新・仮面ライダー考証学 57

仮面ライダー・クロニクルズ(5)

『仮面ライダー』の人気が飛躍的に上昇したのは番組が2号編に改編され
た結果だと、よく言われる。表面的にはその通りだろうが、『仮面ライダー』
の第2クール期初頭に毎日放送が実施したモニター調査を検証してみると
事はそう単純でもない。

1.視聴者層について 
  中学生になると殆ど見なくなっている(幼稚だという理由が多い)、上限を
小学5年生位に置いて幼稚園児くらいまで。
2.第1シリーズ(旧1号編)について視聴者的にプラスの面
  (1)スリル、迫力、サスペンス(人がライダーに助けられる時、ショッカー
の罠、仮面の正体がばれないこと)
  (2)オートバイ(かっこいい、おもしろい)
  (3)怪人の顔
  (4)アクション(闘うところ、飛ぶところ)
  (5)仮面ライダーに変身するところ
  (6)音楽面(歌がよいこと、怖い音楽がよい)
  (7)ウルトラマンのようにミニチュアが少ないのでリアルに見える。
3.マイナス面
  (1)あっけなさ、頼りなさ
  (2)話がつまらない、幼稚だ。
  (3)スリルと怖さが不足している。
  (4)ショッカー戦闘員が死ぬ場面に工夫を。
  (5)ライダーの掛け声が、いつも“トオッ”だけで不満だ。
4.第1シリーズと第2シリーズ(14、15話)の比較
  (1)第1シリーズの方が迫力があっておもしろいという意見が多い。
  (2)その分析としては、主役は藤岡の方が男前で声がよい。佐々木の方
はキザで嫌み。
  (3)お話の作りとしては、第2シリーズの方が面白い。
  (4)変身は第1シリーズの方がよい。
  (5)第2シリーズの方が笑いの要素が多くなった。

大雑把なリサーチではあるが、的を射た部分も少なくはない。旧1号編は旧
1号編として、放映当時から評価されていたのである。そして、2号編への
改編の成果が目に見えて視聴率に反映され、番組の人気が関西・関東を
問わず確立されるのは第3クールに入ってからである。奇しくもそれは、ゾ
ル大佐が日本に着任した時期でもあった。

1971年6月。山田稔監督による放映第20話「火を吹く毛虫怪人ドクガン
ダー」と放映第21話「ドクガンダー大阪城の対決!」の撮影。後編では再び
毎日放送による招聘で大阪ロケが行なわれる。6月8日には主役交替を発
表する記者会見が大阪マーチャンダイズビルで行なわれた。また、大阪城
では毎日放送による番宣スチールの特写が行なわれ、佐々木剛氏が仮面
ライダーを、岡田勝氏がドクガンダー成虫を演じた。
山田稔監督による放映第18話「化石男ヒトデンジャー」の撮影。
MBSが『仮面ライダー』のタイトルで旧2号編の番組企画書(実質はセール
スシート)を作成。
折田至監督による放映第19話「怪人カニバブラー北海道に現わる」と放映
第23話「空飛ぶ怪人ムササビードル」の北海道ロケ。
 6月26日、第13話「トカゲロンと怪人大軍団」が放映され、旧1号編が終
結。次週予告では第2シリーズの開巻が告知された。
1971年7月3日、第14話「魔神サボテグロンの襲来」が放映される。佐々
木剛氏が演じる一文字隼人=仮面ライダー第2号の変身ポーズは視聴者
児童に強い衝撃を与えた。また、オープニングの主題歌が今回から藤浩一
バージョンと差し替えられる。
1971年7月。山田稔監督による放映第22話「怪魚人アマゾニア」と放映
第34話「日本危うし!ガマギラーの侵入」の撮影が行なわれる。この放映
第34話(制作第26話)をもって野原ひろみ役の島田陽子氏が降板。
7月18日封切りの東映まんがまつりの1作品として『ゴーゴー仮面ライダ
ー』か公開される。作品自体は第13話「トカゲロンと怪人大軍団」を35mm
にブローアップしたものだが、単独ポスターには毎日放送の番宣スチール
から珍しい怪人の単体がコラージュされている。
7月22日から大阪ミリカランドで毎日放送主催による「仮面ライダーまつり・
仮面ライダーが来た!」が開催される(〜7月25日)。
折田至監督による放映第26話「恐怖のあり地獄」と放映第27話「ムカデラ
ス怪人教室」の撮影が行なわれる。ショッカー日本支部にゾル大佐が着
任。
制作第27話(放映第26話)より講談社・大島カメラマンが『仮面ライダー』
の撮影現場に復帰。

   画像1

画像1)は大阪ロケの際の毎日放送の番宣スチール。仮面を外した仮面ラ
イダー第2号・一文字隼人=佐々木剛氏。

   画像2

画像2)は岡田勝氏演じるドクガンダー成虫。毎日放送による番宣スチー
ルである。本編撮影時のドクガンダー成虫はこのように体色のブルーが濃
いが、劇場版第1作では洗濯によってすっかり色落ちしてしまい淡い水色と
なっている。

   画像3

画像3)は北海道ロケにおけるカニバブラー。毎日放送による特写スチー
ル。演じるは岡田勝氏。

   画像4

画像4)も北海道ロケにおけるムササビードル。毎日放送による特写スチ
ール。演じるは岡田勝氏。


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