仮面ライダーを記録した最古のスチールであるこの1枚は、おそらく1971
年1月にエキス・プロダクションで撮影されたものである(画像1)。
水粘土で彫塑された仮面ライダーのマスク原型に手を添えているのが三上
陸男氏、中央が故・折田至監督、監督の後ろにもう一人いらっしゃるのだ が、どなたかは不明。スチールを見るかぎり三上氏は実際に彫塑している のではなく、スチール撮影のための演出としてマスク原型に指先で触れて いるだけだと思われる。
注目すべきは覗き穴の形状が三上氏によるデザイン画(画像2)ではなく石
森章太郎氏によるデザイン画(画像3)に従っている点である。
この時期に何故、遡って石森氏によるデザインのまま彫塑されたのかは不
明だが、周知の通り、覗き穴の形状は最終的には三上氏によるデザインの もので決定となっている。
それは旧サイクロン号のカウル側面に描かれた赤い意匠の形状に類似し
ているのだが、最初のマスク(旧1号のFRP製の所謂Aタイプのマスク)に 実際の覗き穴として使われていた部分の形状は、石森氏デザイン画の通り 丸い形の部分だけだったようである(画像4)。
ところで、このスチールの撮影者は誰か?平山亨先生という説が有力なの
だが確定はできていない(この点について、私はこれまで平山先生になん どかお伺いしてみたのだが、平山先生が特定のスチールを指定して御自身 による撮影だと仰られたことはなかった。
ただし、それが御自身によらないと仰られた訳でもない)。
スチールの画面を見ると背景はフォーカスが外れ、ぼやけている。
これはストロボ等を使わずに室内の照明のみで撮影しようと、撮影者がレ
ンズの絞りを開きぎみにしためだと思われる。
素人によるスナップ写真でない事だけは確かだ。
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