前回に引き続き、東映作成の『テレビ番組企画書・仮面ライダー』から引用
する。
主人公は逃亡者です
主人公本郷猛はショッカーの被害者で改造人間にされかかっている途中を
緑川教授に救われて二人で脱出して来た青年です。
緑川教授は生化学の権威で米国のカリフォルニア大学に招へい研究中を
ショッカーに誘拐され彼等の人間改造に必要な人体器官再成の研究の完 成を強いられたのです。
そこへ連れ込まれた本郷猛と意気投合しひそかに自分の研究はショッカー
の企みとは逆に人間回復にも作用出来る研究であることを明かし機会をね らっていたのです。
本郷猛はやはりR大学の生化学研究員でありましたがショッカーによって戦
闘要員としての改造を受けつつある途中で最後の脳改造を受ける寸前に 教授と共に脱出したのです。
必死の思いで日本に帰りついた二人は出迎えを受けようとしますがその寸
前にショッカーの魔手は教授の所在を察知し何と怖しいことに教授の体内 にすでに埋没してあった強力火薬を極超短波で爆発させてしまいます。
二人きりの密室での殺人、たちまち教授殺害の嫌疑を受けた本郷はいか
に辨解しても理解されぬ自分の立場に気付き護送の須藤刑事の目をぬす んで脱走します。
行方不明の父に会えるとかけつけた緑川教授の子、ルリ子と正夫はその
直前の父の死に喜びの頂上から悲しみのどん底につきおとされます。
そして猛の辨明も理解するところとはならず猛を父を殺した仇となじります。
主人公は捕えられるわけにはいかない
大恩ある教授の遺児ルリ子と正夫の幸福を守ることが教授への○○(判読
不能)であると心にちかった猛は今官憲にとらえられてはこれが果せない。
そして彼はショッカーの正体を知る唯一の人間です。
人類の危機を守るためにも彼は闘わねばなりません。
元来生化学者であった猛は又教授から受けついだ研究を人間回復のため
に完成しなければならないのです。
しかし官憲は彼を逃亡者として追求します。
あの奇怪なショッカーの存在などは官憲の常識では理解できる筈もありま
せん。
幸い彼は父の遺した莫大な財産をもっているので地下にアジトをつくりこれ
にこもって研究をつづけショッカーと戦闘に備えて体力を練り、外に出るとき は変装か仮面姿でしか出られないのです。
主人公はどのような力をもっているか
主人公は改造人間です。
ショッカーによって誘拐された猛はそのスポーツマンの要素を生かして電気
刺戟による筋力の増巾機を体にとりつけられました。
従ってその機能を発揮する時は常人に数倍する跳躍力や重量挙げ、打撃
力などを持っているのです。
そのエネルギー源は仮面に仕込まれた小型の風車による発電で人体電気
として体中に蓄電されるのです。
その電気のある間は超人として動き電気が切れると普通にもどります。
この蓄電をするためにも彼はオートバイを駆って走りその風圧によって風車
を廻すのです。
改造されてしまった彼は改造人間の悲しみを誰よりもよく知っています。
だからこそ彼はショッカーの被害を喰いとめ人間は人間として生きることが
最高だと叫びつづけるのです。
(新考証学50につづく)
(画像1〜2)は石ノ森章太郎氏による「みどり仮面グラスホッパー」「仮面ラ
イダーホッパーキング」の頃のデザイン画。
描かれた時期は1970年12月頃と思われる。
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