269話 少年とギャングの自転車レース
<予告編のナレーション>
ハードボイルドGメン75 次の活躍は、
銀行を襲った二人組の強盗が奪った金を、待機する女に渡し
自転車で逃走。
だが偶然、犯人が犯行に使った自転車を盗むところを目撃した
少年の眼が、2人の男を追い続ける。
父を強盗に殺され、母と二人暮らしの少年がGメンに協力。
執拗に食い下がったが、気付いた犯人に追われて危機が迫る。
次は、「少年とギャングの自転車レース」
<監督:山内 柏、 脚本:高久 進>
1.作品について
中屋警部補ファン待望の、主役作品である。
少年と心を通わせる、頼りがいあるGメン中屋は気持ちよい。
タイトルからすると他愛もない話のような気もするが、そんな事はない。
蟹江敬三さんが、悪役の主役だということからも判るだろう。
自転車の動きが効果的に使われて、"躍動感”に満ちた作品になっており、
ギャングと少年の「追い駆け」もスリリングで見ごたえがある。
この「躍動感」を高めたのは、 何と言っても「劇伴」の素晴らしさ!!
これは、蟹江敬三さんが「黒谷町の望月源治」の前に出演した作品である。
そして望月源治以外の役は、Gメン75ではこれが最後との事である。
(KAJITA巡査さんのHP参照)
2.自転車好きな少年 奥沢啓太
父親 貢、母親 ひさの息子。
ゲストの少年は、じつに爽やかで感情豊かで気持ちよい。Gメンのゲストとなった子役の中でも屈指だと思う。
母子家庭になったあとも、子供ながら懸命に生きている。
父親の貢が倒れたあと、自転車の回転が徐々に遅くなって止まり、死んだという演出がされている。
<余談だが>
以前に見た、往年の名作「無法松の一生」の演出。彼の漕ぐ人力車の車輪が
回転が何度も出てくるが、無法松が死んだ時に、その回転が静かに止まっていく。
このシーンを思い出してしまった。
3.3人組の銀行強盗
荒っぽい岩館(蟹江敬三)と、おっちょこちょいな金森、そしてしたたかで勝気な朱美(内藤杏子)。 この3人組みの銀行強盗はユニークである。
蟹江さんが、この女にまったく頭が上がらないのも面白い。
黒谷町がなければ、Part2を作って欲しかったとさえ思う。
彼らは抜けていそうで、なかなか頭脳的でもあり犯行はスピーディである。
自転車の特性と長所を生かした犯罪であり、、蟹江さんが自転車で疾走するシーンは、臨場感に溢れスピード感がある。いかにも速そうに感じる。
元競輪選手だという設定だが、2人ともいかにもそんな風に見えてしまう。
作品もまるで自転車を漕ぐようにテンポが速い。
金森のセリフ−−−「ごめんで済んだら、警察いらんのじゃ」
(この有名な日本語は、一体いつ誰が言い出したのでしょうか?)
朱美(内藤杏子)という女がしていたメガネは、ご記憶の方も多いと思うが、
266話「殺人暴走オートバイ集団! 三途の川」で吹雪刑事がしていたものと多分同じだと思う。衣装も似ている。
参考ながら、蟹江さんと言えば「望月源治」が思い出される。
スイカを食べながら、銀行強盗の作戦を練っているが、
この"スイカ”は、数話のちに登場する「黒谷町」でも、重要なイメージ
として利用されている。
4.中屋警部補の活躍
中屋警部補は、いかにもGメンというイメージがする刑事で正義感あふれる
男である。 頼りがいのある兄貴というイメージ。
1年前の事件での、少年との家族との出会いと重責を感じる中屋。
少年の隣人に関する言葉を信じて、ドアをノックする。
中屋警部補は少年とカキ氷を食べなから、少年と心を通わせようとしているが、
80年度になってから、このようなさりげない飲食シーンが時々ある。
他のGメンの島谷刑事・田口刑事らは吹雪刑事とともに、犯人が現れるのを
見張る。
5.吹雪刑事の活躍
吹雪刑事の主役ではないが、それなりの見せ場はある。
吹雪編の17話目。
1)銀行強盗のビデオにより、犯人の映像を
立花警部とビデオ確認するが、そのシーンはなくGメンたちに報告する。
このピデオ写真によって、犯人の手掛かりをつかむ。
2)少年の言葉から、犯人逮捕の手掛かりを
怪我をした、中屋警部補の看病をする吹雪刑事。(下の右側の画像)
その後の少年との会話から、吹雪杏子は犯人逮捕の重要な手がかりを得る。 (右上の画像)
その瞬間に、杏子の眼光は強い光りを放った。
3)Gメン車の中での張り込み
少年の言葉に犯人逮捕の期待を込めて、吹雪刑事は、島谷刑事・田口刑事・少年とともに張り込む。(右の画像)
この後、少年は吹雪刑事らにパンと牛乳の差し入れをする。
(下の中央の画像)