が発見した証拠を携え登場。 さすがはボス、結城警視正も押されて軟化する。
3.吹雪刑事の活躍
1)活躍シーンは2つ
(1) 詳細は書けないが島谷刑事との捜査で、証拠の発見と証人の喚問に
成功
(2) 査問会での、吹雪刑事の説明は迫力があった。
この3作目の前半までは、吹雪刑事のセリフはかたい。
モデルから女優になった直後のため、特に前半は吹雪ファンが聞いてもやはり慣れていない。
しかし、ラストの「査問委員会」での説明は良かった。
セリフも良くなっているが、上手下手よりも、その堂々たる話しっぷりである。
力強い眼光で周囲を威圧するかのようにさえ感じる、落ち着いた話しぶりが良い。
中島はるみは最初からそうだが、まだ慣れていないにも拘わらず、新人らしからぬ落ち着きがある。
余談だが、
中島はるみの演技は、次回の第4作ではかなり良くなっている。
2)クールビューティ吹雪
ラストの査問委員会での、吹雪刑事の発言はなかなか良かったが、
”その後”も見ものである。
眼光をまったく揺らさず、前方をじっと見つめる吹雪杏子は、クールビューティ
そのものである。
このシーンの画像を右に掲載する。