新・仮面ライダー考証学 9

第1話でのFRP製Aタイプ・マスクを検証する際、無視できないのが撮影終
盤でクラッシャー上部左側面についてしまった大きなキズに関してである。

   画像1

画像1)は生田スタジオから近い多摩川の二ケ領上河原堰で撮影されたと
思われる16mmフィルムからのひとコマである(旧考証学で、私はこのクラ
ッシャー上部左側面のキズについて小河内ダムでのロケ中の破損かもしれ
ないと書いた。しかし、右の耳当ても無くなっている事実からダムでの撮影
ではなかったと判断し、訂正したい。
二ケ領上河原堰での蜘蛛男とのアクションにはすべてラテックス製のマス
クが使用されており、何故このようなキズが生じたかは不明だが、ダムでは
なかったという事は確実である)。
このキズは生田スタジオでの変身シーンのバンク・フィルムでも確認する事
ができる(画像2)。

   画像2

さらに第2話「恐怖蝙蝠男」では修理されて凹みは無くなっているものの、そ
の痕跡は判別できる。また、制作第3話「人喰いサラセニアン」撮影時のも
のと思われるオープニングの、メインタイトルがクレジットされるマスクのアッ
プのカットでも、この補修された痕跡ははっきりと確認できる。

こうしたマスクの部分的な破損と修繕の経緯だけならば、その検証には何
の問題もないのだが、未解決なのは変身シーンのバンク・フィルムに登場
する旧サイクロン号のカウルに関してである(画像3)。

   画像3

仮に第2NGタイプのスリット下部を復元したとするならば第3NGタイプとも
呼べる訳だが、それではライトまわりの隙間が補修されていない事実の説
明がつかない。
かつてはこの部分の辻褄を合わせる為に旧サイクロン号2台説が語られて
いた訳である。しかし、旧サイクロン号は1台しか存在していなかった。私の
考えとしては、変身シーンのバンク・フィルムはいちどきに撮影されたので
はなく、竹本組の撮影の合間を使い、折田監督によって分割されて撮影さ
れたのではなかったか、というものだ。

フロントのスリット下部は第1NGタイプに似せて復元された第3NGタイプな
どではなく、第1NGタイプ完成直前のまさに新品状態の旧サイクロン号だっ
たのである。
この後、ライトまわりの隙間をパテで補修して完成となり、小河内ダムへと
運ばれたのだろう。
スリット下部はカウルの一部として一体の原型が造られていたのではなく、
もともとこのような別パーツだったのである(画像4)。

   画像4

このように解釈をすれば時系列に沿ったオーダーが完成をするのだが、そ
れが正解かどうか、私にも確証はない。



トップへ
トップへ
戻る
戻る