298話 ヌードカメラマン殺人事件
<予告編のナレーション>
ハードボイルドGメン75 次の活躍は、
売れっ子のカメラマンとモデルの女との情事。
カメラマンの妻と、ホストクラブのホストの情事。
デートから帰宅したカメラマンが何者かに殺された。
カメラマンの恋人はベテラン刑事の娘で、
現場の鑑識写真にあった、証拠物件の一つ、ブローチが消えた。
だがブローチを売った店のマダムが
Gメンの聞き込み捜査前に殺され、
捜査を先回りする犯人の素早い犯行の謎。
次は、「ヌードカメラマン殺人事件」
<監督:堀 長文、 脚本:西島 大>
1.作品について
主役は立花警部であるが、もう一人の主役は犯人である。
冒頭から、犯人が事件を起こすところからドラマは始まる。
犯人側から見た、事件とその捜査を描いた異色作。
犯罪を犯してしまった人間が陥る恐怖と、そこから逃れようとする人間の
異常な姿を描く。
そして厳しく迫るGメンの捜査との、息詰まる対決。
吹雪刑事は知らずに犯人と接触することに。
今回も豪華なゲスト陣が、重厚さと緊迫感を盛り上げ、
西島大、堀長文、下村和夫らスタッフ陣による、見ごたえのある作品である。
とくに今回は、下村和夫さんの撮影が素晴らしいと思う。
2.犯人 宇野刑事
冒頭、宇野刑事が殺人事件を起こすところからドラマは始まる。
つまり最初から犯人がわかっており、その後の犯人自身の心理状態と行動が描かれる。
そもそも事件は、宇野刑事に殺意はなく、単なる事故であった。
しかし宇野刑事には、事件を正直に言えない心の弱さがあった。
もちろん正直に話せば、警察はやめなければならないだろうが。
人間はミスを隠そうとするために、より大きな犯罪を犯しやすい。
ありがちな行為だが、宇野刑事は異常な行動へと駆り立てられていく。
宇野刑事を演じるのは横森久さんで、Gメン75では、草野刑事の降板編と、
221話「海抜3170米の空中ブランコ」での山男が、印象に強く残っている。
3.宇野刑事の娘
娘を演じる佳那晃子さんは美しく華やかであるが、淋しそうな表情が
上手く生かされている。
父親の宇野刑事との親娘仲は良く、お互いを思う愛情に溢れている。
ひょっとしたら、父親が少し厳しすぎたのだろうか?
4.カメラマン牧村と妻
牧村は生意気で、好き放題に人生を楽しむ男。
妻の浮気も黙認する代わりに、自分も浮気する男。
妻・春代を演じる原良子さんには、独特の雰囲気がある。
美人だが冷たく、夫婦生活を打算で割り切っている。
このままなら、いずれは破局が待っていたと思う。
牧村光次を演じる佐古雅誉さんは、284話「金髪女性バスルーム殺人事件」でも、
カメラマン役で出演されており、外人モデルの写真を撮りまくっていた。
このときもしゃべり方に特徴があった。 今回は違う感じだが、やはり歯切れが良い。
原良子さんは、Gメン75ではゲストとして良く出演されている。
この当時の作品では、278話「エマニエル連続殺人事件」があった。
5.ホスト 正司
カメラマン牧村の妻は、ひいきのホスト 正司を家に呼び入れる。
正司は、ポール牧さんが演じているが、演じていると言うより普段のままではないかとも思えてしまう。
この正司は殴られたり、その後もとんだ災難を味わうことになる。
「AB型の持ち主は、何百万人も いるんじゃないかしら」
など、懸命の抵抗をする。
6.Gメンたちの活躍
事件の最初から、Gメンたちを指揮する立花警部。
所轄の宇野刑事とも、捜査上での接触を何度もする。
宇野刑事の捜査のやり方、取調べ、言動をつぶさに見る立花警部。
視聴者は犯人が判っているが、立花警部は一体いつから宇野刑事を疑いだすのか?
懸命に逃れようとする宇野刑事に対し、立花警部を中心とするGメンの息詰まる対決が見ものである。
ラストは、立花警部に見せ場がある。
他のGメンの活躍は少ないが、田口刑事が助手席から髪の毛を発見する。
7.吹雪刑事の活躍
吹雪杏子は主役ではないが、出演シーンは何度もある。
1)宇野刑事との共同捜査
宇野刑事は、共同捜査の相棒に吹雪刑事を希望する。
吹雪刑事との捜査中に何かするのか、狙いがあるのか?
それとも、娘と同年齢である杏子に、親近感を感じているだけなのか?
その後、吹雪刑事は、家から出てくる娘の言動に不審を感じ取る。
2)牧村春代の捜査
牧村の妻の態度に疑問を感じ、杏子は純粋な気持ちをぶつける杏子。
3)捜査報告
吹雪刑事は、立花警部にホスト正司の一件や、
黒木警視正に、宇野刑事の娘についての報告を行なっている。
ところで、
宇野刑事に 「罠」 を掛ける場面があるが、非常に危険なため、通常なら
吹雪刑事がやるはずだが、劇的効果を上げる為なのか、そうはしていない。