278話 エマニエル連続殺人事件
<予告編のナレーション>
ハードボイルドGメン75 次の活躍は、
エマニエルと呼ばれる、華やかなファッションデザイナーが起こした、
交通事故の秘密を知ったため、殺される不安を訴えた一通の密告状が
引き金となって、ファッション界を揺るがす、連続殺人事件発生。
クビにされた元マネージャー、そして新しいマネージャーも、
さらにデザイナーのアシスタントの女性が、次々と殺され、
Gメンの捜査は霧の中へ迷い込む。
次は、「エマニエル連続殺人事件」
<監督:堀 長文、 脚本:池田雄一>
1.作品について
ミステリー作品として、古典名作のような雰囲気が漂う見ごたえのある傑作。
吹雪刑事の主役で、前半は田口刑事、後半は立花警部も活躍する。
ゲスト女優も魅力的で、中島ゆたかさん、水原麻記さん、原良子さん、らはいずれもメインゲストを演じられる女優ばかりの競演である。
ある密告状が警視総監宛に届いたことから、事件は始まる。
犯人の用意周到な計画と実行力は大したものだが、杏子らGメンたちは
様々な人間模様を間近に見ながら推理を展開し、少しずつ解決に迫っていく。
監督の堀長文氏は、Gメン75では80年度だけが6話と多く、力作を世に送り出している。
この作品も、283話「オホーツク海の幽霊船」などとともに、重厚なつくりで見ごたえのある作品となっている。
2.高級洋装店
(高級洋装店という呼び名は、今も使われているのかな?)
有名なファッションデザイナーと、そこで働く人々のそれぞれの野望が事件を起こし、さらに重大事件へと拡大していく。
高級洋装店「創(そう)」を開店し、順調に軌道にのせている一流デザイナーの通称「エマニエル島崎」。彼女を演じるは中島ゆたかさん。
彼女は、これまでGメンにはゲストで何回も出演されているが、通常は笑顔をあまり見せない。しかしこの作品の冒頭では何度か笑顔を見せる場面がある。彼女は善悪の色々な役をされているし、あの氷の美貌からは彼女の本心を読むことは不可能である。
しかし以降は、クールな彼女に戻り、グイグイとドラマを進めていく。
ところで、中島ゆたかさんは、Gメン75の121話 「パトロール警官と女性連続殺人の謎」 で、「江間(エマ)香子」 という役を出られていた。今回の作品に中島ゆたかさんが出られることになったのは、やはりイメージ的にエマニエルというイメージが合うのだろうか?
チーフデザイナーの坂井亜紀を演じる原良子さん (左の画像) や、小杉リョウコを演じる水原麻記さんも、いつもは悪女が多いが今回はどうなのか?
3.マネージャー
エマ島崎の、元のマネージャー三浦真治(堀内正美さん)と、新マネージャー(右の画像)松川との関係が、事件の大きな要素になっている。
(新マネージャーは255話「女が掘った落とし穴」にも出演されているので、
恐らく加藤和夫さんだと思うのだが)
新マネージャーにエマ島崎は、なぜか弱みを持っている。
4.Gメンの活躍
黒木警視正以下のGメンたちは、それぞれに推理をめぐらす。
田口刑事と吹雪刑事は、共同捜査を何度もおこなって事件解決に奔走する。
立花警部も推理を展開し、吹雪刑事と容疑者を訪ねて真相に迫っていく。
立花警部が、エマ島崎の取調べをする際に、上着を脱ぎネクタイを緩めて臨戦態勢に入っており、緊張感が漂ってくる
そしてラストは立花警部が、犯人に対して犯行の解き明かしをして締めくくる。
5.吹雪刑事の活躍
吹雪刑事と立花警部の2人主役で、全編にわたって活躍する。
1)エマ島崎の店へ
吹雪刑事は田口刑事と婚約者を装ってエマ島崎の店を訪れ、さりげなく店員の指紋を取る捜査をするが、そこで2人は疑問を持つ光景を目にする。
衣装のラフスケッチを吹雪刑事は渡しているが、それを書いたのは杏子なのだろうか?
2)坂井亜紀の自宅へ
吹雪刑事は田口刑事とともに、チーフデザイナーの坂井亜紀の自宅を訪れる。死体を発見する。
シャワーが出ているのに返事がなく、死体がある可能性が高いが扉を開けたのは、男性の田口刑事ではなく女性の吹雪刑事である。
タフな吹雪杏子ならではだと思う。
さらに吹雪刑事は、その凶器が洋裁に使う「鑿(ノミ)」であることを一瞬で見て取る。
3)新マネージャー松川の自宅へ
杏子は田口刑事とともに、マネージャーの松川の自宅を訪れている。
4)鑑識課
鑑識課を訪れ、指紋の照合容疑者の絞込みを行なう。
5)再度、エマ島崎の店へ
吹雪刑事は、容疑が出てきたエマ島崎を、立花警部と店に訪れている。
以後も彼女は、この店を訪れることになる。
ラストの解決場面の美味しいところは、立花警部が持って行ったが、
ぜひ吹雪刑事に締めて欲しかったと思う。