274話 東京原宿族 この夏の犯罪

(注:ストーリーが判らないように解説していますが、ネタバレの内容は含んでいます)

<予告編のナレーション>

ハードボイルドGメン75 次の活躍は、

シャブの取引現場をおさえる、Gメンの手から逃れた仲間の女は、
Gメンの高校の1年後輩だった。

だが、転落の谷間に変身した彼女。
その女のヒモの売人が、Gメンが盗まれた拳銃で射殺された。

逃亡する女の最後のよりどころ。恋人の青年も首吊り自殺。
その影に潜む犯人にGメンの怒りは爆発する。

次は、「東京原宿族 この夏の犯罪」

     <監督:鷹森立一、 脚本:西島 大>


1.作品について

 田口刑事と吹雪刑事の2人主役。
 吹雪刑事は、幾度か田口刑事と共同捜査をするが今回もその作品。

 田口刑事の高校の後輩がシャブの売人として登場する。
 予告編で、中原朱美が黒を背景に、拳銃を発砲するシーンは印象的かつ
 不可思議なシーン。

 この作品では、原宿などの当時の竹の子族の熱狂振りが窺われる。
 またここ数編の作品は、当時流行している歌が流れることが多い。

   余談だが、
    作品中で語られる「1979年に、覚醒剤で検挙された件数が3万件以上」
    という数にビックリした。 但し今は何件なのかは知らないが。



2.シャブの売人 中原朱美

Gメンはシャブの取引現場を急襲したが、吹雪刑事に追い詰められた女は"砂”を投げつけるという奇策で逃亡してしまう。

その売人の女”中原朱美”は、田口刑事の高校の後輩だった。
自らは婦人警官を志望したのだが、挫折して喫茶店で働いていた。
現状に不満を感じて逃避したかったのだろう。その心のスキを突かれて谷底に
転落していく。

その行き着く果ては、信頼を寄せて高校時代に世話になった田口刑事からも
逃亡することになる。 2年間に変貌を遂げた朱美はどこへ行くのか?

ゲストに梅津栄さんも登場しており、傷心の朱美を優しくかばうシーンもある。

当時のTVガイドでは、朱美を演じた星野真弓さんは「今までの役と違うのでやりがいがあります」と言われていたが、本人にとって撮影は相当に厳しかったようである。

  (余談だが、「朱美」という名前は少し珍しいと思うが、この名前で印象に残るのが
   吉川英治の名作「宮本武蔵」で、武蔵にからむ女の1人がこの名前だった。)



3.朱美の恋人

朱美が頼りにして、心の支えにしている誠実な男。
絵描き志望で、パリへ勉強にいくのが夢
  (Gメンには絵描きの志望の人間が何度も登場し、パリへ行きたがる)

その山根昇を演じるのが石田信之さんだが、田口刑事が「昇」と呼び捨てにするのだから、同年齢だろうが、ちょっと年齢差がありすぎのように思う。

 注)予告ナレーションの原稿ミスだと思うが、恋人は首吊り自殺ではない。



4.悪党 根岸

  覚醒剤の売人の根岸(成瀬 正さん)。

  最初は優しそうに近づき、普通の人間を悪に染めていく。
    (但しこの男は恐そうなので、見れば判りそうな気もするが、ドラマなら
     これくらいの風貌が丁度いいのだろう)
  成瀬さんは、いかにも悪党面を備えた貴重な俳優である。

  黒幕の方も、また個性的で貴重な俳優であるが。


5.田口刑事、Gメンたちの活躍

Gメンは、覚醒剤の売人としてマークしていた哲 (中田譲治さん) と雄次の2人を取引現場に急襲して逮捕する。
しかし女は逃亡、その後の追跡時に田口刑事は不覚をとり拳銃を奪われる。

しかしその直前に、売人の女を追いかける時の田口刑事は、焦らずにさりげなく近づいていくのは、さすがだと思う。
ところが、女は相手が刑事だと知っていたのである。なぜなら、、、

田口刑事は、吹雪刑事がGメン本部に連絡するのを待ってもらい2人で捜査をしてから、本部に届ける。それまでの拳銃盗難にあったGメンに比べると、本部への報告は非常に早かったのではあるが、、、

田口刑事は捜査の合間に、吹雪刑事から現実を見つめるように言われるものの 以前の彼女を知るために、なかなかその気になれないでいる。
そして、真相を知った田口刑事の犯人への怒りは爆発する。

Gメンたちの、今回の取り調べは、いつも以上に激烈だった。
ネタバレのため詳細は書けないが、人間心理を突く上手い作戦ではあるが強烈だった。

ところで、田口刑事は244話「女教師の殺人!」で山梨の高校に転向しているので、疑問も残る。


6.吹雪刑事の活躍

吹雪刑事は、田口刑事と2人で共同捜査をする。
杏子は、田口刑事を励ましながらも、彼の高校の後輩の行動を追求しなければならなくなる。

1)追跡

Gメンたちは覚醒剤の取引現場を急襲し、吹雪刑事は逃亡する女を追いかける。
吹雪刑事は走るのが速い。 女との差をグングン詰める。
ところが女は予想もしない反撃をする。 なんと植木の砂を撒きつけるという奇策に、吹雪刑事は目に砂がはいり、逃げられてしまう。

せっかく後一歩まで迫り、追いついたならば、簡単に逮捕できただろうに残念。
吹雪杏子の合気道が見たかったが仕方ない。

2)仲間の拳銃盗難

田口刑事の行方を追った吹雪刑事は、女が田口刑事の拳銃を盗むのを目撃する。

吹雪刑事は駆け寄るが、倒れた田口刑事の容態が不明なうえに、女が田口刑事を倒したとは思えないため、近くに男が潜んでいる危険を感じて、田口刑事のそばから離れられなかった。

3)似顔絵

朱美(星野真弓)が住んでいたアパートの管理人(十勝花子さん)から、容疑者らしき男の顔を、吹雪刑事は目撃者から聞いてスラスラと似顔絵を描く。
その女が「上手なもんですねえ」というほどだから、あっというまに描いたのだろうか。

他のGメンでは似顔絵は、津川警部補だけが描いていたが、今回は吹雪
杏子がその能力を発揮している。

4)捜査

覚醒剤の取引現場から逃亡した女としか知らない吹雪杏子は、冷静に現実を見つめ、田口刑事にも話すが、以前の彼女を知る田口刑事は、その女性をなかなか疑えない。

田口刑事の、「まだ彼女とは決まってないさ」 に対して、
吹雪刑事はやむを得ず、「いえ。私は見たんです」 と明確にきっぱりと話し
現実に目覚めさせようと努力する。    (右の画像)

また吹雪刑事は、「女の子は、2年も経つと変わります。」とも言った。
屋上で悩む田口刑事のそばに行き、慰めようとする吹雪刑事。

「現場検証」 「聞き込み」、等々の捜査を、吹雪刑事は田口刑事とともに行なっていく。

5)吹雪刑事のファッション

吹雪杏子は作品によって、基調となる色を赤や青と変えているが、この作品での杏子は、白の基調で統一しており、魅力的なファッションでカッコイイ。
それにしても、中島はるみはどの色でも良く似合う。




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