271話 警視庁パトカー盗難事件

(注:ストーリーが判らないように解説していますが、ネタバレの内容は含んでいます)

<予告編のナレーション>

ハードボイルドGメン75 次の活躍は、

パトカーが盗まれ、現金輸送車が二人組の強盗に襲われた。
しかし意外にも、発見されたパトカーに手つかずの現金。
犯人の狙いは何か?

浮んだ容疑者はなんと捜査課長の息子。
親子の屈折した心理の影に、復讐の怨念が燃える。

次は、「警視庁パトカー盗難事件」

     <監督:堀 長文、 脚本:高久 進>

1.作品について

立花警部の主役作品。
事件は、警官のミスから発生する。

冒頭からGメン75で田舎の山が出てくると、不気味な感じがする。黒谷町などのイメージがあるせいか?

監督の堀長文さんは、80年度だけが6本と多く、その作品には 「278話 エマニエル連続殺人事件」 「283話 オホーツク海の幽霊船」 などの傑作がある。

この作品は「18話」のリメイクである。(細かな箇所はかなり違っているが)
18話は初期の力作であるが、こちらも堀長文さんの重厚な演出が冴えている。
また犯人の人物描写は、18話はあまり触れていないが、この271話では鮮やかに描かれている。

なお「18話」のラストでは、
「Gメン」という言葉の発祥となった、ギャングの大物マシンガン・ケリーがFBIに叫んだという 「撃たないでくれ、Gメン」 と同じ言葉を犯人に叫ばせているが、271話にはない。

2.犯 人

森の中から、盗まれたパトカーが現れる場面は、異様な雰囲気につつまれていた。草等をのせたまま走り出すシーンの演出も凄みがあった。

三千万円を強奪しながら、そのまま放置する犯人。
ここに、この作品の大きなひねりがある。

3.重光巡査・杉野巡査

片岡五朗さんらは、パトカーの盗難にあい捜査をするが、結局パトカーが放置されていてので喜ぶが、北山警部にまたも叱責される。


4.捜査課長 北山警部と息子

北山警部を演じた西沢利明さんは、最初からいつも以上に力を込め、怒鳴って指示をしているなとは思ったが、意識的にされていることがわかった。
最初は小さめの声だが、急激に大きくして最後は爆発するような怒鳴り声で叱り飛ばす。

息子の達也(川上伸之さん)に拳銃を向けて、そのあと的に拳銃を向けた腕を立花警部が押さえて発砲させていない。
しかし、シナリオでは標的に向かって撃っている。 なぜ本編では的に向けての発砲を止めさせたのか? 

妻が殺されてから、非常に厳格な刑事になり、小さな犯罪も見逃さない鬼刑事に代わったという。
息子にもつらく当たりすぎているようだが、母親を急に亡くした息子もつらいはずで、段々と心が荒れてきている。

北山警部は車から指紋は出ないと断言しているが、パトカーを盗むときは素手だったから指紋がどこかに残っていそうな気がする。


5.立花警部の活躍

  立花警部の同僚の関係する作品。つまり同僚が事件にからむ。
  同僚のために、事務解決に奔走する立花警部。
  しかし容疑者は思わぬ人物。

  北山警部と2人で後ろを向いて、サングラスを睨むシーンが印象的。
                                    (右の画像)
  珍しく立花警部の食事シーンがある。(下の右側の画像)
  他の刑事ドラマのように、刑事部屋で"丼"や"そば"を食べるシーンは
  皆無だが、ちょっと食べるシーンが時々登場する。


6.吹雪刑事の活躍

立花警部の主役作品だから、活躍は少ない。
しかし出演はそれなりにある。たとえば、

1)被害車の調査
    他のGメンたちと被害にあった車を調べる。

2)アイスクリーム屋
    アイスクリーム売りのおじさんに、前日の追突事故の話を聞く。

3)ラストの追撃

立花警部らGメンたちが猛然と追いかける。
吹雪刑事も追いかけ、立花警部の射撃により立ち止まった、重光を島谷刑事とともに捕まえて、吹雪刑事が手錠を素早く叩き込んでいる。

しかし台本では、追撃と手錠を叩き込むシーンは他の刑事になっている。それが現場で急遽、吹雪刑事がやることになったようだ。

だからだと思うが、中島はるみは走り易い靴を用意していなかったようで、線路の上は砂利が多く走りにくいが、その上を吹雪刑事は踵が高い靴で走っているが、最初は走りにくそうだった。
しかし島谷刑事と併走するシーンでは、慣れたのかかなり軽快に走っている。




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