266話 殺人暴走オートバイ集団! 三途の川
<予告編のナレーション>
ハードボイルドGメン75 次の活躍は
警察と全面対決を挑む暴走族!
暴走族にあこがれる出前持ちの少年に近づいたGメンが、
探り出した相手は、"三途の川” と名乗る尖鋭化した暴走族。
スピードに青春の命を散らすスリリングなカーアクションが、
火花となって激突する。
次は、「殺人暴走オートバイ集団! 三途の川」
<監督:山口和彦、 脚本:高久 進>
1.作品について
257話「大暴走!囚人護送車」にも登場した、暴走族集団の「三途の川」が
再び登場する。 しかし今回の方が、はるかに戦闘的で暴力的である。
予告ナレーションで語られた「尖鋭化」という表現がピッタリである。
Gメンは"三途の川”を撃滅するため、吹雪刑事、島谷刑事、田口刑事の3人を潜入捜査官として派遣する。
吹雪刑事ら3人は変装をして、頭師さん演ずる少年に近づくが、この前後の変装はGメン全話の中でも非常に珍しいシーンである。
少年の"小さな夢”にスキを見つけたGメンたちは、巧みに潜入していくが。
殺伐とした作品という点では、Gメン75の中でも数少ない作品だと思うが、
1)吹雪刑事ら3人の変装によるユーモア
2)「修」をトボけた個性の頭師佳孝さんが演じ、母親への思い出のシーン
等が適度に織り込まれて、殺伐さを中和する働きをしている。このあたりの作り方は山口監督の技量というものだろう。
その為に緊迫感が途切れることなく続き、目が離せない作品となっている。
個人的には、257話「大暴走!囚人護送車」の方が好きだが、ハードアクションの傑作として異彩を放っている。
注) 警視庁によると、暴走族の数はこの作品の1980年がピークだったとの事。
(共同危険行為を、道交法で禁止したのが1978年)
1980年に比べ2012年1月時点では、東京では50分の1にまで激減しており、 グループの数も1980年は
148グループだったが、2012年には16グループで、それも小規模化していると言う。 但し、全国的には東京
ほどは激減していない。
また以前は、「特攻服」 を来て、社会に反抗することにあこがれたというが、最近はそれもカッコ悪いとされ、
普段着が多いという。 −−吹雪刑事らGメンたちが、暴走族と対決した頃がピークだったようである。
2.暴走族に憧れる少年「修(おさむ)」
暴走族に憧れ、そのリーダーになるのが夢という少年だが、この小さな夢でさえも無理なことを、恐らくは自覚しながらも認めたくない少年。
その役を年齢的には厳しいが、頭師佳孝さんが個性豊かに演じられている。
母親を写真を常に持ち歩き、「母親にこう自慢するんだ。」などと楽しそうに語る「修」の姿は好ましい。
思わず「大丈夫か?」と声をかけてしまいたくなるような少年に、吹雪刑事はかばおうとし、守ろうとしている。田舎に帰ったほうが良いとも諭している。
259話「大空港の逃亡者」で頭師さんは、知能的な犯罪者を演じてGメンに勝負を挑んできたが、今回は逆に、間が抜けているような少年を演じている。
仲間がいないという境遇は以外は、本人の設定はかなり違うが見事に演じ分けられている。
<余談だが>
頭師さんは特技は乗馬との事。黒澤 明監督に見出されて映画出演も何度かされているので、その頃に訓練したのだろうか?
3.暴走族「三途の川」
大都会の深夜。−−−静まり返った町並み。
闇の中から、暴走音を鳴らし・ライトを照らして、暴走族が近づいてくる。
この登場シーンは迫力がある。まるで平原の彼方から、騎馬民族が押し寄せてくるような雰囲気がある。(かなりオーバー?)
257話の古尾谷雅人さんには人間味が感じられたが、
今回のリーダー「リュウザキ」は冷酷非情そのもの。 このリーダーにより、
「三途の川」の暴力集団としてのイメージが、より強烈になっている。
そして大乱闘。 "三途の川”のメンバーも数十人とかなり多いが、機動隊や警察側の人数も半端じゃない。
Gメン75の作品中で、これほどの大人数を揃えて大乱闘したのは、珍しい
のではないかと思う。 さすが、特報クラスの予告をしただけのことはある。
4.島谷刑事、田口刑事の活躍
この作品は、吹雪刑事、島谷刑事、田口刑事の3人主役。
Gメンたちの変装が1つの見せ場であり、2度の変装はGメン75の中では非常に珍しく、しかもその変装たるや、滑稽そのものである。
Gメンたちは頑張って変装したのだが、「修」には笑われてしまう。
また島谷刑事は衣装も面白いが、カキ氷屋のおばあさんに言われた
ことも面白い。
田口刑事は暴走族が似合いそうだし、もともと車・バイクは得意で大好きだから、ひょっとしたらかつては、飛ばしまくっていたのではと、推測してしまう。
3人のユーモア溢れる演技もGメンでは珍しく、それを見た立花警部の苦虫を
噛み潰したような顔も印象深い。
5.吹雪杏子刑事の活躍
今回は3人主役だが、その中でも吹雪刑事は見せ場が多い。
(吹雪編の14作目)
1)吹雪刑事の2度の変装
この作品は、やはり杏子の変装が1つの見せ場。
(1)最初の変装 (上から2番目の画像)
中島はるみの不良姿はカッコイイ。
女刑事の時よりも、スレンダーさがわかる衣装。
(2)2度目の変装
当時の暴走族の衣装ということだが、彼らがなぜこんな衣装を
着るのかさっぱり判らない。
吹雪杏子のメガネ姿はそれなりに魅力的。(変なメガネだが)
津川警部補の時にも感じたが、夏木マリさんや中島はるみのような
セクシーな女性のメガネ姿はなかなか魅力的だと思う。
2)少年を介抱する吹雪刑事
少年の状況を知った杏子は、「修」の身を案ずるようになっている。
田舎に帰るように説得したりもする。
少年の身を案じ、杏子が思わず少年に駆け寄るシーンも2度ある。
ところで、
吹雪杏子は、少年のことを「修君」と何度も呼んでいるが、実年齢は頭師さんが中島はるみよりも4歳年上である。
3)「三途の川」 のアジトの中で
暴走族の連中の真っ只中の3人はかなり緊張している。(右の画像)
その中での、吹雪杏子の仕草にはギクッとしたものである。
4)なお、
今回は3人主役だが、杏子のセリフが多く、
3人の中央に吹雪刑事いることが多い。
また端にいても、カメラが絞り込むのは吹雪刑事が
多く、吹雪ファンとしては嬉しい 。
(右の2シーンなど)
5)飲食シーン
Gメン75では飲食シーンが少ないと、「142.吹雪刑事と酒と飲食」 のページでも書いているが、この作品には
2度もある。
吹雪刑事ら3人は、まず中華料理を食べ (下の左側)、さらにカキ氷を食べている。それぞれは数秒程度と短いが、1話で2回は本当に珍しい。 特にカキ氷を食べるシーンは楽しそうで、ひょっとしたら撮影当時、よほど暑かったのかもしれない。