新・仮面ライダー考証学 36

 制作第5話である「怪異!蜂女」と制作第6話「怪人かまきり男」は、北村
秀敏監督による2本撮りとして1971年3月の上旬〜中旬にかけて撮影さ
れた。
この間、旧1号のFRP製のBタイプのマスクが現場に投入され、サイクロン
号を使用しての変身シーンのバンク・フィルムが新たに編集され、仮面ライ
ダー・シリーズの名ロケ地となる三栄土木とおばけマンションが開拓され、
講談社のスチールとして定番となる生田スタジオの壁の前での怪人の単体
スチールの撮影が初めて行なわれ(蜘蛛男〜サラセニアン、本郷猛単独の
ポートレート、本郷猛対かまきり男の特写)、さらに講談社の特写として仮面
ライダー対蝙蝠男(緑川ルリ子も出演)と仮面ライダー対サラセニアンの撮
影が行なわれ(共に本編での対決シーンが夜間であったため、改めて日中
の対決シーンを特写として押さえたものと考えられる)等々、注目すべき出
来事が少なからずあった。

   画像1

仮面ライダーのFRP製のマスクについては、第5話のAパートにおけるおば
けマンションの夜間撮影がAタイプのみ、第6話のBパートにおけるかまきり
男のアジトでの最終決戦ではA・Bを併用、蜂女との最終決戦とかまきり男
との初戦ではBタイプのみ。
また、蝙蝠男とサラセニアンとの講談社特写では、どちらもAタイプが着用さ
れている。

   画像2

おそらく実際の撮影もこの流れで行なわれたと推定され、即ち、おばけマン
ションでの蜂女の単体スチール(画像1)/旧1号・緑川ルリ子・蝙蝠男の特
写(画像2)→おばけマンションでの第5話本編の夜間撮影→生田スタジオ
近くの空き地における旧1号とサラセニアンの特写(画像3)→かまきり男の
アジトでの最終決戦→生田スタジオ裏手の雑木林でのかまきり男との初戦
→三栄土木における蜂女との最終決戦。

   画像3

つまり、この2本撮りのクランク・インは制作第5話の方が先だったのだろう
が、アップしたのは制作第6話の方が先だった。
そして制作第6話は放映第5話となり、制作第5話は大阪ロケを含む制作
第7・8話の放映が優先されたせいで放映第8話へと繰り下げられてしま
う。
しかし「怪異!蜂女」の作品としての位置を考えると、劇中における本郷猛
と緑川ルリ子の距離感などを考えても放映第8話は不自然であり、本来の
第5話としてこそ観るべきであろう。

『ウルトラQ』や『ウルトラセブン』では本放送と再放送で放映順が改められ
たというような例もあり、『仮面ライダー』でもそうした変更はあっても好いの
ではなかろうか?



トップへ
トップへ
戻る
戻る