新・仮面ライダー考証学 39

 制作第7話「死神カメレオン」と制作第8話「死神カメレオン決斗!万博跡」
は折田至監督による2本撮りとして1971年3月の中旬に撮影が行なわれ
た。スケジュールとしては東京(百村の造成地、生田第一浄水場、寺尾台、
長沢浄水場、生田スタジオ、他)での撮影を先行し、終盤で大阪ロケ(22、
23日)、さらにその帰路において琵琶湖畔でのロケが行なわれている。
この間の講談社のスチールとしては、百村の造成地における本編スチール
と万博跡エキスポランドでの本編スチールと特写、どちらも撮影現場を記録
したメイキング・スチールが含まれる。
また、週刊テレビガイドのカメラマンも百村ロケには同行していて、変形前の
サイクロン号に乗る仮面ライダー、仮面ライダーのマスクを外して頭上に持
ち上げている本郷猛、他の貴重なスチールを残している。
さらに大阪ロケを招聘したMBSでも多数のスチールを記録した。
即ち、エキスポランドでの本編スチール(変形前のサイクロン号で階段を駆
け上がる本郷猛の一連、他)と特写(緑川ルリ子や死神カメレオンの単体ス
チール、他)や千里放送センターの駐車場での特写(本郷猛、緑川ルリ子、
旧サイクロン号、蜘蛛男、蝙蝠男、サラセニアン、カメレオン男)、千里放送
センターで行なわれたプレス・カンファレンスでのスナップ(藤岡弘、氏、真
樹千恵子さん、小林昭二氏、他)。これ以外にも撮影者が誰なのか不明だ
が、生田スタジオのショッカー基地のセットでのモノクロ・スチールが少数な
がら残されている。
これだけ多数のスチールがあるだけに、その中には名作と呼べる作品が何
枚もあり、以下、私の独断でセレクトさせて頂く。

   画像1

画像1)は百村での旧サイクロン号と仮面ライダーをリアから写した講談社
スチール。館山ではこのアングルはなかっただけに新鮮でもあり、文句なし
にカッコイイ1枚である。

   画像2

画像2)も百村での講談社スチール。
瀬島戦闘員の首を締め上げている藤岡ライダー。
この一連のスチールには、藤岡氏がFRP製のBタイプ・マスクを着けている
ものとラテックス製のBタイプ・マスク(赤目)を着けているものの二通りがあ
るのだが、リハーサルというよりはリテイクだろう。

   画像3

画像3)は毎日放送による番宣スチール。
変身前の本郷猛がフルカウルの旧サイクロン号に跨がっているという特写
ならではのシチュエーションである。
藤岡氏がライダーの衣裳を着けずに旧サイクロン号に跨がっているのは、
この千里放送センターの駐車場での一連のスチールが唯一である。
それにしても、ヒロイン=緑川ルリ子を燃料タンクの上に座らせて抱き、真
直ぐにカメラを見据える本郷猛の何という格好良さだろう!
撮影者が特定されていないのが残念でならない。

   画像4

画像4)も毎日放送による特写。
エキスポランドのダイダラザウルス(ジェットコースター)下の広場で、撮影
の合間に変形前のサイクロン号に跨がって笑顔を見せる緑川ルリ子=真
樹千恵子さん。

   画像5

画像5)は生田スタジオのセットでのカメレオン男。
おそらく毎日放送のスチールだと思われるが確認はできていない。
高橋章氏によって描かれたアジト内部の壁画(ベニヤ板に描かれてい
る!)と怪人の対比が素晴らしい。
カラーでないのが本当に残念である。
このカメレオン男のアジトでは壁画の意匠がそれまでの高橋氏とは異なっ
て、怪人のモチーフとされた生物を描くのではなくシュールな作品となってい
る。
さらに世界図の扉が開いた向こう側の壁にもモザイク状の意匠が描かれて
いて、即興なのだろうが見事である。

   画像6

画像6)も毎日放送によるプレス・イベントでの1枚。
藤岡弘、氏が或る新聞記者のひとりから「おまえ、オートバイに乗れるの
か?」と問われ、返答代わりに変形前のサイクロン号に飛び乗って階段を
駆け上がったというエピソードはあまりにも有名だが、そのアクションがまる
で予期されていたかのようにきちんと連続してスチールに収められている。
何故?

   画像7

画像7)は毎日放送の千里放送センターで行なわれた記者発表合間のス
ナップ。
この際、真樹千恵子さんが単独でお受けになられた毎日新聞による取材の
記事が、1971年4月17日付の毎日新聞夕刊(関西エリアのみ)に写真入
りで掲載されている。
「(CMモデルよりも)映画の方がおもしろいですね。監督さんのゲンコツが、
まだ相手役の顔には見えてきませんけど」
「(ルリ子は)地でいけるかと思ったら育ちが良くて言葉もていねいなんです
よ。やっていて不自然でとまどいます」
「(女優としての今後については)高望みしません。一歩々々着実にやって
ゆきたい」
このように、インタヴューにお答えになっている。


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