新・仮面ライダー考証学 58

仮面ライダー・クロニクルズ(6)

『仮面ライダー』の制作開始にあたって、東映が毎日放送と交わした契約は
2クールだった。仮に藤岡弘、氏の事故がなく、2号ライダーの登場もなけ
れば『仮面ライダー』という番組は半年をもって終了していたかもしれない。
しかし、現実はそうはならなかった。平山亨プロデューサーは『仮面ライダ
ー』の放送延長のための新たな企画書を提出なさったのである。

テレビ番組継続企画

タイトル 『仮面ライダー』
種別 特撮怪奇アクション連続テレビ映画 カラー30分・26本(46/10〜
47/3分)
時間 土曜・午後7時30分〜8時
視聴対象 幼児・小学生・中学生を中心に家族全般
制作 東映株式会社

〈継続企画提案にあたって〉
本シリーズはパブリシティ的にも次第に浸透度を増し、幼児・小学生間に於
て仮面ライダー、改造人間の存在が定着しつつあり、現視聴率的にも尻上
りの好傾向をたどって来ております。
視聴率では関西で常に裏番組を圧倒して二十パーセントを保持する様にな
り、関東に於ても次第に上昇の途をたどっており十五パーセントが間近で
す。
全国の東映系映画館に於ておこなわれる夏休みマンガ祭にも東映は「仮
面ライダー」を目玉商品として登場させます。又、それをベースに行なわれ
るキャンペーンや「少年マガジン」とのイラスト募集企画等のキャンペーン展
開は今後の視聴率向上の大きい推進力となり、秋以降のセットインニュー
ス増加期には更に高視聴率が期待されます。
そこで本年十月より来年三月までの継続企画を提案致します。

〈27回以降52回への構想〉
ショッカーの日本地区作戦は、仮面ライダーの活躍で次々と阻止されました
が、執拗に世界制覇を企むショッカー世界本部は強力部隊を編成して次々
に日本へ送り込み更に新たな破壊活動を展開します。
あらたな破壊部隊はそれぞれに凶暴なナチ的指揮官を戴き、その指令のも
とに動きます。
彼らの動きはやはり日本の心臓である東京大阪を主としますが、次第に全
日本的規模で日本各地にその魔手をのばし、北は北海道から南は九州迄
舞台が拡がります。
又、彼等の破壊活動のねらいも次第に具体的方向に進み、航空路奪取作
戦、石油コンビナート奪取作戦、日本列島分断作戦、全日本通信網破壊作
戦等々にまでエスカレートします。しかし、巨大化する規模の中にもストーリ
ーの直接被害者は身近な子供であったり、父であり、母であり視聴者の生
活圏の中で起る事件としてこれを描いてゆきます。主人公、仮面ライダーは
大きくはまさに人類の味方ですが、又視聴者一人一人の味方でもあり呼べ
ば応えてくれる仲間である姿勢は崩さないでゆきたいと思います。
26回迄に登場した改造人間は、くも男、コーモリ男、さそり男、サラセニア
ン、蜂女、キノコモルグ、ドクガンダー、半魚人などありますが子供達に特に
興味を持たれた点は、これらが怪獣ではなく改造人間であることでしかもそ
の改造人間のスタイルが近来の動物ブームに乗って昆虫、魚類、植物
等々のスタイル、特性をとり入れたものであることが斬新な印象を与えたも
のである点にあります。(新考証学58につづく)

   画像1

画像1)は日本支部着任時のゾル大佐。講談社・大島カメラマンによる特
写スチール。

   画像2

画像2)はザンブロンゾのアジトでのゾル大佐。講談社・大島カメラマンに
よる特写スチール。


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