新・仮面ライダー考証学 10

旧1号のFRP製Aタイプ・マスクの映像として、ファンに最も馴染み深いのは
オープニングのタイトル・バックとなっているアップのカットかもしれない。




このカットのマスクの状態を確認すると、クラッシャー上部左側面のキズを
補修した痕跡があり、耳当ては左右共に揃って元通りに取り付けられてい
る。
触角アンテナは第1話の状態よりも短くなり、先端には円盤状の突起が復
活して付いている。
クラッシャー下部はラテックス製ではなくFRP製の方である。演技者は覗き
穴から透けて見える素顔の目の印象から室町健三氏ではなく藤岡弘、氏だ
と思い、扶桑社での取材の際に藤岡氏にDVDの映像を確認して頂いたと
ころ、そうだと仰られていた(オープニング冒頭に編集されているお台場で
のロングショットのフィルムに関しては、室町健三氏がラテックス製のマスク
を着けて仮面ライダーを演じている)。
さらに変身シーンのバンク・フィルムについても伺ってみたところ、やはり藤
岡氏御自身が仮面ライダーを演じていらっしゃって、夜遅くに撮影したもの
だと憶えていらっしゃった。

さて、メイン・タイトルのバックに使われているAタイプ・マスクの撮影時期は
いつなのか?
マスクの状態から判断すると、二ケ領上河原堰での蜘蛛男との最終決戦の
撮影よりも後であり、さらに旧サイクロン号が復帰している事実から第3話
以降となる(第2話の撮影期間中には第2NGタイプの状態からカウル下部
を切除する改修を受けていた)。
そうなると折田氏が監督した第3話「人喰いサラセニアン」のBパートで、ア
ジトを襲撃した本郷猛が仮面ライダーに変身してサイクロン号で戦うシー
ン。
このシーンの撮影時に合わせて撮影されたと考えるのが最も自然だと思わ
れる。
因みに本編でサイクロン号に乗ったまま戦闘員と戦う仮面ライダーを演じて
いるのも藤岡弘、氏だと思われる(大橋氏とは体格が明らかに異なるし、バ
イクの扱いが室町氏らしくない)。

残念ながらこの時のロケには講談社・大島カメラマンは同行しておらず、毎
日放送その他によるスチールも残されていない。

天気もよく面白い絵づくりが可能だったと考え、DVDをコマ送りしながら残
念な思いが募った。

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