新・仮面ライダー考証学 33

 1971年2月28日から3月1日にかけて、竹本組一行による制作第4話
の館山ロケが行なわれた。
このロケの参加メンバーを確認できる範囲で列挙してみる(敬称略)。
藤岡弘、、真樹千恵子、渚健二(早瀬五郎)、佐野房信(さそり男)、中村文
弥(戦闘員)、大久保利雄(戦闘員)、甘利健二(戦闘員)、大杉雄太郎(戦
闘員)、渋谷秀美(戦闘員)、桑原憲夫(戦闘員)、池田力也(戦闘員)、美川
陽一郎(伊藤老人)、竹本弘一(監督)、塚田正煕(助監督)、篠原征夫(撮
影)、高橋一俊(殺陣師)、河野正俊(制作担当)、伊東暉雄(進行主任)、藤
波マリ(記録)、小山英夫(メイク)、大橋春雄(オートバイ・スタント)、他に東
京衣裳のK氏も同行なさっている。
更に女戦闘員役の女性4名、長浜の交番の巡査、、人喰いサソリに処刑さ
れる囚人を演じた役者(エキストラ?)十数名、大島康嗣カメラマン(講談
社)を加えるとかなりの大所帯である。
因みに、プロデューサーの平山亨先生と阿部征司氏は館山にはいらっしゃ
っていない。

   画像1

この館山ロケに同行してスチールを押さえたのは講談社が唯一であり、既
刊の書籍等に使用されたものだけでも80カット以上ある。
また、撮影スタッフによるプライベート・フォトも残されていて、館山グランド
ホテル近辺で仔犬(ドブーヌ)を抱いたルリ子さんの写真や、東京衣裳のK
氏とルリ子さんが二人で写っているスナップもある。
さて、館山での講談社スチールを検証してみたい。
まず、館山グランドホテル近辺の路上において藤岡弘、氏が変形前のサイ
クロン号を走らせている一連のスチールに加え、渚健二氏のスチールやス
タンドインの大橋春雄氏がカメラマンの篠原氏をシートの後ろに乗せている
メイキング・スチールが残されている。
次に仮面ライダーが戦闘員から伊藤老人を奪還するシーンのスチールがま
とまってあるが、背景に館山グランドホテルが写っているのでロケ地はその
近辺である。

   画像2

また、本郷猛が女戦闘員から襲撃されたホテルの階段や廊下での戦闘員
との対決シーンは館山グランドホテルでの撮影ではなく、竹本組一行が宿
泊した館山シーサイドホテルの館内である。
そして有名な旧サイクロン号と仮面ライダー(藤岡弘、氏)の一連(画像1、
)やさそり男の単体スチールの特写、さらに仮面ライダー対さそり男・戦闘
員の本編スチールが記録されたのは館山グランドホテルの背後に位置す
るサンドスキー場である。
そしてもう一ヶ所、白浜海岸に場所を移しての最終決戦とライダーの単体ス
チール(画像3)、ラストシーンとなる本郷猛と緑川ルリ子が変形前のサイク
ロン号で帰路につくシーンのスチールが撮影された。

   画像3

結局、驚くべき事に、大島カメラマンは長浜の交番以外は、ほぼすべてのシ
ーンにおいて完璧にスチールを押さえている(囚人が人喰いサソリで処刑さ
れるシーンまで撮影現場のメイキング・スチールがある)。
フィルムは本編スチールが35mmであるのに対し、仮面ライダーと旧サイ
クロン号の特写の一連のみ6×6のブローニーが使用されていて、その画
質はオリジナル・ポジをテジタル化した現在ではより一層鮮明なプリントで
見ることが出来る。
以前、大島カメラマンの写真展の会場に飾られてあった大判のパネルを見
た際、私はその美しさに思わず目を奪われた。


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