262話 真夜中の偽装殺人
<予告編のナレーション>
ハードボイルドGメン75 次の活躍は
現職のエリート刑事が拳銃自殺。
Gメンはじめ捜査陣は色めき立ったが、警視庁幹部会議は自殺に決定。
動機に不審を抱くGメンは、刑事の妻、関係のあった高級バーのホステス、
その弟の、暴走族の青年たちとの結びつきを洗い出すうち、姿をくらまそうとした青年も突然の事故死。
謎のベールに包まれた事件の裏に、思いがけぬ大物の影が浮ぶ。
次は、「真夜中の偽装殺人」
<監督:山内 柏、脚本:西島 大>
1.作品について
10話ぶりとなったが、南雲警視の主役作品である。
南雲警視は出演作品は少ないが、主役作品は80年度だけで7作もあり、出演する時は主役が多かった。
部下を死に追いやった事件究明に奔走する南雲警視と挫折。
そしてGメンたちの活躍により、次々と明らかになっていく真実に苦悩する南雲警視が描かれている。
作品全体を通して、真実を追究しようとするGメンたち全員の意気込みが、好ましい雰囲気をかもし出している。
吹雪刑事は主役ではないが、出番とセリフは比較的に多い
この作品は、掲載したい画像は一杯あるが解説が難しい。
下手に説明するとネタバレになってしまう。
2.乃村泰三警部と正子
乃村警部(片岡五郎さん)は、数々の実績を上げている優秀な警察官である。
その結果として交通係から抜擢され、上司の南雲警視との関係も良く、申し分ない勤務態度であった。
その部下が不慮の死を遂げたため、南雲警視は事件解明に奔走する。
妻の正子を演じるのは、水原麻記さん。
(余談だが、私は以前は、水原麻記さんを新藤恵美さんと間違うことが多かった)
夫の死という突然の悲劇に力を落とすが、それを懸命に耐えている姿が
印象的である。
前半のこの演技が、ラストの迫真の演技をより際立たせたと思う。
3.ゲスト
さまざまな人間が登場し、伏線が盛り込まれてくる。
高級クラブのママ、ホステス(大川しのぶ)、その弟(大川真次)、
代議士、事故に巻き込まれた男(金子乙吉)等、暴走族の仲間、などなど
これら多彩なゲストの登場により、事件が絡み合っている。
4.南雲警視の活躍
部下の死の真相を究明しようとする南雲警視も、挫折を味わう。
不本意に納得せざるを得ないが、やはり本音では納得していない。
そのシーンもちゃんと用意されている。
南雲警視がなぜ変更したのか疑問が残ったが、KAJITA巡査さんがシナリオ検証において、解説されているので参照して欲しい。
そして真実の解明とともに、南雲警視の苦悩は深くなる。
南雲警視は渋いイメージが上手く出ている。ザ・ガードマンの時の川津祐介さんは、若くてやんちゃな兄貴というイメージだが、南雲警視の頃の渋味はいい。
印象に残ったセリフ
「私自身、この結論に納得していると、諸君に伝えたはずだ!」
ラストは、「我々の本当の闘いはこれから始まるのだ」と結んでいるが、事件の
当事者らは死んでいるので、究明は難しいと思う。
5.Gメンたちの活躍
Gメン全員の、事件の真相究明に対する強い意志が描かれており気持ちよい。
島谷刑事と田口刑事の両名による、血気にはやったとも思える尾行や南雲警視への質問や、
中屋警部補ら3人の捜査等々、南雲警視の主役作品ではあるが、他のメンバーの活躍もよく描かれている。
ところで、立花警部が珍しくトレンチコートを着ている。6月7日の放送分なのに暑くはなかったのだろうか?
6.吹雪刑事の活躍
吹雪杏子の主役作品ではない為、いわゆる活躍は少ない。
しかし出番とセリフは、比較的多いのが嬉しい。
南雲警視との捜査などや、鑑識結果の説明や、捜査の説明 等々。
吹雪刑事も幹部会議の決定に対する不信感は強く、黒木警視正への意見にも現れている。
印象に残ったセリフ (通常は1つしか書いていないが、この作品は2つ)
「南雲警視は、その結論を納得なさったんですか?」
南雲警視に対しても、吹雪刑事は質問をして食い下がっている。
杏子は真相を隠蔽しようとする気配に、どうしても納得できない。