302話 露天風呂に浮かんだ白い死体
<予告編のナレーション>
ハードボイルドGメン75 次の活躍は、
長野県黒谷町で発見された、バラバラ死体。
害者は、凶悪殺人強盗三人組の1人と判明。
Gメンの同僚で、殉職した刑事の妹が、可愛がる子供をつけねらう謎の女。
旅回りの女剣劇の座長が、胸に秘めた母親の悲しみ。
山小屋に潜む犯人と、壮絶な闘いを続けるGメンから
ひそかに去っていった、女の切ない哀愁。
次は、「露天風呂に浮かんだ白い死体
<監督:小松範任、 脚本:高久 進>
1.作品について
黒谷町シリーズの第7話。
80年度における最後の黒谷町作品。
ドラマは鶴丸光代とタマエの2人を中心に描かれていく。
黒谷町としては迫力不足は否めない。7作目だから仕方ないかも知れないが。
特に今回は、望月源次と関わりの無いメンバーだったから余計にそう感じる。
脚本の高久進さんと監督の小松範任さんで、シリーズ全作品を作られているのは、シリーズが変化しないようにという配慮からだろうが、さすがに黒谷町シリーズも難しくなってきている。
高久進さんは今回こそ、シリーズの幕引きをするつもりだったように感じる。
以後もシリーズは作られるが、これまで5〜6作毎に作られていたが、
次回は、13話目と極端に遅くなっている。
(黒谷町シリーズは、Gメン82の最後から2作目で、ついに幕が降ろされる)
2.鶴丸光代と母タマエ
望月源治の娘かよが、仲良しのひろみが遊んでいると女が来た。
その女は、ひろみの母親の鶴丸光代だった(三浦真弓さん)
若い頃に、家を飛び出したが、いまは全てを後悔している。
母親に会いたい一心を、片桐ちぐさに訴えたことから、事件が複雑になっていく。
光代の母親が、女剣劇 鶴丸たまえ一座の女座長、タマエ。
芸者の役名と本名が同じ苗字である。
3.片桐ちぐさ
滝の下の露天風呂で鞄を拾い上げる。これが事件の発端となる。
シリーズでは珍しく、今回は片桐ちぐさ(島かおり)とは直接関係が無い事件である。
容疑者の光代から物を預かったが、殺人事件にその女性が絡んでいると聞いているから、ヤバイ物ではないかと思うはずだと思う。
立花警部なら悪いようにはしないはずだと判っているだろうに、あの行動は理解できない。
4.望月かよ
今回の出演は多くないが、独特の印象深い演技をしている。
KAJITA巡査さんのHPのシナリオ検証によると、脚本の高久進さんは、
前回は、かよが病気で亡くなる設定にしていたが、
現場スタッフは生き残るストーリーに変更した。
今回は、かよを鶴丸タマエが引き取ることにして、立花警部の前から姿を
消す設定にされていた。
しかし、現場スタッフは、かよが立花警部から離れないように変更した
高久進さんは、黒谷町シリーズの幕を降ろそうとしている。
望月源次の娘かよを立花警部の前から、姿を消すように何度も台本を書いているのだが、
現場スタッフは、かよをどうしても残したいようで、再び変更している。
(現場で、望月かよを演じる石井亜希子さんの魅力に、触れているかことによると思える)
7作目になるシリーズだけに、両者ともに行く末を悩んで葛藤している姿が目に浮かぶようである。
5.凶悪三人組
3人の武器は源次と同じ手斧で、全員が凶暴な強盗。
根岸儀平(三重街恒三さん)
松浪健(塩見三省さん?)
赤間徳次(?)
残酷で凶悪なシーンも描写され、凶悪犯が3人ということで、数のパワーで盛り上げようとされているが、犯人を3人にしたのは、逆効果だったと思う。
凶悪犯は1人とし、その1人が類まれな凶悪度をもっている方がより高い緊迫感が生まれると思う。
6.Gメンたちの活躍
黒谷町シリーズだから、もちろん立花警部の1人主役。
立花警部は、7度目の黒谷入りとなる。
立花警部は、ラストでは思いもよらぬ展開に途方にくれてしまう事になる。
ちぐさに言った、
「今度の事件が片付いたら、一緒に東京に行くんだ」
と言う言葉が耳に残る。
7.吹雪刑事について
黒谷町シリーズは立花警部の主役で、吹雪刑事はワンカットのみの出演。
黒木警視正以外には、吹雪刑事も誰にもセリフもない。
中島はるみは、300回記念の2部作の1人主役の撮影をしていたから、この作品は別班が撮影していたのだろう。