259話 銭湯帰りのOL殺人事件

(注:ストーリーが判らないように解説していますが、ネタバレの内容は含んでいます)

<予告編のナレーション>

ハードボイルドGメン75 次の活躍は。

殺されたOLは、勤めが終わって町の中華料理店で夕食を摂り、
近くの顔なじみの派出所を覗き、銭湯にはいってからアパートに戻って、
そして何者かに襲われた。

犯人の遺留品から早期解決を予想されたこの事件は、意外にも迷宮入り。
犯人に対する両親の怨念と、Gメンの執念が燃えさかる。

次回は、「銭湯帰りのOL殺人事件」

  <監督:小松範任、脚本:高久 進>


1.作品について

立花警部は主役が多いが、なんと11作ぶりの主役作品である。
ヨーロッパ編や、吹雪刑事登場の影響で久しぶりとなった。

これまた久しぶりに、過去の事件の思い出から捜査が始まり、立花警部は未解決事件の解決に、執念をみせる。
吹雪刑事が2回目の「おとり捜査」を行ない、犯人のおびき出しを狙う。

吹雪杏子の出番はそれほどないが、美しい容姿で魅せてくれる。
母親の八重を演じる菅井きんさんと、今福将雄さんが老夫婦で共演しており、2人の味わい深い演技はさすがである。
   (4年前の被害者 幸子を演じるのは、小島美奈子さん)
事件に対するGメンたちの執念と、両親の消えることのない怨念がひしひしと感じられ、ラストの立花警部の尋問も迫力があり、見応えのある作品となっている。

捜査過程が、「識」とか「流し」等の捜査用語が画面に表示され、詳しく立花警部らの捜査活動が描かれており、刑事ドラマとしての緊張感を高めている。
このテロップは計11回表示された。

果たして、未解決事件は解決するのか?


2.不良男

不良男 魚谷(岸正明さん)の東京に来てからの変貌振りは、とても同一人物とは思えない。
メーキャップの効果だがその変わり方が凄い

田舎から出てきた時と、不良になった時の両方の画像を
掲載する。


3.立花警部の活躍

1)この事件は捜査本部の時に、あらゆる方面から捜査をしたが、ついに犯人を
  捕えられなかった事件で、事件は完全に暗礁に乗り上げていた。

 初動捜査の時の、立花警部のセリフと信条
   「俺たちは現場に駆けつけると、真っ先に害者の形相をまぶたに焼つけ、
    ホシをパクリ、俺が成仏させてやると誓う。
    それが"殺しの一課”としてのデカ魂だ。」

  ※この言葉を聞いて思い出したが、192話で死体が苦手な速水涼子刑事に
    厳しく当たったのも、この信条ゆえかも知れない。

2)事件の再現

折原幸子が殺害されて、4年目の命日に立花警部は、吹雪刑事による"おとり捜査”を兼ねた「事件の再現」を敢行する。

この捜査により、折原幸子の怨念の助けがあった訳ではないだろうが、事件は展開を見せる。4年間にわたる両親の怨念、立花警部の執念、そしてGメンたちの努力が犯人を追い詰めていく。

立花警部の容疑者に対する、尋問と追い詰め方は良かった。ただならぬ殺気さえ感じられた。さすがはベテラン鬼警部。


なおこの作品には、かつての捜査一課時代の話でもあり中屋警部補の出番が多かった。

4.偶然性について

吹雪刑事の"おとり捜査”も兼ねた「事件の再現」からの展開について、初めて見たときは、
偶然性が強すぎると思った。

しかし考えてみると、立ち寄ったことが明確なあの中華料理店の中で、(1)被害者と犯人が出会っており、
(2)当時の店員がまだいる状況で、足取りを再現していったのだから、それほど偶然性が強すぎることも
ないかと考え直した。


5.吹雪刑事の活躍

立花警部の主演作であり、吹雪杏子の活躍シーンは少ない。
しかし主役ではない作品で、見せ場があるだけでもファンとしては嬉しい。

1)おとり捜査

吹雪刑事は、OLに扮しておとり捜査を行なっている。
杏子の服装はいつもより目立つように思う。犯人の男を誘うには「赤」が効果的と意識しているのかも知れない。

  (注)吹雪刑事のおとり捜査は、初めてではない。
      257話 大暴走!囚人護送車で、シャブの売人を捕える吹雪杏子は、
      とっさの機転で、"おとり捜査”を行なって売人を逮捕している。

不良店員をクールに突き放す吹雪杏子。
  (余談だが、吹雪刑事には合気道で投げ飛ばして欲しかったが、
   あの場面ではそこまでやれないだろう。)

2)おとり捜査中の食事

吹雪杏子は、おとり捜査中に街の中華料理屋に入って食事をする。
注文したのは、殺害された折原幸子が食べたのと同じ"中華丼”。

この食事シーンについては、「142.吹雪刑事と酒・食事」でも書いているが、
Gメンでは、食事シーンが非常に少ないので貴重である。

これらのシーン以外にも、吹雪刑事は画面には何度も登場するが、他にはいわゆる見せ場はない。



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