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その名が第1話のサブタイトルにもなっている蜘蛛男を演じたのは大野剣
友会・現社長でいらっしゃる岡田勝氏である。
私は以前、岡田氏に取材をさせて頂いた際に確認をしたのだが、第1話に
登場する蜘蛛男はすべて岡田氏が演じていらっしゃったそうである。
あの地球儀を廻す手も、岡田氏である。
一方で、再生怪人として登場した際や合同撮影会での蜘蛛男は岡田氏で
はなかったそうで、旧2号編になってからのエンディング、俗に言う「ドボン」 の蜘蛛男も岡田氏ではなかった。
さて、添付画像は第1話の冒頭シーンで黄色い水仙の花の向こうに現れる
蜘蛛男の顔のアップである。
何かお気付きにならないだろうか?
蜘蛛男のマスクや衣裳の製作に関しては、エキス・プロによる造形用のデ
ザイン画は残されておらず(高橋章氏によって怪人のデザイン画が描かれ るようになったのは高橋氏がエキスプロのスタッフとなった制作第3話に登 場するサラセニアンからである)、石ノ森章太郎氏によるイラストが存在する のみである。
撮影用のマスクの製作者は不明だが、当時のエキス・プロの製作スケジュ
ールを記載したペーパーによると1971年2月9日中に完成予定だったも のらしい(それも本来は2月6日中の完成予定だったものが訂正されて9日 へと変更になっている)。
つまり、蜘蛛男のクランク・インは、スケジュール表の通りに行なわれたとす
ると翌日の2月10日だったと思われる。それはどのシーンか?
これはよく知られたエピソードだが、完成した蜘蛛男のマスクは視界が悪か
ったために、岡田氏の独断によって覗き穴をキリで拡げたのだそうである。 その結果、蜘蛛男のマスクの正面に三つある大きな六角形の複眼の下二 つにはそれぞれ13個の穴が開いている。
しかし唯一、穴の数が異なっている(少ない)のが第1話の冒頭のシーンな
のである(添付画像)。 ![]()
私は以前は、左右の複眼に最初から各13個の小さな覗き穴があったの
を、岡田氏が穴の数はそのままで大きくしたのだと理解していた。
しかし、画像から判断する限りそうではなく、岡田氏は穴の数を増やしたの
である。
蜘蛛男の複眼は表側からの押し型によって造られており、覗き穴はそれぞ
れの凹部の底に開けられているため角度によっては隠されてしまう。
そのため映像やスチールによる確認には慎重を要するが、私の知る限り冒
頭のシーンでの水仙の花を前景としたカットのみである(すぐ後の木の葉を 前景としたカットでは、もう穴の数が増やされている)。
結論として、蜘蛛男のクランク・インは、この冒頭の水仙の花の背後に潜ん
でいるカットだと推定できるのだが、そのロケ地がどこであったかは特定が できていない。
因みに富士吉田でのロケは2月9日だという事なので、蜘蛛男の納品が10
日だったとすれば富士吉田ではない。
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