新・仮面ライダー考証学 11

旧サイクロン号(第1NGタイプ)は走行中にカウルの下部がフロント・タイヤ
に接触したためにスリット下部が破損。
改修を受けた第2NGタイプでもその問題は解決されなかったため、第2話
撮影時にカウルの下部を全面的に切除するという大改修が行なわれた。
これは素人が想像する以上に大変な作業であって、単にその部分を切れ
ば済むという話ではない(そもそもFRPを彎曲した曲線で切ること自体が容
易ではないが)。
切断面の見栄えを良くするために再度部分的な成形が追加され、塗装が
行なわれている。
カウル側面の赤い意匠の境目がぼやけているのは、マスクをしないで赤の
上から白を吹きつけたからであり、この事実が新造したのではなく元のカウ
ルを改修した事の証拠にもなっている。
このような苦心の末にようやく完成した旧サイクロン号であったが、その登
場シーンは驚くほど少ない。
完成直後の折田監督による制作第3話でこそ活躍の場を得ているが、竹本
監督による制作第4話では1カットのみで(変身シーンのバンク・フィルムを
除く)、これでは講談社のスチール撮影のために館山まで運んだようなもの
である。
制作第5話では蜂女との最終決戦に赴いた三栄土木でわずかに使用され
たただけ。
制作第6話でもまったく使われず、制作第7話でも三栄土木での2カットの
み。。
制作第8話の大阪ロケでも琵琶湖畔を走行しただけだった(オープニングで
使用)。結局、旧1号編で旧サイクロン号かそれなりの見せ場をつくったの
は第11話でのゲバコンドルとの最終決戦が唯一という事になる。
ファンならば誰もが本編映像の中で、旧サイクロン号の活躍をもっと見たか
ったと思うのは言うまでもないだろう。
   画像1

画像1)は三上陸男氏によると思われる旧サイクロン号のデザイン画(一
部書籍では石ノ森章太郎氏によるデザイン画として紹介されているが、明ら
かに石ノ森氏の画風と異なる。
三上氏が取材で述べていらっしゃるように、石ノ森氏によるデザインが間に
合わなかったので御自身でデザインをなさった、という方が事実だろう。

興味深いのはRの文字だけが描かれているフロント正面のエンブレム。こ
れにバイク正面をデザイン化した絵を追加
したのが高橋章氏という事になる)。

   画像2

画像2)は制作第4話「怪人さそり男」で館山を走行する旧サイクロンと大
橋ライダー。
講談社によるスチールは残されているが、残念ながらこのシーンの本編映
像はカットされたらしい。
フロント・タイヤがいかに細いかがよく解る。
また、平坦な場所をただ走るだけならば、第1NGタイプのカウルでもタイヤ
に干渉しなかっただろう事が推察される。


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